気遣う言葉のつもりが、怒りを買ってしまうこと。

 クライアントさんが、従業員さんを気遣ったつもりで出したメールが、逆に怒りを買ってしまったようです。どう言葉を選んだらいいのか? ご相談のメールをいただきました。

 内容としては、A: 「今週の残業時間を知らせてほしい」との要件+残業続きでお疲れのように見えたので、「体調を崩していませんか?」と気遣ったつもりのようでしたが…。

B:>体調を崩したくても休める状況じゃありません。割にあいません。
と返信が来てしまったようです。


私から改善案を2つ挙げました。


<A:もともとのメールの改善案>

いつも〇〇さんには、最後まで責任を持って、
仕事をしていただき、大変感謝しています。
つきましては、......勤務時間をご連絡くださいませ。
いつもありがとうございます。


<B:返信の返信改善案>

ご連絡ありがとうございます。
お身体崩されてないようで、安心いたしました。

残業が重なり大変申し訳ありません。
割に合わないとのこと、残業代でしか今のところ補填できずにいます。
改善できるよう努めます。
いつもありがとうございます。


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 クライアントさんが、怒りを買ってしまった原因としては、>体調は崩していませんか? と、わざわざネガティブなところに焦点を当てている感じがしました。

 お疲れのように見えたので、そう返したとは思いますが、まずは相手の心が少しでも温かくなるには、感謝やねぎらいの言葉なのではないでしょうか。「あの人は感謝が足りない」そういう言葉、結構よく聞くと思います。しかも具体的に書くことが伝わると思います。

 次に、怒りを買ってしまった方への返信です。ある意味、「割りにあいません」と相手の気持を引き出したことは、成功なのかもしれません。そう思いながら、返信を考えてみました。

 返信の改善案は、場当たり的な改善です。これから長年の習慣を変えるには、普段からのコミュニケーションを、小さいことから見直していくことが必要でしょう。

 私は、家族のメールのちょっとした返事でも、受け取る相手のことを想像しながら、改善することを重ねてきました。以前は、かなりぶっきらぼうだったので、人が変わったかのように、心新たに取り組みました。(笑)「相手の言っていることを、ちゃんと受け止めているだろうか?」は、見落としがちです。以前の私は、たいていここをスルーして、自分の言いたいことを告げる形でした。

 また、ちょっとしたことですが、以下の例の場合、受け取る印象が変わりませんか?
 こちらが相手にちょっとした変更などのお願いをするとき、出だしに「申し訳ありませんが…」と書くか、「恐れ入りますが…」と書くか? 

 「申し訳ありません」と来ると、なんだか悪いことをしてしまったかな? となぜかこちらが一瞬ドキッとしてしまいます。一方、「恐れ入りますが…」となると、ニュートラルで、大人な印象を抱きます。もしかしたら、「申し訳ありません」を良く使う人は、物事をよく考えずに、自分を責める傾向が強いのかな? というところも見えてくる気がします。

 クライアントさんは、私の返信に一瞬、自分の至らなさに、落ち込んでしまったようですが、「このことを乗り越えられたら、気分良さそうです。大変だけど出来るようになれば、楽になれると思います」とのお返事がきました。クライアントさんいわく、修行中ですので、私もどんどん適切な言葉をシェアしながら、引き続きサポートしていきたいと思っています。

 相手にいいタイミングで、適切な言葉を言えるようになるには、相手を思い遣ることを常に意識したり、自分のところにやってくる言葉にも感度よくなるといいと思います。いい言葉だなと思ったら、自分も真似して使ってみること。
 子供のころから自然に身に付いたボキャブラリーだけでは足りないので、新たに大人の言葉を覚えなければなりませんね。



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このままだと、ずっとこのままかもしれない。
『90日コーチング』





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