「自分の口から言えている感」を持つことが、自信にもつながる。

11.9 Development 関連エピソードシリーズ⑤です。


 「お客様の要望にあった商品の説明するとき、もっと相手に届くにはどうしたらいいか?」というテーマのセッションでした。そういう悩みというのは、モノを売る仕事には必ず出てくるところだと思います。

 クライアントさんの周りの人を見ていると「でもですね」という感じで、推し進めているようにも見えるそうです。それは、お客様の都合よりも、こちらの都合みたいに感じてしまい、これでよかったのか? と後から迷いも生じるし、クライアントさんとしては抵抗があるようでした。

「しっかり話せたと感じるときと、しっくりと行かないときとの違いは?」

「迷いながら説明しているときは、自信がない。自分の言葉になっていない、やらされている感を感じますね」

「なるほど。自分の言葉になっていないというのは、理解が甘いところがあるのでは? オススメするモノのことを熟知していれば、説明しやすいですよね」

「そうかもしれません。自分の言葉で説明できない感じが、しっくりこないんでしょう」

「準備不足をなくすってことですね」

 今の段階では、どう伝えるか? ということよりも、理解を深めることだったり、説明の練習を繰り返すことが必要だと見えてきました。「自分の口から言えている感」を持つことが、クライアントさんの自信にもつながるでしょう。

 何しろ練習が大事というのは、運転免許を取るときと一緒です。教本を読んだだけでは、運転はできません。
つまり、覚えたものが、本当に覚えられているか? を確かなものにするには、言葉に出してみることです。

 英語学習でもよく言われますが、英語も繰り返し口に出して言うこと、本番を自ら作るようにして、そのシュチュエーションにあったフレーズを口にしていくことが一番自然と覚えるプロセスです。

 説明を目で読んで、それで理解できるかというと、言葉にしてみようとするとできないものなのです。説明を読んだら、身近な人にアウトプットしてみることです。なんどもそのことについて話しているうちに、説明がうまくなるというものです。

 脳にとって当たり前のような学習フローですが、インプットだけして、アウトプットできていない状態の人は少なくないのではないでしょうか。

 クライアントさんは、「どうすれば伝え方がうまくなるのか?」と、練習よりも先に方法を知りたいと思っていました。それが、思考の癖であることも、同時に発覚です。それでは、無意識にインプット過多になってしまうでしょう。机の上で、「うーん」と考えているだけなので、逆に、もっと悩みは増えるのではないでしょうか。

 練習というのは、ときに苦痛を伴うこともあるかもしれません。しかし、脳は、意思とは関係ないので、嫌なものも、繰り返しさせれば覚えてしまうところがあるくらい、単純です。

 クライアントさんは、「意思とは関係ない、やるかやらないか」という言葉を最近目にしていたそうで、セッションとのシンクロに驚いていました。

 もう一つ、クライアントさんが接客に集中できない理由として、右耳にイヤホンをつけさせられているというのがあるそうです。万が一、質問したいことがあるときなどは、役に立つそうですが、そうでもないときは、聖徳太子のように、2つ以上のことを処理する…という脳の使い方ができればいいんでしょうが、できないので! どうしよう…と。



「質問をしたいときだけつけるとか。音を小さくするとか」

「そうか!」

「決まりと思い込んでしまうとがんじがらめですね。ちなみに、右耳と左耳どちらがいいか試しました?」

「え? なんですかそれ?」

「人には効き耳というのがあるんですよ。左右の耳、どちらが仕事しやすいか、試してみるといいですね」

「そういうの知りませんでした!」


 話が飛んでいきましたが、仕事中もこうして色々な実験ができますので、結構楽しめたりするものです。