自分のコツコツやっていることは、他人から見えないのだから。

 5回目のセッションまでに、怖いという理由で、これまでしたことがなかった行動も色々されて、それだからこそ、味わう新しい感情だったり、気づけることがあったり、心の変化が起きている様子のクライアントさんです。今回は、「コミュニケーション力を磨きたい」というテーマでした。上司に「部下同士の横のつながりが薄いのではないか?」と言われたことが気になっているとのことでした。

 それぞれの人がよそよそしく、あまり関わっていない様子に見えているということのようです。全体で集まることがあっても、自分が話を繋げる役割に徹したり、自分だけが話していて、みんなが聞いているという状態であったり、それぞれが自分から関わろうとしている感じが薄いようでした。

 私が上司をしていたとき、それぞれが自分らしさを発揮しやすい環境づくりとして、こんなことをしましたよ…というのをシェアしたあと、以下のような流れで進んで行きました。

(クライアントさんから)
「誕生日会もやっていますし、みんなで食事もたまに行きます。ある部下は頼りなかったけれど、私が堀口さんのブログをお薦めしたり、コーチングを受けていることを話したりもしています。そういえば、彼女は色々と教えたことで変化してきて、今月はセールスアップしていますね。他2名は、最初はよそよそしい感じでしたけど、『二人で一緒に出かけるので、休みください』って最近そう言えば、言ってきました。」

「コミュニケーション、良くなってきていますね。何で気づかなかったんだろう? 自分のやっていることを承認していないんでしょうかね?」

「はぁ。言われてみたら、横のつながりができてきましたね。なんで、まだできていないと思っていたんだろう?」

「ですよね。あ、そう言えば、同じようなクライアントさんいらっしゃいましたよ。私がその人のことを『激変しました』とブログに書いたら、クライアントさんは、自分のこと変わったと思っていなかったそうで、ブログを読んで驚いたようです。『堀口さんは、変化したところにフォーカスしていたけれど、自分自身は、できていないところに相変わらずフォーカスしていたから、気づかなかったんだ…』と言っていました。それと似ていますね」

「あ、同じです。(笑)できていないところにフォーカスするの、癖ですね。言われてみたら、最近、満たされた気持ちになった出来事は、出来たところを数えていました。そうすればいいんですね」

「ですね。だけれども、長年の癖ですからね。出来たところを数えましょうと言っても、すぐには難しそうですけど、どうでしょうかね?」

「今の自分を許せていないのかな?」

「なるほど。 未完成の自分は許せないんでしょうか? そういう想い癖ですかね。子供の頃からの癖ですか? 頂上だけをよしとするよりも、途中で『ここまで登れた』と感じることは幸せなことですし、完成までのモチベーションにもなりますよね」

「あ、他人軸であるからだ・・・。他人の評価の方を気にします」

「ああ、他人軸。自分のコツコツやっていることは、他人から見えないですよね。脚本家のウディ・アレンは、批評を読まないそうですよ。あてにならないからと。いくら、他人が汲み取れる人だったとしても、結局のところ、細かいところは自分しか知る由がないですもんね。それはそうだなと、自分を信じることでいいんだと思えました。私も自分で自分を細かく見てあげれば十分だと感じています。ドキュメンタリー映画『映画と恋とウディ・アレン』お薦めですよ。あれを観ると、自分軸に戻れますから」

「自分軸で考えればいいって、頭ではわかるんですけど、なぜか…。あ、他人軸。父の顔が浮かんできました…(汗)」

「父親、また出てきてしまいましたか。そのように見る父親を許せていないようですね。自分の成長を妨げるものは、どんどん許そう!(笑)」

「妨げに気づいていなかったですね…。許します(笑)」

 コミュニケーション力を磨きたいというテーマから、ゆるしに着地しました。これまでのセッションでも、結果がでているのにも関わらず、見落としているということがあり、「受け取れていない」という課題も出てきたのですが、その根源となるところが、今回はさらに見えてきたようでした。

 今日はこちらの質問はいかがでしょうか?

自分で自分の成長を追っていますか?