相手に合わせようとすることで、自分らしさに蓋をしていることに気付かないケース(転職)

 転職コーチングも多いテーマです。企業の求める人材像に合わせたエントリーシートを作成しないで、本当にいいのだろうか?と、不安な方も少なくありません。

 絶対にそこに受かりたい、という執着で、相手に合わせようとして考えるあまり、そこが蓋になって、なかなか自分らしさを出せないから、悩んでいるように思います。相手に合わせようとしすぎても、自分を変形させるだけです。つまり、相手に合わせようとするから、自分は、アピールするところがあまり見つからない。だから受からないのではないかと自信がなくなるのです。

 「赤ペン先生のように添削しなくても、転職コーチングで皆さん行きたいところに行けているのですか?」と聞かれました。その人が想像していたのは、自分の志望動機を、受かるように作成サポートしてくれるのではないかと、コーチの私に期待していたみたいなのです。残念ながら、その様なことはしません。私の仕事は、相手に質問して、その人の言葉で自分を語ってもらえるようにサポートすることです。言葉がうまくつながらない時は、こちらがまとめたり、いい替えたりしながら、その言葉をよりその人らしさに近づけていきます。

 私は、エントリーシートなどを添削したことは、そう言えば1回もありません。ただ、自分の言葉で伝えられるようにするために、セッションで、過去のことから今までのことを質問で引き出していきます。その人らしい体験を引き出すことに重点を置いた、模擬面接みたいです。自分のことをたくさん深堀して分かってもらう機会がセッションなのではないかと思います。


 結局、転職がうまく行くベストルートは、「自分らしく行く」しかないのだと思います。
「アピールに困ったら素に戻れ」です。転職に限らず、色々なところでそういうことだと思います。


自分らしくうまく行った、転職コーチングの幾つかの事例があります。

 ある方は、自分らしさの表現がうまくできていませんでした。現状の興味のあることは話せるのですが、深みがありませんでした。なので、なぜその仕事をやりたいのか?過去の方にも何か関連することがないか、聞いていきました。そもそも、それに興味を持った理由です。すると、やはりそこに興味を持った、いいエピソードが出てきました。ご本人は、そこはアピールするところではないと思っていたようです。そして、過去と現在には、繋がりがあることが自信になり、自分の言葉で相手に伝えられて、行きたいところに受かりました。自分のことをアピールするときは、過去、現在、未来とつながり感を持つことが説得力につながるものと思います。

 またある方は、人間関係が悪くなった理由から転職を希望していたので、「何故、今の会社を辞めるのですか?」という質問に恐怖を感じていました。でも、ここでも取り繕わないように言いました。「人間関係に問題があって辞めましたが、次は、絶対よくしていきたいと思っていて、今コーチングも受けていて、改善中なのです」と事実をそのまま、人事の方に話せばいいからとお伝えしました。実際、現場で聞かれたかどうかは、そう言えばお聞きしませんでしたが、きっと、過去の自分を許すことができたことで、現在、改善中の自分、そして未来はきっと良くなる自分に安心感が持てたのでしょう。やはり、受かりました。

 これまでの自分を見返したり、これからの自分が、どんな社会貢献をして行きたいか考えたりする転職活動は、活動自体が自分を承認する機会になると思います。自分のことについて考え抜く、その経験こそが、自分の足元の土を耕す作業のようになっているのでしょう。まだ見ぬ自分の可能性は、きっとたくさんあるでしょう。次の成長への節目を作る、良い機会になるのだと思います。


今日はこちらの質問はいかがでしょうか?

どんな社会貢献をしていきたいですか?