幸運はいかにして、やってくるのか? 答えはこの回想録の中にある!
前回のあらすじ:
秋のある日、社長が渋谷店を訪問。ウインドウディスプレイが学芸会のようだと指摘される。社長の言葉に衝撃を受け、109の人気店を訪問し、ショップの魅力やブランド背景について学ぶ。その経験からショーウインドウの重要性を再認識し、VMDスタッフとの連携を強化。
社長から「渋谷店、いくら売れたらかっこいい?」と問われ、「5000万円」と答えた瞬間、新たな挑戦が芽生える。予算の自由が許される環境で、新たな戦略を模索。顧客様の獲得やスタッフの採用を工夫し、店の雰囲気を改善。
取締役から「成長とは新しい挑戦」との教えを受け、さらに意識改革。これまでの取り組みを見直し、新たな目標に向かって一歩ずつ進む決意を固める。
第3章:新たな転機の始まり
3.1新たな挑戦と驚きの結果
取締役の核心を突く言葉が私の心に響き、新しいことを始めようと決意しました。私の得意分野は顧客管理です。渋谷店では「顧客がつかない」と皆が嘆いていましたが、私の顧客様は確実についていました。何が違うのだろう?そう考えたとき、私は良い接客を心がけ、お客様に名簿を書いていただき、その後サンクスメールを送ることを徹底していたのです。
「そうだ、私が店長として渋谷店の全お客様にサンクスメールを送ればいいのではないか。」このアイデアが閃きました。お店のPCからBCCを使って一括メールを送信する方法です。スタッフには、初めて接客したお客様のアドレスを集めるよう指示しました。
しかし、時折BCCではなく一括メールで送ってしまうミスもありました。2003年はまだ個人情報保護法が制定されていなかったため、謝罪のメールを送れば特に問題にはなりませんでしたが、どうすればミスを減らせるかを考えた結果、携帯サイトを作ることを思いつきました。当時は携帯小説が流行っていたガラケーの時代です。
ネット上にサイトを作り、新商品の写真を掲載し、そのリンクをメルマガでお客様に送信するという方法を試しました。完全な独学でしたが、なんとか携帯サイトを作り上げました。2003年秋から、渋谷店の顧客様の一括管理を店長である私が行う戦略が始まりました。
この戦略は顧客様に好評でした。2003年冬のVIPセールには銀座店の顧客様も渋谷に来店し、たくさんの買い物をしていただきました。ちょうど年末シーズンだったので、テナントビルで歳末抽選会が開催されていました。1位は海外旅行です。同い年の女性、Nさんが沢山お買い上げになったので、「当たったらお裾分けしてくださいね!」と冗談半分に伝え、抽選会のチケットを少し多めに差し上げました。
その後、仕事の休憩時間に私の携帯にメッセージが届きました。Nさんからです。「ひとみさん、フィジー旅行が当たってしまいました。一緒に行きましょう! 今、携帯を持つ手が震えています」と書いてありました。私も携帯を持つ手が震えました。売上も上がらず、プライベートでも良いことがなく、落ち込んでいた私でしたが、この知らせで一気にテンションが爆上がり! フィジー旅行は、2月7日から5泊6日とのこと。日本が真冬の季節に新しい水着を買い、シュノーケリングの準備をしました!
FIJIは雨期シーズンでしたが、夕方のスコールが少しある程度で、毎日晴れに恵まれました。バナナボートに乗ってシュノーケリングスポットに向かうと、透き通った青い海の中でファインディングニモのように色とりどりの魚たちと泳ぐ幸せに包まれました。
南国の花々は鮮やかに咲き誇り、甘く香るフルーツの味わいは格別でした。シーサイドレストランでのBBQは、海風に吹かれながら楽しむ料理。夢だった砂浜に寝そべりながらの星空観賞! そして、現地の人々の温かい笑顔に触れるたび、心が満たされていくのを感じました。
すべてが完璧な南国のひととき。フィジーの素晴らしい自然と文化、人々のおもてなしの心に癒され、私は完全にリフレッシュして帰国しました。
この素晴らしい経験を経て、私は家を引っ越す決意を固めました。それまで住んでいた部屋は東京でも富士山がよく見える絶景の場所でしたが、急行が止まらないという難点がありました。次は渋谷に近い場所に住みたいと思い、長年憧れていた山手線内の新築物件を探し始めました。
そこは駅から3分の場所で、3階の角部屋が見つかりました。その部屋の窓からは、隣のタワーマンションのコンシェルジュがいるフロアが見えたため、いつかコンシェルジュが常駐するマンションに住みたいという夢もできました。まさに、未来をイメージするのにぴったりな場所でした。家賃は2.5万円高くなりましたが、未来はもっと給与が増える予定と考え、思いきりました!
3.2 おみくじと祖母の教え:決意の元旦
新しい自分に生まれ変わる決意を胸に、2004年の元旦、私は両親と一緒に厄除けで有名な川崎大師で初詣をすることにしました。元旦の川崎大師は大混雑で、住宅地を2時間も並びましたが、両親が付き合ってくれたことに感謝の気持ちでいっぱいでした。
やっとの思いでおみくじコーナーにたどり着きました。ドキドキしながら引いたおみくじの結果は「凶」。がっかりしている私に、母が元気づけるように言いました。「あなたのおばあちゃんは、いつも大吉を引いていたって言ってたけど、実際は、大吉が出るまで引いていたのよ! もう一度引きなさい!」「え?そうだったの?」 祖母の伝説のような行動に大爆笑しながら、再度挑戦しました。しかし、2回目も「凶」。思わず笑ってしまいました。ここまできたら大吉が出るまで引こうと決意し、3回目のおみくじを引くと、今度は「小吉」。少しほっとしました。
私の祖母は、その時代には珍しい女性政治家として活躍した強運の持ち主でした。祖母の笑顔がふと浮かびます。祖母の強運は、ただの運ではなく、努力と粘り強さの賜物だったのです。私も諦めずに、大吉を引くまで頑張ろうと決意をあらわにした帰り道でした。
3.3 運命の一冊
前職の世界的ファーストフードチェーンでの上司の紹介で、その上司が尊敬するA氏にお会いする機会を得ました。A氏とは直接の接点はなかったのですが、私の上司が最も信頼する人物として紹介してくれたのです。
A氏は人材育成のスペシャリストで、世界的に有名なファーストファッションのアパレル企業にヘッドハンティングされているところでした。私がアパレル業界で店長を務めていることも、この縁を引き寄せたのかもしれません。
何度か食事を共にしながら、人材育成についてのアドバイスをいただいていたある日、A氏は「コーチング」の本を手渡してくれました。その本の最後のページには研修部署のスタンプが押されており、思わず笑ってしまいました。
社長から「オシャレじゃなくてもアパレルのビジネスはできる」と言われ、相手の力を引き出すための質問の仕方を模索している最中でした。そのため、このコーチングの本はまさに私にとって必要なものでした。
元上司たちには多くの相談に乗ってもらっていましたが、やはりA氏のような人材育成のスペシャリストは一味違いました。この1冊の本が将来、私のライフワークになるとは、この時点では全く予想していなかったのです。運命的な一冊となりました。
■編集後記
運を引き寄せるポイントは…
1. 当たったらお裾分けしてくださいね!
⇒ 他力本願 (笑)
2. 大吉が出るまで引き続ける
⇒ 当たるまでやり続ける!
◎英語版はこちら
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