自分の評価基準を外側に設けることでぶれて行く。

 「先月は調子よかったんですけど、今月は調子悪くってへこんでいます」と、個人事業をされている人のセッションでした。毎月の売り上げが左右される個人事業主は、売り上げ結果によってダイレクトに自分の生活まで影響が出てしまいます。毎月同じお給料が入ってくる会社員の頃は、お店の売り上げが悪かったとしても給料は入るし、逆にすごく良かったからといって、給料が上がるかと言うと、ほとんど変わらないところもあります。

 そう考えると、個人事業は、いいときもあって悪い時もあるという不安定なところがあります。いいときは、もっといけるぞ!とアクセル全開で進んでいるときもあって、そんなときは、どんどん売り上げが上がっていくことを嬉しいと感じられるでしょう。
しかし、そんなときばかりではありません。急に下がることもあります。
なぜ、そんなことになったのか分からずに、さらに集客にお金を投じたり、自分の何が悪いんだろうと、自分を責めたりします。人のせいにすることもあるかもしれません。なんで、お客様は反応してくれないんだろうか?とか。

でも、あるとき気づくのです。
「結果に左右されている。だから疲れるのだ」と。
売り上げアップやお客様からの反応があったかどうか=自分が頑張れたと評価する。
要するに、自分の評価基準を外側に設けることで、ぶれて行くのです。


 こういった悩みを持つ人は、結果が出せたからこそ悩むのだと思います。
最初は、お客様がどんなことに喜ぶのか?どんなことが必要なのか?いろいろと知る必要があると思うので、お客様側に聞くことも必要です。大体、分かってくれば、次は
もっとぶれない、安定感のある自分になる方向へと、スイッチするタイミングなのです。
自分の職を深める時期に入っていくのです。

 結果を追ってばかりいると、深めることがおろそかになります。
深めるには時間がかかるものだからと、即効性を求めて、集客する作業に走って行きがちなのです。そうすると、自分の仕事のクオリティーは、平行線のままではないでしょうか。
本当のところ、自分の心は、集客することよりも、自分の職を極め、一流になることを望んでいるのではないでしょうか?

 その人が大切なことに気付いたと言っていました。
「自分があまり好きではないお客様が二人いるのですけど、なんで向こうはいつも来てくれるんだろうと、ふと考えたんです。本当にありがたいことだなぁって思えたんです」
売り上げが下がったことで、いままで見えていなかったことが見え始めてきたようです。
だから、そのクライアントさんは、後退しているのではなく、前進しているのです。

では、外側でなく、内側に評価基準を設けるとするとどう考えたらいいでしょうか?


 かくいう私も、結果主義なところがあって、独立してから3年間くらいは、お客様から毎日感想が途絶えなかったことを、よくできている自分と評価する基準にしていました。
しかし、4年目くらいから、クオリティーは少しでも上がっていると自負していたのに感想が減りました。その過渡期はとても悩んだのです。なんで、クオリティーが上がっているのに感想が減るのかと…。コーチングでもそのことばかり話題にしていました。「反比例しているんですけど、なんなのでしょうか?」と。

でも、ある日、気づいたんです。上にあがり続けるのではなく、深くしていこうと。
「自分が納得するために、自分の中に評価基準を作るにはどうしたらいいか?自分が育っていることを自分で自覚できるには何をしたらいいか?」と問いかけました。

そして、いままでの延長線よりも、違う形をとりました。自分が苦手としていた、時間をかけてじっくりやることに取り組もうと思いました。

深め続けることで、悪くなるとは考えにくいのではないでしょうか。それが、本当の意味で価値を上げることではないかと。

時間をかけて取り組むと、いままでと違うものが生み出せるようになりました。
落ち着いてやらないと、生み出せないものがあるとわかりました。


 自分の評価基準を外側に持つイメージと、内側に持つイメージを比べてみてください。
内側に持つイメージのほうが、軸がしっかりとしていきそうな気がしませんか。


 クライアントさんには、「自分に毎日の課題を与えるとしたら何をしますか?」と質問をしてみました。
すると、「1日の終わりに、一流になるために何ができたか?毎日紙に書くことにします」と答えていました。

 継続することで自分の中に軸ができて、安定感を持てるようになるでしょう。
焦っていない方が、驚くほど1日の間に色々なことができます。
余計な雑念がないので、単にやることだけに集中できるからです。

 その人は、これまで前進してきたからこそ、このような悩みになったと思いました。
アプローチを変えることを、私も先に体験して知っていたから、その視点から質問することができたと思います。自分の苦労も人のためになるのですね。



今日はこちらの質問はいかがでしょうか?

自分に毎日の課題を与えるとしたら何をしますか?