100万マイルの旅の贈りもの:ライフコーチとして、そして共に歩いた仲間として

 私は、100万マイルの旅を見事に成し遂げたNさんにインタビューをしていました。

「旅に出る前の私と、帰ってきた私。まるで別人なんです。」

そう静かに語るNさんの言葉を聞いた瞬間、私は深くうなずいていました。ああ、やっぱり──。

 私とのコーチングをはじめたころ、Nさんはこう問いかけていました。

「どうして私は“やらなくちゃいけないこと”ができないんだろう? 周りはちゃんとこなしているのに…」

 そんなNさんに、私はひとことだけフィードバックしました。

「それ、本当に“やらなきゃいけないこと”なんでしょうか?」


 Nさんは私のライフコーチングを約1年間にわたって受けてくれたクライアントさん。そして今回、スカイチームの航空キャンペーン「15社に搭乗したら100万マイルがもらえる」という、誰が聞いても驚くような企画に、本当に飛び込んでしまった人です。そう、フィクションではなくて、現実の話。

 この旅の出発点には、私たちの月1セッションのルーティンがありました。セッション10回目の頃、「100万マイルキャンペーンに参加しようと思う!」という決意をお聞きし、「え、そんなことできるんですか?」と驚きながら、私も思わず刺激を受けて、フィリピン行きの航空券を探し始めたほど。

 Nさんは50代。かつて航空業界で働いていた彼女の旅好きは本物です。とはいえ、今回のチャレンジは次元が違いました。3週間で帰ってくるはずだった旅は、気づけば1ヶ月、15都市、28フライト。バックパック一つで、アジアから中東、ヨーロッパ、北米、南米まで、地球を丸ごと一周してしまったんです。

 そしてその間に起きたこと——耳が聞こえなくなるような体調トラブル、空港でのトラブル、差別のように感じる対応、そして、自分の限界を感じながらも越えていった数々の瞬間。全部がリアルで、全部が尊くて、話を聞いていて何度も鳥肌が立ちました。


 特に印象に残っているのは、旅の初日。ハノイの安宿のバスタブにひとりで浸かったときに、涙が止まらなくなったというエピソード。これまでの人生が一気に押し寄せ、気づいたら声をあげて泣いていたといいます。

 この旅は、ただの観光でも、チャレンジでもなかった。

 過去を受け取り、今を肯定し、未来を自分で選び直す——そんな一連の“再誕”の旅だったのです。


 彼女はインタビューの中で言いました。

「もし100万マイルがもらえなかったとしても、この旅は一生の宝物。コーチングに投資して、こんな経験に辿り着けたこと自体が、もう充分すぎるほどのリターンだった」と。

 そう、それはまさに“自分への投資”が最高の配当を生んだ例。NISAよりもずっと確実で、直接的で、人生を動かしてくれる投資です。

 このインタビューは、私の運営する1D1U Camp のクローズドコミュニティにシェアしました。


 そして収録後、私はYouTubeから文字起こしをし、GPT有料版についている:Creative Writing Coachに、文字起こしからリライトを依頼して、小説のような一編の物語も創作してもらいました。Nさんにそれをお渡ししたとき、「一生の宝物にします」と言ってもらえたこと、私にとっても何よりの喜びでした。


 2008年から、クライアントさん自身に体験記を書いてもらい、私が添削してまとめるスタイルで、コーチングという旅のエッセイを執筆していました。

 しかし、2025年の今では、インタビューし、音声を文字に起こし、ChatGPTのような存在が、語ったままの熱をそのまま文章にしてくれる——そんな時代です。

 こうやって、誰かの人生の転機が形になり、言葉になり、誰かの背中をまたそっと押していく。

 私はこれからも、そんな贈りものを作り続けたいと思っています。