「旅の目的は?」の質問で見えた日常について。

 旅先で、急に自信を失うような感覚がでてきたので、これはなんなんだ? ということで、急にセッションをお願いされました。私も年に数回、「この感じはなんだ?」と自分で説明がつかなくなっているとき、知人のスピリチュアルカウンセラーに紐解く手伝いをしてもらうことがあるので、クライアントさんの急なそういう感じというのはよくわかるなと思いました。

 1年半ぶりのセッションでした。前回の継続セッションを経て、この1年半の行動はやはり変わっているようでした。自分に休みを与える許可ができないほど、頑張ってしまうクライアントさんでしたが、こうして「ひとり旅」にきて、休暇を取ることに抵抗がなくなったようです。夢とか希望って、あるんだなと、旅先で涙があふれたそうです。

 それで今回は2回目のひとり旅。前回の旅行のときに、必要以上にガチガチにしなくてもいいんだなと、人との出会いを通じて刺激を受けたけれど、日常生活に戻ったら、旅先で感じられた自由な感じにならなかったそうなのです。

 目標がないからダメなのかな、ちゃんとしなくちゃいけないのかな?…と、仕事のことを考えなくて済む旅先だからこそ、「人生」についてのことが浮かんできたのでしょうか。そんなことを考えていると、とてつもなく自信を失った感覚に陥ったそうです。妄想の世界ですから、別に現実は何も変わっていないのでしょうが、落ち込んでしまったそうです。




「旅の目的は?」
「休むためです」
「休むため、ということは、日常が休めていないともいえますよね。眠れていないのでは?」
「そうなんです。日常はよく眠れないんです。それで旅行に来てよく眠れました。そうしたら肌の調子もよくなってきたんですよ」
「なるほど。ONとOFFがありすぎるんでしょうね。今の旅は、休暇の目的で旅をしている状態ですもんね。旅は休暇の目的以外に、インスピレーションを得る場でもあるんですよ。普段から休めるように、睡眠の質を上げることができたら、旅の目的も『休暇』と違うものが持てるでしょう」
「そんな風に考えたことありませんでした。私って、旅の初級者だったんですね。その先がまだあったのか!」
「この旅を通じて、眠れるときはどんなときなのか? 感覚を掴めるといいですね。それを日常生活にも応用すると、日常も休めることができて、変わってきそうですよね」

 話すこと15分くらいで、クライアントさんは、だんだんと気持ちがすっきりしてきたようでした。そして思いつくままに、整理されていないことを続けて話されていきました。

「将来のことがいろいろ湧き上がってきては、本当にそうなりたいのかとか? 自分が何をしたいのかわからなくなっちゃうんです」
「まあ、どっちがいいのだろうか? と考えることが付きまとうのは人生ってことで、それでいいんですよ。ただ、日常生活でも、もっとリラックスできていたら、湧いてくるものは変ってくると思いますよ」

「あ、これでいいんですか? すごくスッキリしました。本当にすごいですね。セッションをお願いしてよかったです!」

 まるで潜在意識の上層部に覆いかぶさっていた雲が薄くなって、光が差し込んでくるようなイメージです。
 旅というリラックスできる場所で過ごすことによって、日常との違いに気付きやすくなります。それでいろいろと気づいてしまって、混乱中だったのでしょう。
 日常でもリラックスできるようになれば、旅において、リラックス以外のことも受け取れるのでしょう。

 また話が戻って、「目標を明確にした方がいいか?」というもやもやについてでした。どちらかというと、「こうならなくちゃいけない」というような、世間の言う目標が、クライアントさんの目標になっているようにも感じました。それが本当にクライアントさんのしたいことかというと、今はそこまで思っていないというのが正直なところです。

 「こうならなくちゃいけない」という段階のときは、とりあえず「こっちの方向へ行きたいな」くらいに捉えて、そっちの方向へは行動をとっていけばいいのです。そうすると、「そうなれるかも?!」と自然に思えてきて、実現する可能性が高まるでしょう。後は潜在意識にお任せですね。いい直感が湧いてきて、導かれるでしょう。

 さらに対話を続けていくと、「そうなったら、そうなれるかも!」と未来へ繋がる道が見えてきたのでした。