私、合わせるから疲れるのかな?

 山登りは、頂上に立って初めて「こんな景色が見えるんだ!」とわかるものだと思います。コーチングも連続性があるからこそ、だんだんと見えることが変わっていくのです。

 3年くらいセッションを継続されているクライアントさんが、今年はようやく自分のなかで変化を実感することができたと、喜んでいらっしゃいました。行動が続いている以上変化されているなと思っていたのですが、ご本人の中での実感、というのは、なかなか難しかったようです。セッションの頻度も、以前はかなり空いたりしていましたが、今年は月1回はセッションをしたいという気持ちになるようです。

 今回のセッションは、日常のちょっとした選択について、細かく考えてみたいことがあったようです。
休日に一人で映画を観に行こうと思っていたら、旦那さんから一緒にランチへ行こうと言われ、どっちを選択したらいいか? 迷っているとのことでした。

 自分がしたいことがあるところに、一緒にすることも出てきて、どちらかをあきらめると、「やりたいことができていない」とか、「あきらめてしまった」というネガティブな感じが残るのが気になるそうです。

 いっそのこと、コントロールを手放すということを覚えてしまうと楽になるのではないか? と視点を変えました。流れに身を任せて、「そうなったか」という方を受け入れて、楽しんでしまうということです。この場合、「映画に行きたいけれど…」と旦那さんに相談してみて、そのあとを決める。映画は後から観ることもできるし、旦那さんとご飯になったらなったで、ご飯を楽しもう。聞いてみたほうが、2つ達成できるかもしれませんし。

 もう一つ、たまに地域の人とやっているスポーツに行かなかったそうです。「行かなくてはいけない」という義務的な感じが重くその日は行かずに、目的のものを買いに行く日にしたようです。しかし、後から考えると、少しばかり罪悪感も残ったようでした。

 私はこういう場合、「両方できるにはどうしたらいいか?」と考えます。スポーツは健康にもいいし、行けば楽しいでしょう。買い物はネットでも買えるもののようですから、後からできますし。今しかできないことを優先していくのです。

「流れに任せて、そっちになったのも意味があると思って時間を過ごそう。流れでいいことが起こることもあるかも!」そういう風に考えことができると、流れに身を任せる人になるのです。

 クライアントさんは、どっちかをあきらめようとしていたから、辛くなっていたのでしょう。
 でも、そもそも「色々とやりたい、これが私なんですね」とクライアントさんが気づかれました。迷うほど、やりたいことがあるということです。セッションを受け始めたころと比べると、別人のようです。
 最初は、周りの人に迷惑が掛かるから…と思い込んでしまって、我慢を随分続けてしまっていたようで、「自分の気持ちがよくわからなくなっているのです。こんな私でもコーチング大丈夫でしょうか?」というところからでした。

 だんだんと、我慢せずに周りにやりたいことを言ってみて、行動してみて…ということを実際にしていったのです。今は「そんなに色々とやって疲れないのか?」と旦那さんに不思議に思われるほどになっていました。

 コーチングで、自分の内側の声を聞いていったら、結構いろいろとやりたい人であると、自分のことがわかってきたのです。合わせなくちゃ、合わせなくちゃ…と思っていた旦那さんとは正反対のタイプだったと、ちょっとわかりかけてきていました。




「私、合わせるから疲れるのかな?」とクライアントさんがおっしゃったので、私は「そうだと思います。ようやく気づいたんですね!」とフィードバックしました。

 クライアントさんは、「合わせよう」としすぎて、我慢になって、それでも合わせなくちゃ申し訳ないのかな…と、やっぱりそこが引っ掛かっていたようでした。しかし、ペースを合わせたり、いろいろとやってきたけれど、お互いにペースが違うということだったのか、と。

「合わせなくても、絶妙に合ってしまう夫婦を目指そう!」と、私は、合わせるの概念をそこに持っていきました。

「どちらかを選ばなくてはいけない」より「両方選ぶにはどうしたらいいか?」
「断られるかな?」よりも、「とりあえず声をかけてみよう、後は流れに身を任せよう」
そんなマイルールを持てば、迷いもなくなりますね。

 「合わせなくていいんだ」と思えたクライアントさん、これからもますます良い変化が起こるのではないかと思います。