いろいろな人のセッションができる理由。

 相手が要求していないのに、こちらが話すのはどうなだろう? 相手にアドバイスをした方がよかったのか、どこまで言ったらいいのだろうか? 言うのをやめておこうか? いつ言おうか? と、匙加減に迷ったことはありませんか?

 あるクライアントさんは、つい反応して言ってしまったそうです。それで相手は黙っていたようですが、言わないで自分が黙っているのも気持ち悪いし、こんなときどうしたらよかったのか? 堀口さんもそんなことないですか? と質問されました。

 これはコーチング初心者あるあるだなぁと、昔のことを思い出しました。

 コーチングにおいて、アドバイスしないというルールは、自分を黙らせるのに、結構有効です。相手に質問をして、相手から答えを引き出そうとがんばるからです。さらに、コーチングフローを意識してみると、相手の人がどんどん話してくれるようになるので、はじめはびっくりしました。

 しかしだんだんとスキルの新鮮味も薄れ、相手が「コーチングされているな」と感じてしまい、今度は恐れられるという時期に入ります。(笑)

 そんなことを思い出しながらしゃべっていたら、私は懐かしい気持ちになってしまい思わず笑うと、それを聴いているクライアントさんも、若き日のことを思い出した私のことを笑っているじゃないですか。(笑)  

 それで根本的な問題に気づいてしまいました。

「ついつい言ってしまうというのは、相手の話を聴きながら、自分の言うことを考えていることだから、相手の話を聴いていないってことじゃないですか!」と私はクライアントさんに言いました。

 どうすれば、相手の話に集中できるか? 自分が相手の作業を手伝うようにすればいいですね。例えば、相手のキーワードをメモとりながら聴くこと。

 本来、自分がどんなアドバイスを言うのか考えなくていいので、楽なはずなんです。そこまで責任を持つ必要がないのです。でもプロは、相手に必要な問いや、気づきを与えるフィードバックを伝えることができるのです。

 それはどういうことかというと、相手の話をよく聴いていると、相手の視座に入っていけるからです。いろいろな視点から見ることを培ってきた私が、相手の世界に入ったら何がみえるのか? そこをお伝えしているのです。だから、いろいろな人のセッションができるでしょう。傾聴する人は、目には見えないことまで感じる感性が必要なのだと思います。