「相手にどう思われるか?」を気にするモードから脱出するには、どうしたらいいか?

 転職先が決まったけれど、引き継ぎや、これからのことで迷惑をかけてしまうこともあるのではないかと思うと、お世話になった人たちにどう転職について知らせていけばいいか? 伝える言葉を悩んでいる」というテーマでした。そこでポジティブに、「次の会社、すごく楽しみなんです!」というのも、違うのではないかと、思っているようでした。

 また先日、転職活動中のクライアントさんから、「伝え方」についての相談メールをいただきました。面接で、「前職の退職理由を言う」場面でのことでした。

 2つとも、似たようなお悩みです。「相手にどう思われるか?」を気にするモードになっているとき、そういう思考にはまりがちになるでしょう。「相手によく思われるにはどうしたらいいか?」という問いが、きっとたっているのではないでしょうか? だけど、その問いから考えていくと、自分の事実からかけ離れてしまうことも、きっと不安なのです。

 だからといって、「相手にどう思われるか気にしない!」と強気な気持ちを持つというのも少し違う気がします。どうしたら、本当の意味で「相手にどう思われるか気にしない」になるのでしょうか。

 「前職の退職理由の言い方について」の相談のメールを引用して、考えていきたいと思います。
 
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★クライアントさん

せっかく面接に行っても落ちてしまうことがあります。
面接では、「なぜ前職で実績もあげてきたのに、退職したのですか」
「辞めるのは大きな決断だったのではないですか」といったことを聞かれることが多く、
その動機がネックになっている感じがします。

「また、すぐに辞めるのでは?」と思われないよう、
前向きな転職理由にしたいのですが、見ていただけますでしょうか。

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 クライアントさんは、「すぐに辞めるのでは?」と相手に思われないようには、どう辞める理由を伝えればいいのだろう? という問いで考えていらっしゃるようです。
 しかし私は、「辞めないと思われないように書く」よりも、「事実を書く」ことをしていきました。クライアントさんとは5年くらいやり取りをしているので、これまでのこともよく知っています。以下の部分を転職理由に付け加えるようにアドバイスしました。

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★追加文章

前の会社は、とても成長できた場所であったので、
正直、退職することに申し訳ない気持ちもあったのです。
実際、辞める決断に至るまでに1年かかりました。
しかし、自分の将来のことを考えてみたら、
もっと他のことに挑戦してみてもいいのではないかと踏ん切りがつきました。

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★その返事を読んでクライアントさんから。

なるほど、決して簡単にできた決断ではないけど、
すごく成長することができたから、次のステップへ
挑戦する決心がついた、という流れにすると一貫性がでますね。

感謝することができれば、辞めるという決断も
次につながるただの一つのステップとみることができる、
ということなんですね。

そういう捉え方は気がつきませんでした…
これで明日の面接大丈夫そうです。
ありがとうございます。がんばります!

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→ その後、「内定が決まりました」とのご報告をいただきました!


 私が、何を基準に添削をしたのかというと、クライアントさんの事実を書いただけなのです。自分の中で「後ろめたい気持ち」があると、文章もそうなってしまい、思考は現実化しますから、やはりご縁がないことが実現してしまうかもしれません。

 私が、クライントさんの事実をまとめたことで、「本当にそうだった!」と、クライアントさんは思えたのです。それが、自信へとつながり、実際に内定を獲得することにつながりました。

 今回のクライアントさんも「事実を言うこと」に着目しました。私がこれまでのセッションを踏まえて、事実をまとめると、クライアントさんの中でも、「それなら言えそうです」となっていきました。

 逆を言うと、「困った」と思っているときは、事実と違うことを言おうと考えているときになります。迷惑に思われないように言うには? とか、相手に突っ込まれないように言うには? とか。対処法をいつでも考えようとしてしまうと、自分の本当の気持ちもどんどん遠ざかっていくのです。

 「困ったときは、事実を述べる」。私は自分にいつもそう言い聞かせています。そうすると、もし失敗したとしても、自分の中で納得ができているから、切り替えが早く、次の行動へ前進しやすいのです。そしてこの結果は、ベストを引き寄せる方向へと進んでいるのだなと、思えてくるものです。

 今日はこちらの質問はいかがでしょうか?

事実をどう扱っていますか?