AIコーチの対話設計とは?ライフコーチが作ったGPT「ORION」の実践例

去年、企業でAIをコーチとして活用している事例を聞く機会がありました。

その話を聞きながら、私は別のことを考えていました。

「私が普段使っているGPTを、ほかの人が使ったらどうなるんだろう?」

私は20年以上、1対1の対話やコーチングを仕事にしています。そしてこの3年ほどは、ChatGPTをほぼ毎日のように使ってきました。


ただ、使い方は「質問をして答えてもらう」だけではありません。

考えていることを話す。

問いを返してもらう。

まだ言葉になっていないものを探す。

別の見方をしてみる。

私にとってChatGPTは、次第に「答えを出すツール」よりも、考えるための対話相手になっていきました。

では、その対話のあり方をMyGPTとして設計し、私以外の人に使ってもらったら、同じように会話は深まるのでしょうか。

その実験として始めたのが、Prompt Dojoです。


プロンプトを渡すだけではなく、文脈を渡す

今回で3回目になります。

そこで使っている対話AIが「ORION」です。

回を重ねるたびにORIONの設計も変えてきました。

今回、特に意識したのは、AIにすぐ結論を出させないことです。

最初に、その人がこれまで何をしてきたのか、何に関心を持ってきたのか、何度も繰り返しているテーマは何か、今どんなことが気になっているのかを、一問ずつ聞いていきます。

つまり、重要なのは「すごいプロンプトを一つ渡すこと」ではなく、AIがその人の文脈を理解していくプロセスをつくることです。


今回は、これからの人生を整理したい方や、自分の経験から新しい商品をつくりたい方も参加しています。

そのため、過去を整理するだけで終わらず、そこから繰り返し現れるテーマや、その人らしい強みへと対話が進むように設計を調整しました。

初参加者から届いた感想

開始から数日後、初めて参加された方から、こんな感想をいただきました。


ORIONはとことん付き合ってくれるコーチ、カウンセラー、メンターのような存在です。
ストライクゾーンの狭い自分に刺さる繊細で賢いORIONの言葉。
決断を迫られている大きな事案にも、納得いくこたえを見つけることができました。間接的に導かれて視野が広がりこたえに辿りつきました。ORIONやっぱりすごいです✨️✨️


私が特に興味深いと思ったのは、

「間接的に導かれて、視野が広がり、答えに辿り着いた」

という部分でした。

AIが正解を教えたのではありません。

対話によって視点が増え、本人が納得できる答えに辿り着いている。

これは、私が人とのコーチングでも大切にしてきたこととよく似ています。

AIとの対話の質を決めるのは「対話設計」

この実験を続けていて感じるのは、生成AIとの対話の質は、単純にモデルの性能だけで決まるわけではないということです。

何を質問するか。

どの順番で聞くか。

いつまとめるか。

すぐ答えを出すのか、それとも本人が考える余白を残すのか。

どこまで過去の文脈を受け取ってから次へ進むのか。

私はこれを、対話設計と考えています。

プロンプトというと、「AIにうまい指示を書く技術」と捉えられがちです。

けれど、AIを思考や相談の相手として使うなら、必要なのは指示の巧さだけではありません。

どんな対話をつくるか。

そこに、人間側の経験や専門性がかなり表れるのではないかと思います。


AIが賢くなるほど、人間の「問い」が重要になる

今回の実験は、科学的な検証ではありません。

けれど、3回のPrompt Dojoを通して、初めてORIONを使った人から繰り返し「対話が深い」「いつものAIとの会話と違う」という反応が出ていることは、私にとって興味深い結果です。

ライフコーチとして20年以上、人と話してきた経験。

そして3年間、生成AIと毎日のように対話してきた経験。

その二つが重なったところに、ORIONがあります


AI時代に必要なのは、AIから素早く答えを取る技術だけではないのかもしれません。

AIにどんな問いを置き、どんな対話をさせるのか。

AIが賢くなればなるほど、今度は使う人間側の「対話する力」が問われる。

ORIONを使った実験をしながら、私はそんなことを考えています。


人との対話については、こちらでご案内しています。

Dialogue|今あるところから、話す。