宇宙の大きな物体のように、大きな夢を持つ人々は重力を持っていて、彼らの夢が人々を引き寄せ、その軌道に引き込む。
◆前回のあらすじ
主人公は初めてのセミナーの準備に取り掛かり、メンターからの具体的なアドバイスや構成案を受け取りながら内容を充実させていく。メンターの「すべて叶えられる」という言葉に心を揺さぶられ、夢の実現には本当に望む目標を定めることが重要だと学ぶ。また、ディズニーランドでの研修で新たな機会を得る。セミナー準備が進む中、屋号「パールプリュス」を偶然の閃きから決定。これがコーチングのプロセスとも重なり、新たなアイデアが次々と湧き上がる。オリジナルバッグ制作も進み、メンターからの助言を元にブランディングやストーリー作りも考え始める。セミナー告知や集客活動に取り組み、一歩一歩夢の実現に近づいていく。
8.9 オリジナルバッグの行方
オリジナルバッグってどんなものだったの? と質問が飛んできそうですので、書いてみますね。
私の人生の中で、最も大胆で、そして少々無謀だったかもしれない挑戦の一つが、オリジナルバッグの製作でした。2024年、iPhone一台で全てが済む時代に生きる今の私には信じられないかもしれませんが、当時は様々なデバイスを持ち歩く必要がありました。
私はいつも、メインバッグとは別に、デジカメやノートパソコン、携帯電話などを収納するのに適したサブバッグの必要性を感じていました。特に、ラップトップを持ち歩く際、選択肢が男性向けのナイロンバッグしかなく、オシャレとは程遠いいものでした。
そんな中で、「自分で理想のバッグを作ればいいのでは?」というアイデアが浮かんだのです。早速、私のイメージを友人に伝え、デザインを依頼しました。
完成したデザインは、27cm×27cm、マチは6cmの小ぶりなバッグ。ブラックレザーにゴールドのステッチという洗練された外観で、内側もゴールド仕様。ペンや携帯電話用のポケットも備えた実用的な仕様でした。最低ロットが100個という条件でしたが、私は迷わず発注しました。初めて開催するセミナーでサンプルを披露し、予約を受け付ける計画を立てていたのです。
しかし、納品が迫ってきたある日、私は愕然としました。100個ものバッグを、私の20平米のワンルームに置けるはずがないのです。発注時には全く頭になかった問題で、誰も指摘してくれませんでした。こういう失態は、起業家あるあるではないでしょうか?
途方に暮れた私の頭に、唯一の解決策が浮かびました。そう、勤務先の渋谷店のロッカールームしかないのです。この突拍子もない計画が、どのような結末を迎えるのか。私自身、予想もつきませんでした。しかし、このエピソードは、私の起業家としての道のりの中で、最も印象的な出来事の一つとなったのです。この続きはまた別の章で。
8.10 想定外のゲスト講師
人生初のセミナー4日前、私は胸の高鳴りを感じながら、メンターである金井さんのサロン「RITZ」の扉を開けました。日々のメールでのやり取りも貴重でしたが、直接会って話すことで、金井さんのカリスマ性あふれるエネルギーが私に伝染してくるのを感じました。
これまで、金井さんの多忙なスケジュールを気遣い、セミナーへの参加をお願いする勇気が出せずにいました。しかし、この日ついに「18日は大丈夫でしょうか?」と口にすることができたのです。
金井さんの返答は、私の想像を遥かに超えるものでした。「時間があったら、セミナーで話そうか?」という言葉に、私はサロンの椅子から転げ落ちそうになりました。金井さんが、私のセミナーのゲスト講師になってくれるということです! さらに驚いたことに、「ちょっと怪し系のセミナーをしてみたくてね。堀口さんがどのくらい運がいいのか、ホロスコープの解説で話すよ」と続けられたのです。
カリスマ美容師として名高い金井さんが、占星術にも精通していたことに、私は驚きを隠せませんでした。同時に、これが集客の目玉企画になると直感し、感謝と喜びで胸がいっぱいになりました。
その夜、金井さんから届いたメールには、さらに詳細な内容が記されていました。15分ほどの講演、私の星座の解説のしやすさ、そしてこの話題が参加者の興味を引くだろうという予測。それらの言葉に、私はますます期待に胸を膨らませました。
金井さんは、第1回目のセミナーの重要性も強調しました。「このセミナーが評判になると、口コミが起きる」という言葉に、私は身が引き締まる思いがしました。要点を絞って話すことの大切さを教わり、セミナーのフォーカスがより鮮明になりました。メンターの予想外の協力と、マインドセットまで網羅した細やかなアドバイス。さらに、私のコーチである播磨さんが司会進行を務めてくださることも決まりました。この初めての成功体験が、次のステップへの足がかりになることを、私は確信しました。
こうして、セミナーの進行は、金井さんと播磨さんという二人の素晴らしいメンターに支えられ、さらには、この自叙伝のなかに登場しているメンターたちは、参加者として会場に足を運んでいただけることになりました。ご縁があって出会った皆さんが、一堂に同じ会場に集結することを想像してみると、セミナーをする前から鳥肌が立ちました。参加者の方が、既に成功しているのですから。
第9章: 副業のはじまり
9.1 セミナー講師デビュー
2005年11月18日。青山の外苑前で、待望のセミナー講師デビューを果たしたのです。
会場は六本木ヒルズの夜景も見える青山の洗練された空間。26名の参加者を前に、私は夢が叶っていることを実感しました。アパレルの顧客様、ショッピングモールの同僚とマネジメントオフィスの方々。親しい友人、メンターたち、そして私を支えてくれている渋谷店のスタッフたち。普段のセミナーとは一味違う、おしゃれな人々がノートを片手に真剣に耳を傾ける姿に、思わずニヤリとしてしまいます。
セミナーでは、私の店長としての成功体験や哲学を熱く語りました。さらに驚きは中盤にもありました。メンターである金井さんによる「ホロスコープによる堀口ひとみ分析」のコーナーです。自分の人生が星座を通じて紐解かれるという斬新な体験に、会場は笑いと感動で沸き立ちました。金井さんのこの斬新な演出から、私は多くを学びました。
興奮冷めやらぬ中、セミナーは大成功のうちに幕を閉じました。「次回も参加します!」という声が多数上がり、嬉しさで胸がいっぱいになりました。そして、忘れてはいけない重要なミッション。オリジナルバッグの予約です。レディース用とメンズ用を用意していたおかげで、皆さまからご予約をいただくことができました。
メンターの「最初のセミナーはコアな人を集めるのがいい」というアドバイスの意味を、この時初めて理解しました。批判的な声がない中で、自信を持ってメッセージを伝えられたのです。参加者の皆さんの反応に励まされ、早くも2回目のセミナーへの意欲が湧いてきました。
忘れずに、全員で記念写真を撮影。この瞬間を、私の人生の新たなスタート地点として心に刻みました。会場を後にした私たちは、冬の足音が聞こえ始めているにもかかわらず、青山から表参道を経由して渋谷まで、熱気冷めやらぬまま歩いていきました。いや、熱気を冷ましていたのかもしれません。
このセミナーで私が最も伝えたかったのは、他人の成功を模倣するのではなく、試行錯誤を重ねて自分だけの成功の道を切り開くことの大切さでした。「明日から行動してみたい!自分なりのやり方で成功したい!」というご感想をたくさんいただき、私のメッセージが確かに届いたことを実感し、開催して本当によかったと実感しました。
この日から、副業がはじまりました。アパレル店長としての経験を基盤に、人々の可能性を引き出すセミナー講師としての道が、私の前に広がっていったのです。
◆編集後記
お世話になっている方々に囲まれ、最高のセミナーデビューをさせていただきました。上の列右から3番目は金井さんです。フィリピン人の先生が、「キアヌ・リーヴスみたい!」と言っていました。(笑)
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