傾聴力:教えずして、気づかせる。

 1D1U Campのライブセッション『ひとみの部屋』の後に、ご感想をいただきました。

「15分のセッションで、これは母の問題ではなく自分の問題だったのだという気づきにまでたどりつくことができました。隊長のニュートラルに受けとめてくださるあり方に、心が溶けていったような時間でした。テクニックというより、あり方を見習って自分や相手と向き合っていこうと思います」

どんな悩みだったのかというと…

「母親の愚痴に対して、自分の気持ちを押さえて我慢して聴くのですが、だんだんと怒りが湧いてきて、正論を言ってしまいがちです。相手に愚痴を言わせ続けるのもよくないし、正論を言っても愚痴は収まらないし、どういう聴き方もすれば、母の気持ちも収まって、気づきも与えられるのかなと思って、相談させていただきました」

ということでした。

 相手は自分の鏡ですね。自分の在り方について、相手が鏡になって教えてくれているのです。クライアントさんの中で、「愚痴を言ってはいけない」「感謝が足りない」など、「‥‥してはいけない」が多いのかもしれません。それで、自分自身も苦しくなっていることがあるかもしれませんね。

 

 相手の話については、まずは受け止める。それもクライアントさんもわかっていて、我慢して聴いているわけです。でも我慢ならず、正論を言ってしまう。我慢と正論の間に、何をしたらいいでしょうか?

 まずは話したいんだろうなと思って聴く。ときどき、オウム返しやまとめたりして、お返しすると、相手は理解してもらえたと思うから、それだけですっきりしてきます。また、相手の頭のファイルも整理されていきます。

 

 ご高齢にもなると怒りやすくもなります。理由としては、自分が今までできたことが、出来なくなったことへの怒りなどもあるかもしれません。また誰しも、「こうしたほうがいい」と修正されるのは好きではありません。反射的に反論したくなるものです。

 では、自分で気づいてもらうにはどうしたらいいか? 

 それは、フィードバックをするのです。「歯に青のり海苔がついているよ」と言わないと、気づかないのです。(笑)
「感謝しないといけない」と、相手に気づかせたいようですが、気づかせるためには、こちらが教えちゃいけないルールです。「教えずして、気づかせる」。傾聴力がある人が聴くと、あとから相手が自身で考えて、「こうします」って言ってくるのです。

 冒頭のクライアントさんの感想がそうですね。私は一言も「相手の問題ではなく自分の問題ですよ」とは言わなかったので、クライアントさんがセッションのあと、自分でお気づきになったようです。相手が自分で気づくって、気持ちがいいですね。(笑)