アドバイスをするとき、伝わる言い方をするにはどうしたらいいか?

 旅行のあとは、たいてい境地が変わります。大切なことに気づいてしまった感じです。サラリーマン時代でいえば、「会社のために頑張っても上限がある」と気づいてしまったときのように。その次元からまた更にフリーな気分になれたのです。

 今回のスイス旅行はツアーだったので、より自分を客観視することができたことも一因でした。私を全く知らない人に自分のやっていることを話す機会があり、1分話せば、興味を持っていただき、皆さんこちらにどっと視線を向けてくださいました。ようやく自分の仕事について語れるようにになったんだと気づきましたし、それがまた人々を幸せにすることにも貢献できる大事な仕事だということを認識する機会になりました。今日も英会話の受付の日本人に、自分の仕事について5分くらい話す機会が訪れ、ブログを紹介したところです。こういうことが増えてきたのも、未来への伏線なのだと思います。


 さて、スイスの旅行で私もとても印象の残っている方がいらっしゃって、75歳くらいの女性です。56歳から日本名山100を登り始めて、残り19を残したところでリタイアしたそうです。残りの山は、難易度が高すぎるからやめたという理由だったそうです。最後に登った剣岳は、ガイドさんに「あなたに命を預けますからね」と言いながら、覚悟して登山されたようでした。私、母、ほかのご夫婦の方もどんどんその方の魅力に引き込まれていきました。


 モンブランを目の前にできる2500メートルの展望台へ行ったとき、そこの山の石がキラキラと光る鉱石でできていたので、私は石をお土産にすることにしました。そうしたら、その75歳くらいの方も「いつも石を拾って、それを父の仏壇に供えることをしていたんだったわ! 思い出させてくれてありがとう」と言って、石を記念に拾っていらっしゃいました。

 人に印象に残るような経験談を語った方は、とても輝いて見えました。数年前の映画『LIFE』では、主人公が出会い系サイトに登録するところからで、「経験」の欄に何も書けなくて、PRすることがないことを、サイトの管理者に突っ込まれるというシーンがあり、それから世界へ体験するたびに出るのです。人生で何を体験したのか? 行動の積み重ねです。 

 管理職をされてるクライアントさんで、部下を承認したりする以外に、「・・・したほうがいい」というアドバイスをするとき、伝わる言い方をするにはどうしたらいいか? と悩んでいました。「武勇伝」的に語ることや、机上の空論的な語り方ではない方法で。どうすればいいのでしょうか? 

 私のコーチングでは、よく「経験談を語る」というスキルを用います。
 

 姪が3歳くらいのときに、のどに細い魚の骨がつまり、声を張り上げて泣いてしまったことがありました。ある大人は骨をちゃんと取れなかった大人を叱っていたり、ごはんを飲み込めばとれるよ、とアドバイスしたり。でも、姪はまだ泣き止みません。

 そこで私の父が「おじいちゃんも、骨がひっかかったことがあるよ」と一言。そうしたら、姪は泣き止んで、笑ったのです! たまたまだったと思いますが、(笑) 心の傾聴についてちょうど学んでいた時期だったので、私はえらく感動したものでした。