本当は怒っているのに、我慢をしたままが、実は続いていた。

「動かなきゃ、動けない感じについて」というテーマのセッションでした。これまで、「自分にムチ打つやり方」でそういうときは切り抜けてきたそうですが、新しい方法へ変えたいとおっしゃっていました。
 以前も転機のタイミングで、数回90日コーチングをご利用いただいていたクライアントさんで、そのときそのときにおいて、ベストな方向へと進めることはできていました。だからこそ、またリピートしていただいているのだと思います。

 しかしながら、数年前の悩みが軽くはなっているけれど、クライアントさんの使う言葉や今の状況を考えてみると、また同じ問題を引き寄せているようにも感じました。いったい、クライアントさんの中で、同じような状況を引き寄せてしまう信念は何だろう? インナーチャイルドの声は何だろう? と意識しながら、さらに傾聴をしていったのです。

 1年前に転職した会社は、クライアントさんから見ると、トップ、上司が厳しく、反省会のようなミーティングで、泣き出す人もいるほど厳しいようです。確か、前の会社でもそういった厳しさを感じていらっしゃったことを思い出しました。クライアントさんの見てる世界は、「コントローラ系、怒る人が多い上司たち」というのは、共通項です。

「コントローラー系を引き寄せるのはなぜか?」ということについて考えていきました。自分の何かに気づいてほしくて、引き寄せている現象なのだと思います。相手は自分の鏡です。

「言いたいことがあるけど言えない。こうですと言いたいけれどイライラしている」というところから、クライアントさんは、実は自分も怒っていることに気づきました。

 そして、上司たちの怒り方は、母親の気質に似ていると、クライアントさんがご自身でお話になりました。子供の頃、相手が喜びそうな答えを考えて言おうとしていたそうなのです。今は大人になって、母親を許しているし、母親も自分が未熟だったことを謝ることがあったそうです。
 
 クライアントさんがそのときおっしゃいました。「許してやるかって思ったんです」と。私は「なぜか上から目線ですね」と突っ込むと、「本当だ」とクライアントさんが気付きました。まだ、実は癒されていないのかもしれません。

 今、上司から不条理な言い方などで怒られたとき、「その言い方は、この人の問題だろう」ということで、納得させているようです。でも本当はガーっと言いたいけれど、そうするとみっともないからやらない。無理矢理、大人の対応を取ろうとしたり、相手を見下すことで収めてきたという、自分の感情の収めかたについてが言語化されていきました。そこが、クライアントさんが最初におっしゃった「自分にムチ打つやり方」なのでしょう。

 そういう親が嫌だったから、自分の子供にはしないようにしているそうですが、どこかで私はあんなにされた・・・と思っているところがあり、自分の子供に怒りをぶつける夢も何度か見たことがあったそうです。

 本当は怒っているのに、我慢をしたままが、実は続いていたのです。
 以前に口の周りにできものができたとき、友達に「言いたいことがあるけど、言えていないでしょ」とズバリ言われたそうです。そして、自分が一人でいるときに、怒り、悲しみを吐き出したことがあって、そのときはすごくすっきりとしたようでした。最近は、そういうふうに自分の感情に向き合う時間が取れていないそうです。以前、とてもすっきりしたように、これからは、自分感情を味わって解き放っていくことがもう少し必要なのかもしれないと、ご自身で気づかれていました。
 そして、その我慢が、喜怒哀楽の 「怒・哀」をなくし、淡々としている自分を作り出していることにも気づかれていました。「本当は怒っている」ということから、その下にあった感情について見えてきたのです。

 また、感情を押し殺すことが、自分の仕事でのアイデアまでも止めてしまっていました。間違えを指摘されるのが怖い。監視されているような、あらさがしをされているように感じることから、ここでも言いたいことが言いにくくなってきているようでした。そんな自分への対処法として、「間違ってもいいからやってみよう」と言い聞かて行動を起こすようにもっていけばいいのかなとおっしゃいました。

 それを聞いて、まだ無理矢理感がまだあるのでは? と私はフィードバックしました。そして、私だったらこのように事実を取るということをシェアしました。「細かいところまで見てくれている、ありがたいな」と、相手のしてくれたことに着目してしまうのです。そして、「細かいところまで見てくださってありがとうございます」と相手に言う言葉がこれまでと変われば、次第にクライアントさんが見る世界は、変わっていくのではないでしょうか。

 そして、いつも自分が我慢をしていると感じ続けていることが、「受け取ること」を拒否しがちであるということへもつながりました。

 自分が責められる言葉は、相手からよく聞こえてくるけれど、褒められると、相手の言ってくれたことが、自分の中に入っていっていないようでした。自分が責められているという感覚から、相手がしてくれたことにも着目する視点が、クライアントさんの見ている世界を変えそうです。「謙虚=相手の話を素直に聴くこと」と辞書に書いてある通りです。

 セッションの最後には、これまでの1年は、働きながら技術を身に着けてきたけれど、これからの1年は、輝けるように、例えば、引き抜かれるほどの魅力を持つことをテーマにしていきたいと、おっしゃいました。

 満月の翌日のセッションでした。満月は、「手放したい感情や物事」を紙に書きだして、満月に解放を願ういいタイミングです。

 解放されたところに、クライアントさんが本当に願っていることが、入るスペースができることでしょう。

 本当は怒っていることはありませんか?