「大丈夫ですよ、できますよ」と、本心とは違うのに反射的に言ってしまうことがある。

　「誰にでも良い顔をする、八方美人なところがある。仕事でもプライベートでも、信用を失う事にもなりかねないので、これを機に断り方について考えたい」とのことでした。これまでのセッションで、嬉しい変化を起こしてきたところで、ふと気づいた問題点のようでした。

　例えば、お客様や周りの人に頼まれたことにたいして、「できますよ」とその場の雰囲気に乗せられるように言ってしまい、あとから本当はできなかったんだと気づいて、訂正も言えず、自分への負担が増えてしまうこともあるとか。またプライベートでも、こちらとしてはそこまで好意を抱いていたわけでもなかったけれど、相手には好意があると取られていたこともあったようです。自分が無意識で、本心と違う言動をしているのかな？　と不思議に思ったようでした。

　「大丈夫ですよ、できますよ」と、本心とは違うのに反射的に言ってしまう癖。一体、何がそうさせてしまうのでしょうか？　

　そもそも「断る」という言葉のイメージが、クライアントさんの中でネガティブイメージになっていて、断れないことになっているのかもしれません。
　「…できますか？」と訊かれたとき、「ダメです」とか「できません！」と言おうとすると、少し強いかなと思って、発言したい言葉を出しにくくしてしまうこともあるかもしれません。

　そんなとき、言葉に感情を絡めない言い方があります。少しビジネスライクになりますが、「可能か不可能か」という言葉を使えばいいのです。そこには、感情が絡んでこないですから、わりと口から出しやすい言葉になります。
　人を誘うとき、断れる場合の恐れを先に感じてしまって、人を誘えない人も少なくありません。自分でビジネスをする場合、その抵抗感で集客を難しく感じている人もいるほどです。
　お誘いするときに使いやすい言葉として、「時間的に可能でしたら」という言葉を用います。こちらも言いやすいですし、相手も返答がしやすいものです。

　先日のブログに、「頭と心が一致していない言葉を発してしまうとき」という記事を書きましたが、クライアントさんは、「そう言う人もいるだろうな～」でスルーしていたとのこと。自分のことなのに、気づかなかったとのことですから、やはり、日頃から自分の気持ちについて観察不足かもしれないということも見えてきました。

　自分が思ったことを言えなくしているのは、自分がハードルを上げているからという理由もあります。「１回できちんと言わなくちゃ」とか、「後から訂正できないし」と思っているからです。　
　言える人というのは、「今はそう思ったけれど、後から違うことになったら、訂正すればいいし」くらいに思っています。「少し考えます」と言って、あとから伝えることも可能です。人間ですから、気持ちが変わることも当り前だと捉えています。なので、人が意見を変えることにも、きっと寛容でいられる人でしょう。

　クライアントさんは、まさに「１回でまとめて言わなくてはいけない」と思っていました。その垣根が取っ払えば、自分の気持ちを表現するハードルも下がることでしょう。段々と対話をしながら、クライアントさんの心が楽になっているようでした。
　「今のところは・・・と思います」とかクッションを入れながら、自分の気持ちを表現していくことに、慣れていくことです。自分の気持ちを知るには、気持ちをノートに書きだしたりして、常に向き合ってみることも、オススメの方法です。

　いつも正直であるということは、成長するために失敗を引き寄せることもあるでしょう。そのときは、色々と大変だったとしても、成長するために必要な出来事だったと、そのまま認めることができるはずです。

　セッションで、「自分の気持ちの表現の仕方」を考えただけでも、クライアントさんは、既に楽な気持ちになられているようでした。

　今日はこちらの質問はいかがでしょうか？

自分の気持ちに耳を傾けていますか？