家族や友達にセッションのような傾聴をするとき、どうすればいいか?

 クライアントさんの友達は、どことなく寂しさみたいなものをいつも持っているらしく、「すごくさびしい」とよく言うのだそうです。
 クライアントさんは、コーチングの勉強もしたので、傾聴してどうにか役に立ってあげたいとは思うようですが、なかなか、セッションをするような機会にならないようでした。

 その人は、「お母さんに愛された記憶が無い」とおっしゃって、クライアントさんは、共感が難しく感じて、どう返していいか迷ったようです。

 理論的には、「そう感じるのですね」と共感的理解を示して、本当に愛されていないといっても、100%本当にそうかと言いきれることって、ないでしょうから、少しでも愛されていた事実を探しに、傾聴をしながら見つけていくこともできるのかもしれません。でも、そんな理論的なことを心がすぐにウエルカムするかと言うと、順番というものがあって、まずは、寂しい気持ちを吐き出してもらうことが、先なのかなという話になっていきました。

 クライアントさんは言いました。「相手が話せるように、黙り切れていないのかしら?」と。しかし段々、「それよりも、相手が受け取ってくれないような気がするから、そうなっているのかも」と言うところも見えてきました。

 「私がどうにかしてあげようとしすぎですかね?」とクライアントさんがおっしゃったので、「どうにかしてあげたい」と思うことは、別にいいんじゃないですか、と私は言いました。

 ここで、私がふと思ったことがありました。コーチングとの差は、コミットメントの違いなのではないかということです。こちらが、どうにかしてあげたいと思うことがあったとしても、相手との間にコミットメントがないと、進まないでしょう。

「問題を解決したいのかどうか?」と。
「寂しい気持ちをやめたい?」とまずは、訊いてみるところなのかもしれません。相手がやめたいのなら、話を進めていきやすいのです。

 クライアントさんの知り合いの方は、自分のところの商品を買わないスタッフは、辞めてもらうように促しているそうです。「買わないのどう思う? ありえないよね」とクライアントさんに訴えてきたそうなのですが、どう答えていいか迷ったようでした。

 「あなたが、人を自分で切ってしまうことが、寂しいにつながっているんだよ」というところなのでしょう。自分で自分を寂しくしていることを、まずはフィードバックしてみたら、「寂しい気持ちについて考える?」とコミットメントに進みやすいと思います。


 先日、4年前くらいにセッションをしたクライアントさんから、「他のコーチのセッションが、腑に落ちない点があったので、相性の問題か? 自分の理解が甘かったのか? どうなんでしょうか?」と質問を頂きました。

 思い当たる点を10個くらい書きました。中でも、「もっと深いところまで聴いてほしかったけれども、質問が少なかったこと」が合致したようで、腑に落ちてホッとしたとメールを頂きました。

 対面セッションのクライアントさんには、「実は、私、コーチングが苦手だったんですよね」と言われたのですが、セッションが終わった後のメールに「コーチングが大好きになりました」と返事を頂きました。
「置いてけぼり感を感じたから」苦手に感じたのだそうです。例えるならば、自分だけが、裸になって、向こうはスーツを着たままという感じで、なんだか自分だけ恥ずかしい感じがして、ますます話せなくなってしまったようです。

 私も、過去に「コーチングが嫌い」と思われたようで、二人ばかり友達を失ってしまいました。友達だからといって、熱く関わりすぎたと思います。しかし、それが相手を隠れたところで否定していたことにつながっていたのでしょう。相手は敏感に「寄り添われていない」と感じるものなのです。

 クライアントさんの、どうにかしてあげたい気持ちは、なくさなくていいのですが、自分だけが、「寂しい気持ちに向き合ってみたら」と思っていても、相手との間にコミットメントがないと、なかなか相手にとっては受け取りにくいのだと思います。

 そこが、家族や友達にコーチングするのが難しいというところではないでしょうか。私も母が悩んでいた時に、傾聴を試みたことがありましたが、母が私の言うことに耳を傾け出した瞬間と言うのは、母にとって助かる「真実」を見いだせたときからです。
 「相手によくなってもらいたいと願っているのならば、相手に厳しく接するよりも、相手がこれからすることを信じて見守ってあげることなんじゃないかなと思う」と伝えてからでした。

 聴く仕事だからとか関係なく、人はその人にとっての真実を知りたいのかも知れません。たまたま、この仕事を通して、真実を見つめる目が大切と感じました。

 相手の話をただ聴いて、見えてきた真実を相手に伝えること。もし、それが相手にとって腑に落ちるものならば、自然と相手も話してくるのだと思います。私は、家族、友達との間では、そんなふうに傾聴のスキルを活かしています。

 今日はこちらの質問はいかがでしょうか?

相談に乗るとき、どんなことを大切に考えていますか?


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■2013年10月19日(土)開催
第20回 秋コミコレクション テーマ「真実と喜びの発見」
講師:堀口ひとみ・播磨弘晃 @東京国際フォーラム




【内容】
「事実」とは、実際に起こったこと。 「真実」とは、その人の内側にある思想によって、本当だと思い込んでいることです。 つまり、何を真実とするのかは人それぞれなのです。私たちは、相手の言った言葉や行動に解釈をつけて、自分の真実にするのです。その解釈は、人によって違うところがあり、人によっては、「怒り」に感じるかもしれませんし、人によっては「喜び」に感じられる場合もあるのです。 自分にとって、喜ばしい「真実」を発見できると人生はどう変わるでしょうか?

【ポイント!】コミコレのワークで、①自分軸(自分の受け取り方、解釈の癖を見る)
②相手軸(相手の好意を認める言葉を紡ぎ出す)
について、扱うことになるので、
普段の自分の表現力も増えていくヒントが満載です。


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