傾聴するとき、否定も肯定もしないで、切り込むとは?

 毎週傾聴を教えているクライアントさんがいまして、じわじわと変化してきています。人の相談によく乗るから傾聴を勉強したいというよりも、苦手な傾聴力を身につけないと、未来が切り開かれないというところから、スキルを身に着けているという状況です。

 ついついきつくなってしまったり、仕事において自分の考えと相手の考えとが違うときに、「え?なぜそう考えるの?」と思い、そこをやんわり聞こうとしても、相手にとっては不自然な感じに受け止められてしまったり、結構苦労されていました。

 しかし最近、話をちゃんと聴こうという姿勢をとれるようになり、確認したり、言い換えたりしていたら、相手と2時間くらい話が続いたようで、自分の成長も感じられたようでした。

 しかしその2時間は、ぐったりしたようです。よく話を聴いて、なおかつファシリテーターのようなこともしますので、傾聴をする側は、自由に話している側と全く違うということを体験したようでした。

 順調に聴いていたそうですが、途中で引っかかるところが出てきたようです。「え?!それでできるのか? どうするつもりなんだろう?」と。

 そのとき、そのまま肯定して傾聴を続けるか? それとも、相手はそう答えたか…と様子見で流れに身を任せて話を聴き続けるべきか、迷ったそうです。結局、肯定することがいいのかなと、思ったようでした。

 肯定とは? 同意ですね。クライアントさんは、どちらかと言うと反論したい側にいたので、モヤモヤのままになってしまったようです。

 肯定すると、否定のニュアンスになったり、上から目線に感じられてしまったりするので、私はそうは返しません。クライアントさんは、3つ目の方法が思いつかなかったようです。

 私なら、「と、いいますと?」と、もう少し話を聴いてみようという質問を投げかけます。切り込みです。他の言葉で言うならば、「え、どういうこと?」と、よくつっこみの人がぼけの人に言っている、あの切り込みです。(笑) もう少し聴いてみると、「ああそういうことだったのか」と、自分の中の反論も消えていくものです。自分の概念と相手の概念は、そもそも違うということを忘れないことです。

 これなら否定も肯定もせず、ニュートラルに返せますね。クライアントさんは、また新しいアイテムを手に入れられたようで、試してみたくなったようです。