傾聴とは、質問、フィードバックで、相手の思考を促進していく技術。

 自分のコンテンツをビジネスにされている、個人事業主のクライアントさんとのセッションでした。新しいセミナーの内容を決めたいとのことでした。
 そのようにかなり具体的なテーマの場合、私の質問のセンスがとくに試されてしまうので、よしきた! という感じで楽しくセッションに挑みます。(笑)どんなフローで私がセッションをしていったか、振り返ってみます。

1.「今、内容として漠然と考えていることは何ですか?」と質問から始まりました。
(クライアントさんの答え)
・今更聞けない知識のこと。
・モチベーションアップの仕方。
・お客様とのコミュニケーション。
・パートナーシップについて。(ブログで反応があったため)

2.その内容を聞いて、私が感じたことをフィードバックしました。
「表面的に困っている、というようなことのように感じましたが…」

3.クライアントさんが、「あぁー」となったので、すかさず質問です。
「もっと人が気づいていなさそうなことをテーマにすると?」

ここから、クライアントさんの答えが、最初に言っていた内容とガラッとかわり、確信に入った温度感がありました。
(クライアントさんの答え)
・業界の常識に縛られていることに気づいていない人が多い。
・外でも活躍したいと思っている人に役に立ちそうな内容。
・このままで仕事をしていっても、先が見えない不安がある人へヒントになる内容。

4.その答えを一言でまとめてフィードバックしました。
「『○○としてひとり立ちしたいと、一度でも考えたことのある人へ』がターゲットですね」

5.クライアントさんが、どんどん話し始めます。
「知識とかは学んでいるけれど、ビジネスにするところは教えてもらえないから、私がやろうとしていることは、業界初だと思います!」

6.さらに質問。「ひとり立ち出来ている人と、できていない人の違いは何ですか?」

7.クライアントさんの答え。
・行動に移せているから出来ていく。
・行動に移せる自信がない。失敗を恐れている。

8.質問、何があれば行動へつながるんですか?
「自分の中から湧き出る思いがあればできる」

9.その思いは、どういうときに出来上がりますか?
「不安が解消されれば」

10.フィードバック
「つまり、不安を解消できる内容であればいいということですね」

11.クライアントさんが、自分の言葉でまとめる。
「私のセミナーで、雲を取っ払う作業ができればいいと思います」

 最初は、漠然としていても、アイデアを挙げてみるところから、何事も始まるものです。もやもやと考えているだけでなく、口に出して、誰かに話してみることが大事だと思います。(1)
 そして、最初のアイデアが出てきたところで、OKとするのではなく、「他にもあるだろう」という気持ちで、さらに質問をしていきます。(3)
 私がその都度クライアントさんの答えを、言い換える形でフィードバック(4)しているのは、クライアントさんの頭の中で次に起こることを、聴くことだけに集中している私の方で先に感じるものなので、代弁しているとも言えます。相手に寄り添って、相手が次に言葉にしたいことを、少し先にまとめてあげることで、思考は進むのです。
 そして、その次の質問(4)は、次にクライアントさんの頭の中で考えそうなことを、私が察知して、思考が進むように質問で誘導しています。
 質問、フィードバックの繰り返しをしながら、やはり最後は、クライアントさんが、自分の頭でまとめたことを、自分の口から言うように、(11)傾聴をしていきます。

 傾聴というものは、相手の思考を促進するためのものです。私も自問自答をしますが、相手がいたほうが、思考の速度がかなりアップするので、1週間考え続けていたことが、コーチングの30分だけで、まとまってしまうことは、よくあることなのです。