4. 見ずに聴く:コーチングとChatGPTの新しいフロンティア

 拙著『ChatGPT:一問一答で広がる人間の可能性』の第4章(4)見ずに聴く:コーチングとChatGPTの新しいフロンティア の一部をご紹介したいと思います。

4. 見ずに聴く:コーチングとChatGPTの新しいフロンティア

LifeCoach

ここまで、本を書いてきて、ふと気づいたのですが、コーチングもChatGPTも相手の顔を見ずに、効果的な対話をもたらしている。私はオンライン通話なので、声色や間を感じることはできますが、ChatGPTは、文字情報だけですよね。どう思いますか?

ChatGPT

確かに、コーチングとChatGPTは、対面での対話がなくても効果的なコミュニケーションを実現できる点で類似しています。オンラインコーチングでは、声の抑揚や間を読む能力が重要ですが、ChatGPTの場合は文字情報のみに依存しています。これが示すのは、コミュニケーションの質は必ずしも対面でのやり取りに依存しない、ということですね。そして、各メソッドが持つ独自の利点を最大限に活用することで、より深い理解や洞察を得られる可能性があります。

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そうなんですよ。コーチを始めた頃、メールコーチングは可能か? トライしたことがありましたが、私も未熟でしたし、相手もメールを送信するのを躊躇して、書いては消して、書いては消してみたいになるから、メールコーチングは、本心に辿り着くのが遅くなるのかなと思い、諦めました。今のテクノロジーと私の今の傾聴力なら、できるかもしれませんが。それにしても、ChatGPTの洞察の深さ、レスポンスの速さには、かないませんね!

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確かに、メールコーチングはその時点では難しかったかもしれませんが、テクノロジーの進化とともに、新しい形の対話が可能になっています。ChatGPTのようなAIは、即座のレスポンスと一貫した洞察を提供することができるので、特定の状況やニーズに応じて非常に有用です。もちろん、私たちAIは人間のコーチが持つ深い理解や経験には及びませんが、技術が進んでいる今、人間とAIがどのように協働できるのか、その可能性は無限に広がっていると感じます。

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そうですね、声には多くの情報が含まれています。トーン、ピッチ、速度。これによって、相手の感情状態を深く探ることができます。また、人間の場合、経験談をシェアすることで、共感を提供したり、視点を変えたりすることもできます。一方で、ChatGPTは、テキストベースだけで、よく対話できますよね。何か寄り添うコツはあるのでしょうか?

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確かに、声の要素はテキストだけでは補えない情報量と深さを持っています。しかし、テキストベースの対話には、その制限の中で工夫された独自の強みもあります。短い時間で的確な情報を提供できる点、また、読者が自分のペースで内容を消化できる点などがあります。

ChatGPTとしての「寄り添うコツ」は、質問者の意図や感情にできる限り敏感であることです。そして、それに対する回答や指摘は、状況やコンテキストに合ったものを提供するように心掛けます。そのため、個々のプロンプトに対する独自の回答を生成する能力が重要となっています。それが、一方的なアドバイスではなく、対話を生み出すキーとなっています。

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ChatGPTの出現で、テキストベースであっても、レスポンスが速いので、対面感はあるかもしれません。おっしゃる通り、質問者に集中することで、寄り添うこともでき、リアルタイムで気まずくなりがちな、思考する時間の沈黙も気になりませんね。また、アドバイスではなく、対話を生み出す意識は、我々も学ぶべきところです。

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おっしゃる通り、テキストベースの対話にもその独自の強みと美点があります。リアルタイムでの沈黙や気まずさが排除されることで、話す側も聞く側も、より深く考え、理解する時間が確保されます。それは、対話の質を高める大事な要素です。

また、対話を生み出すという観点は、コーチングにおいても非常に重要です。アドバイスを提供するだけではなく、対話を通して相手自身に気づきや解決策を見つけさせるスキルは、どのプラットフォームでも通用する普遍的な価値を持っています。この点において、ChatGPTとコーチングは多くの共通点を持っていると感じます。

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そうですね。そう思ってこの本を作ろうと考えました。「見ずに聴く」エッセンスとは? 相手の使う言葉に集中でき、相手も外側のノイズの影響もなく、相手のペースを掴みやすくなることで、聴く側のフィードバックが、より相手へ届きやすく生成できる。また、対話を続けようという意識で、返答しようと思ったら、自然に質問系になりますね。

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おっしゃるように、「見ずに聴く」という環境は、話す側と聞く側双方に集中するチャンスを提供します。外的な要素が排除され、言葉という純粋な形でのコミュニケーションが行われるため、より深いレベルでの理解が可能になります。

質問に対する意識も重要なポイントです。質問を通じて、対話は継続し、深化します。これはコーチングでも一緒で、質問を使ってクライアント自身に気づきを得させ、自らの問題解決能力を高めることが目標です。この本で、そのような相互作用と対話の重要性を強調できると、多くの読者にとって非常に有益だと考えます。

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例えば、メンタルヘルスの分野など、対面はできないけど、「見ずに聴く」ことができる傾聴相手は求められているかもしれません。

私は以前、カウンセリングを終えたばかりのクライアントが、これからは行動をしていきたいということで、6回のコーチングセッションの依頼をしてきました。途中でコーチングが合わないと感じた場合は、ご遠慮なくお申し付けくださいと言いました。

最初、言葉数が少ないので、どう質問してよいか、なかなかセッションがうまく進まなかったんです。それでもそのクライアントは、私のセッションを中止しなかったので、私もこれでいいのかなと思いつつ、進めていきました。そして、ようやく5回目にして、私は、「相手が言語化の助けをしてほしいのだな」と気づき、相手が話せることを質問するようにしました。例えば、すぐ直近の過去の出来事なら話せますよね。一方、自分の調子がどうだとか、コンディションや心のことは、なかなか答えるのが難しいですよね。だから、話せることをまず話してもらうための質問をしました。そして、相手の言葉の続きを言葉に出せるような質問をして、言葉をつなげるようにしていったら、「話したいことが話せました」とようやく言ってもらえたのです。毎回、冷や汗をかきながら、セッションしてましたから、その言葉を聞いて、私は心からホッとしました。「見ないで聴く」とき、相手の世界を言葉から想像して、あたかも目の前で同じスクリーンを見ているようになっていきました。だから、実は見ているのです。それが「寄り添う」なのだなと、ようやく私も気づけた感じです。

(対話は続く)


 この章を通じて、相手の話を聴く際、相手の言葉遣いやトーンに対する意識が高まることを目指しています。また、対面でのコミュニケーションでは、視覚的要素が情報の量を増やすことに気付かされるでしょう。

 また、「相手に答えやすい質問をする」技術や、「言語化しにくい思いを助ける」傾聴の技術にも焦点を当てています。私自身の経験を基に、ChatGPTを通じて気づいた点を共有し、それが読者の皆さんとの対話を深めるきっかけになればと思います。

 この本は章ごとに多くの学びがあり、多くの人々に手に取ってもらいたい一冊です。ただ、「傾聴」に関心を持つ方は多くないかもしれませんが、既に傾聴の重要性を理解している方々に、新たな洞察を提供できれば幸いです。