「部下を育てなさい。優先順位をつけなさい」それは頭ではわかるけど、なかなか実行する余裕がない。

 仕事ではMGR職に上がり、ギリギリに回っている状態なので、家庭も仕事もうまくいくように考え行きたいとのことで、90日コーチングのご依頼を頂きました。5年ぶりの90日コーチング。以前、とてもパワフルな『ひとみずむ』を書いて下さった男性クライアントさんのオリエンでした。

 現在、エリアMGRとして働いているそうですが、目の前の業務をこなすことで精いっぱいのようです。上司に「部下を育てなさい」とか「優先順位をつけなさい」とアドバイスを貰い、それは頭ではわかるけど、なかなか実行できないでいるようでした。

 本部としての雑務が多いし、育てるよりも指示が多くなっている状態で、人を育てることが後回しとなり、時間的余裕がないようです。

 「どうすれば突破できますか?」と私が質問をすると、「雑務のスピードアップ、エクセルスキルアップですかね…」と自身の仕事の効率化にフォーカスしているようでした。実際に、エクセルの本も買ったりして取り組んでいらっしゃるようです。

 もう少し具体的にスタッフとの関わりを聴いてみると、「朝、スケジュール作成。スタッフに1日やって欲しいことを指示。夕方、やってもらったことをチェック」のようです。

「指示したことをやってもらう」それだけで1日が終わるというのは、私も経験があります。なかなかトレーニング時間が持てないものです。指示しかされていないと、せっかくやる気のある部下がいるとしても、芽を摘んでしまうようなものです。コミュニケーション不足な職場が見えてきました。

 次に「何に向かって仕事していますか?」と質問してみました。「立て前は、売上アップ。本音は、自分の目の前の仕事で精いっぱい。襲ってくるものを処理している感じ」とクライアントさんの中で葛藤が見えてきました。襲ってくるものを処理するだけでは、クライアントさん自身も仕事が楽しくなくなってしまいます。クライアントさんも指示されたことだけで精いっぱいのようです。

 仕事と言うのは、自発的に自分の取り組みたいことを実行することで楽しくなれるのではないでしょうか。そう振ってみると、「実はやってみたいことがあるのです」と、ここで初めてクライアントさんの想いが引き出されました。

 マーケティングの本やセミナーで学び、アイデアは持っているようですが、それを実行していないようなのです。変えたいけれど目の前のことで精いっぱい。社員会議でプレゼンをしてみたけれど、周りの温度差か、みんなにあまり理解をされなかったということでした。

 しかし、実際のところ発表をしたとしても、一緒にやっていくのは、クライアントさんの直属の部下です。あまり理解をされなかったことに勇気をなくすのはまだ早いです。部下には想いを伝えているのでしょうか?

「想いを語っていないですね…。自分で抱えたまま…」
「夢語らないと!夢を語り出す上司も少ないですから、憧れられます。憧れられれば、スタッフも勝手に学び始める。憧れられる上司にならないと!」と私は言いながら、この方とのセッションの感覚が懐かしい感じで蘇ってきました。

 現状は、どこにいくかわからないけれど、とりあえず、おにぎり持って、傘持って…と指示出しているような状況。目的地が決まることで、スタッフも何が必要か、自分でも考えられるようになるでしょう。

 自分の想いを語ってもらわないと周りの人はどう協力していいかわかりません。夢をアウトプットしてみたら、人生が動き始めるのです。
 しかしながら、アドバイスとして「夢を語れ」と言える人はなかなか少ないのではないでしょうか。誰を相談者に選ぶのか? それで人生は決まってしまうのです。目利きが要ります。私を再び選んで頂いたわけなので、頑張らないとですね。

 今日はこちらの質問はいかがでしょうか?

想いを語っていますか?