「これでいいですか?」と、その都度聞いてくる人の対応は、どうしたらいいか? 

 「これでいいですか?」と、その都度聞いてくる生徒さんの対応をどうしたらいいか? 考えるセッションがありました。

 1つやったら、「これでいいですか?」また、1つやったら、「これでいいですか?」と訊いてくるので、「それは、もうちょっとこうした方がいいですね」と修正するとまた、「これでいいですか?」と訊いてくることが多く、クライアントさんは、「何でできないのか?」といちいち聞いてくる人の対応に困ってしまうとのことでした。

 そのやり取りを聴いて、おそらく、「完成イメージ」が自分と相手との間で、定まっていないような気もしました。
 こちらは、ある完成イメージに近付けようと「もうちょっとこうした方がいいですね」と指摘していると思うのですが、相手にとっては、そのイメージが見えていないから、1つやると1つ確認するといった、循環になっているのではないでしょうか。

 一方で、ある生徒さんは「今日のテーマは、○○です」と言いながら、作品を作りだしていて、習得も早かったようでした。その生徒さんは、「テーマを決める」という考え方を、その作品づくりにかかわらず、生活の中で取り入れているかもしれません。

 例えば、作品を作る前に、出来上がりの図を紙に書くことから始めてみるのもありでしょう。設計図のように描いてみるのです。
 しかし、クライアントさんの中では、「そこまで伝えていいのか?」と言うのがあるそうなのです。相手の創造性を引き出せないのではないかと言う心配です。

 もう少し、相手の立場になって想像を膨らませてみました。相手の経験値によっては、「いい感じ、という感触がまだ分かっていない」段階もあるのではないでしょうか。「いい感じに感じるものを選べないとき」という段階です。その生徒さんも、始められたばかりとのことでしたので、当てはまりそうです。


 例えば、ファッションもインテリアも、テーマが定まっていないと、何を買っていいか、揃えていいか、分からないでいる方も少なくありません。

 友達にファッションのことを教えるとき、「そういうのが、分からないんだよね」と、言われることがあり、私にとっては、今となっては、「え!」と思うようなことだったりします。でも、思い返せば、私も「自分に何が似合うのか? これはありなのか? 重ね着ってどうするの?」ということが良くわからないことでした。
 私は、雑誌や実際に街で意識をして、ファッションを観察してみることで、「これがいい感じか!」という感じが、なんとなく身に染みてきたように思います。まずは、いろいろとサンプルを見ないと、という段階が必要でした。


 私が、アパレルにいたときに、ディスプレーが出来なかったのですが、ディスプレーができる人に、創るとき何を考えているのか? 聞いたことがありました。
 例えば、2体のマネキンを並べたとき、それぞれに何を着せるか、という場面です。

 そのスタッフは、「二人の背景にパリの景色が見えるように着せています」と言いました。それを聞いたとき、私の中で、一気に謎が解けたように思えたのです。
 結局は、ずっとディスプレーはできませんでしたが、自分の着る服、相手が着る服ならば、テーマに基づいて、コーディネートすることができるようになりました。

 また、お店のショーウインドウについて、悩んでいた頃、上司が私を109に連れて行ってくれたことがありました。数店舗、説明しながら一緒に回ってくれたのです。
 「この店は何で混んでいると思う?」「ここのブランドはね・・・」と、色々と説明をしてくれました。自分のお店とターゲットが違うのに、そこから学べることが色々あるのだと、知りました。
 そのように、たった1回だけ、一緒にストアーツアーをさせていただいたわけですが、私の中では、とっても大きなヒントを頂いたように感じました。

 なぜなら、自分の答えを引き出すための、「考える視点」を授けてくれたのです。答えを導き出すための、考え方を教えてもらった経験が、様々な場面でも生かされています。

 先日、姪っ子4歳と家族旅行へ行きました。高速道路を通っていたとき、私に色々と質問をしてきました。「この道は、どこにつながっているの?」とか。
 ここで、すぐに答えを言わず、私は、3択クイズにして、答えを決めてもらうようにしました。そして、姪っ子が答えたのは、「2番、お空につながっている」だったので、笑ってしまいましたが。(笑)

 私としては、1+1=2 という場面ではなかったので、答えは一つと決めつけず、いろいろと想像を巡らしてくれると面白いかなと思ったのです。

 「ここまで伝えていいのか?」きっと、答えは無限です。心配することなく、伝えてみたらいいのかもしれません。
 そして、教えるというのと、引き出すというのは、違うことを意識することです。

 私が、引き出された経験を通して思うのは、引き出すことは、問いかけたり、イメージを伝えることなのではないかと言うことです。

 今日はこちらの質問はいかがでしょうか?

引き出していますか?