サービスを受けるだけでなく、サービスを展開する側のことも考えてみる。

 売り場のチームリーダーをされている方のセッションでした。初めてお会いしてから1年半が経過。季節に1回のペースでセッションを継続されていらっしゃいます。

 最初は、かなりあたふたしていらしたのですが、毎回のセッションで新しい視点から物事を見るようになったり、これからの成長のテーマが出てきたりして、気づけば結果も出始めており、「心にも余裕が出てきた」という言葉がクライアントさんの口から出るようになりました。

 今回、余裕が出てきたタイミングで、これからの目標について考えるセッションとなりました。今までは、「自分の仕事を整理すること」と「人を育てること」について話してきたのもあり、自分の統括している場所では「スタイルを確立すること」ができたと感じていらっしゃるようでした。

 この先どうするか? さらに人材育成を強化すべきなのではないかとおっしゃいました。
 現状は、6人のベテランは動きもよく、やってくれるそうです。一方で新人2人と、覚えがあまりよくないというサブがいるので、今後は、その3人を伸ばすことで「これからのキャリアにも応用が効くこと」へつながることになるのかもとおっしゃいました。

 しかし、それを聞いて私は、今こそリーダーとして、「売り場作り」に着手できる段階になったのだと感じました。人材育成ももちろん課題として継続することですが、そこに100%フォーカスすることはもう終わりでいいのではないかと。自分のストレスが減り、余裕が出てきたのですから。

 「これからの自分にも応用が効くように」。以前のセッションでも確かそんなことをおっしゃっていたことを思い出しました。今いる場所でスキルを付け、次の場所でも動ける自分になれていることが、クライアントさんの望む未来の自分です。

 この先、色々な売り場を見るというキャリアプランを考えるならば、応用が効くというのは、例えばいきなり眼鏡売り場でもできるということだと思うのです。
 そう伝えると、クライアントさんは、「それは全く考えていませんでした」とおっしゃいました。

 私が、店長だったとき、テナントが企画してくれた店長セミナーで、コンサルタントの方からこんなお話を聞きました。「内側から見ている店長はまだまだ、外側から見ている店長はできる店長だ」と。

 その視点は、セールスが上がらずに悩んでいた私にとても響いてきたのです。「マネジメント」が私の強みだと思っていたので、店舗管理ばかりに力を入れていた自分に気づかされました。つまり、内側しか見ていなかったことに。
 また、「外側から眺めている店長=できる店長」ということが、私の中ではつながっていなかったので、ほとんど、外側から店を見るなんてことはなかったのです。

 今までと同じことをしていては、変わらないだろうと思った私は、社長から言われていた色々なフィードバックも、そう言うことだったのか! とつながって、そこから外側からお店を見始めたのです。すると、お客様の導線が初めて見えてきました。自分もいろいろな場所でお客様になっているわけです。「なぜ、このお店を選んだのか?」たった3秒で入ることを決めたとしても、いちいち理由があって、その店に入っていることに気づき始めました。

 また、お客様の立場しか経験がないと、お店の人の気持ちは分かりにくい。初めてお店の人になってみて、そんな風に思うんだと気づき、いつでも双方の視点があるものです。お店に限らず、プライベートでも、自分がいて相手がいる、当たり前のことです。しかし、想像力というのは限りなくあって、人によってまったく違うのだと思います。

 私は英会話スクールに通っている生徒ですが、インストラクターの時給は一体いくらなんだろう? と思って、ネットで検索してみました。リクルートをかけているHPも絶対に存在しているわけですから、すぐに見つかりました。そうすると、「なんだ、私と直接契約した方が、インストラクターは得するのにな!」とか思ってしまいます。もしかしたら、別でそういうインストラクターもいるかもしれませんが! クライアントさんは、そんな風に考えたことはなかったと驚いていらっしゃいました。しかし、今回知ったことで、これから見る視点が変わると思います。

 応用力をつけたいとお考えのクライアントさんに必要なのは、「経営者視点、想像力」です。それが、色々な売り場に対応できる応用力につながるのだと思います。

 なぜ、集まるのか? 何か理由があるからそうなっている。そこを想像してみるのです。サービスを受けるだけでなく、サービスを展開する側のことも考えてみることは、経営者目線とも言えると思います。今までスルーしてきたことを敢えて掘り下げてみることです。

 新しい課題を見つけたいと思われていたクライアントさんは、「人材育成応用バージョン」と思いきや、「どんな売り場でもできるように想像力を養う」が新しい課題なり、「余裕が出てきたと思ったら、また大きな課題が見つかっちゃいましたね」と苦笑いされていらっしゃいました。

 そうして、もうひとつ出てきた課題が「アウトプット」でした。いつも売り場をつくるとき、感覚的にやっているようです。それでは、自分の引き出しは増えにくいのです。
 やったことを潜在意識に刻みこませていくには、アウトプットが大切です。そうしないと、せっかくの経験が、忘却曲線の時間のとおり、流れていってしまうでしょう。「記録に残していくこと」は、自分の引き出しを増やすうえでとても有効かと思います。

 セッションが終わってから、クライアントさんから、メールが届きました。

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 帰りの新幹線でFBシートを読み、改めてまた大きい課題がみつかっちゃったなと思っていたところです(笑)視点を変える事は簡単にできる事ではなさそうですが、まずは今までスルーしてきた事をあえて掘り下げて考えてみる事はできそうです。あと、自分が上手く話せないのは、アウトプットが足りないから。という事に妙に納得してしまいました。仕事に関して本を読んだり、色々な店を見たりインプットする努力は一生懸命しているけど、アウトプットは…。そういえばしていない事に気付きました。

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 今日はこちらの質問はいかがでしょうか?

「明日から、眼鏡売り場を担当してください」と言われたら何から始めるでしょうか?