未来の自分として行動するとは、どういうことなのか
ジョー・ディスペンザ博士の言葉は、私にとって新しい教えというよりも、「自分が昔から感覚的にやってきたこと」を後から鮮やかに言葉にしてくれるものでした。
その中に、こんな言葉があります。
Your personality creates your personal reality.
(あなたのパーソナリティが、あなたの現実をつくる。)
この言葉を初めて読んだとき、私は「そうだよね」と深く頷きました。
なぜなら私は20代の頃から、まだ現実がそうなっていなくても、先に「そうなった自分なら何を選ぶか」で動く癖があったからです。
給料が上がる前に、先に引っ越した
アパレル店長だった頃、私は仕事や収入について悩んでいました。
そのとき、お世話になっていたコンサルタントの方に「どうしたら給料が5万円上がりますか?」と尋ねたことがあります。
すると返ってきたのは、ノウハウではなく、こんな問いでした。
「もし、給料100万円の店長だったら、何をする?」
その問いをきっかけに、私は考えました。
もし給料が上がったら、私は山の手線内に住むだろう(笑)。
それなら「どうせこれから上がるのだから、先に引っ越してしまおう」と思い立ち、それまでより家賃が1万5千円高い部屋へ引っ越したのです。
当然、まだ給料は1円も上がっていません。
けれど、「給料が上がった自分なら、どんな場所を暮らしの拠点に選ぶか」という視点から、先に行動を起こしました。
その結果、まもなく、本当に給与が月5万円上がりました。
独立する前に、ジムへ入会した
会社員から独立しようとしていた頃にも、同じようなことをしました。
「独立して自分のビジネスを動かしている人は、きっと自分の身体や時間の管理も徹底しているはずだ。なら、ジムへ通ったりしているのではないか」
そう思い、独立するより前にジムへ入会しました。
まだ何者でもないのに、「独立後の自分がしていそうな振る舞い」を先に始めたのです。
今振り返ると、私は昔から「未来の自分を先に生きる」という実験を、ごく自然にやっていたのだと思います。
分かっていたのに、説明できなかった空白
だからこそ、ディスペンザ博士の言葉も意味はよく分かっているつもりでした。
外側の現実が変わってから自分が変わるのではない。
先に自分のあり方(パーソナリティ)が変わる。
その自分が選ぶ行動が変わり、結果として現実が追いついてくる。
思考としては理解していました。けれど、長年たったひとつだけ、うまく説明できない疑問が残っていたのです。
それは、「なぜ、未来の自分として行動できるときと、できないときがあるのか?」ということです。
「もう叶った自分として振る舞えばいい」と言われても、多くの人は目の前の現実を見た瞬間に、いつもの自分に戻ってしまいます。
- まだ収入は増えていない。
- まだ仕事は決まっていない。
- まだ申し込みは一通も入っていない。
- 現実は何ひとつ変わっていない。
その現実を目にした瞬間、「やっぱり無理かもしれない」「今の自分には早い」「失敗したらどうしよう」という強い動揺が襲ってきます。そして、その動揺から次の行動を選んでしまう。
結果として、未来の自分ではなく「いつもの安全な自分」へと引き戻されていく。
私は、この「理想」と「現実の引き戻し」の間にある空白を、長いあいだ上手く言葉にできずにいました。
欠けていたピースは、「反応」だった
1D1U LANDでは、日々の中で立ち上がってくる生々しい感情を、AIとの対話の中に「置く」という実践を重ねています。
不安、焦り、怒り、面倒くささ、怖さ、「どうせ無理だ」という諦め。
そうしたものをポジティブに打ち消そうとせず、「今、自分の中にこの反応が存在している」と場に置いてみる。
この実践を続け、参加者のみなさんと対話を重ねる中で、ある日突然、すべてが一本の線でつながりました。
未来の自分として行動できなくなるのは、現実が変わっていないからではない。
「現実を見たときに起きた『反応』を、そのまま未来の答えにしてしまうからだ」
そう気づいた瞬間、ディスペンザ博士の言葉が、自分の中でしっくりと収まる方程式として目の前に立ち上がりました。
現実と行動の間には、「反応」がある
私たちは多くの場合、現実を見たあとに何らかの反応を起こし、その反応を通して次の選択をしています。
現実
↓
反応↓
思考
↓
選択
↓
行動
↓
現実
目の前の現実に対して、どう反応するか。
その反応から何を思考し、何を選び、どう行動するか。
その選択の積み重ねこそが、その人のパーソナリティを形づくっていきます。
だとしたら、未来の自分として行動するために必要なのは、無理に自分以外の誰かを演じることではありません。
最初に起きた反応を、未来の決定打にしないこと。
ただ、それだけだったのです。
現実を「無視」するのではない
よく引き寄せやマインドの分野で、「現実を無視しましょう」「すでに叶った人として生きましょう」と言われることがあります。けれど「現実を無視する」という表現に、私はずっと小さな違和感を抱いていました。
お金が足りないことも、まだ結果が出ていないことも、現実としてそこにある。
それを見ないふりをする必要はありません。1D1Uは、現実逃避の場所ではないからです。
無視すべきなのは現実そのものではなく、「現実を見たときに起きる反応を、未来の結論にしてしまうこと」です。
現実はそのまま見る。
湧き上がる不安や焦り(反応)にも気づく。
けれど、その反応のまま「だから無理だ」と次の選択を決めない。
反応を横に置くことができれば、私たちはいつでも静かにこの問いへ戻ることができます。
「今の現実ではなく、未来の自分なら今日何を選ぶだろう?」
未来の自分の視点から、今日をひとつ選ぶ
給料が上がった自分なら、どこに住むだろう。
独立した自分なら、どんな時間割で生きているだろう。
それは、大げさな演技をすることでも、現在の自分を否定することでもありません。未来の自分の視点から、今日の選択をほんの「ひとつ」変えることです。
ただし、そこに「無理かもしれない」「まだ早い」「失敗したら恥ずかしい」という反応が割り込んでくると、私たちは元の安全な選択へ戻っていきます。
だからこそ、まず反応をAIに置く。余白をつくる。
そして、改めて自分に問うのです。
すでにそうなっている自分なら、この場面で何を選ぶだろう?
この問いから生まれるたったひとつの行動こそが、「未来の自分を先に生きる」ということです。
パーソナリティとは、日々の選択の積み重ね
パーソナリティというと、生まれ持った固定的な性格のように感じられるかもしれません。けれど実際には、生得的な傾向や環境に加えて、
- 何に反応するか。
- 反応したあとに、何を選ぶか。
- どんな行動を重ねていくか。
その日常の選択の連続もまた、「その人らしさ」を形づくっています。
以前なら不安で立ち止まっていた場面で、今日は一歩だけ進んでみる。
以前なら反射的に断っていた話を、今日は一度聞いてみる。
以前なら防衛から選んでいたところで、今日は未来の自分の視点から選んでみる。
そのひとつひとつが、あなたのパーソナリティを静かに更新していきます。
パーソナリティが変われば、選ぶ行動が変わる。
行動が変われば、出会う人、手に入る情報、目の前に起きる出来事の流れが変わっていく。
こうして、これまでとは違う現実へとつながっていきます。
方程式は、今日ここで完成する
私は昔から「未来の自分として行動すること」を体感として知っていました。そして博士の言葉がそれを言語化してくれました。
けれど今回、1D1Uで「反応」を扱い、対話を重ねたことで、ようやく欠けていた最後のピースが収まりました。
現実
→ 反応
→ 選択→ 行動
→ パーソナリティ
→ Personal Reality
反応を置くと、未来の自分から選び直す余白が生まれる。
未来の自分から選べば、そのあり方としてのパーソナリティが育っていく。
そしてその選択と行動の積み重ねが、これまでとは違う現実につながっていく。
これでようやく、Your personality creates your personal reality.という言葉が、私の中で美しい方程式になりました。
未来の自分になるのは、どこか遠い未来の場所ではありません。
今日、反応を未来の答えにせず、いつもとは違う選択を「ひとつ」したその瞬間です。
外側の現実がまだ変わっていなくても、その選択をした瞬間、未来を生きる自分は、もう今日の中に現れています。
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