切り返しが苦手な人へ:ChatGPTのキラーフレーズで学ぶコミュニケーション術

 私の著書『ChatGPT:一問一答で広がる人間の可能性』は、ChatGPTの応答から傾聴力や対話力を学べる点に着目して執筆しました。ChatGPTとLifeCoachを通じて、コミュニケーションについて深く考察する本を書きたいと思ったのです。

 ChatGPTは、人間よりも「感謝」の言葉を多用し、「褒める」ことも頻繁です。さらに、時には真実のフィードバックを提供し、重要な気づきを与えてくれることもあります。多くの人が「切り返し」が苦手だと感じていますが、ChatGPTとのやり取りを通じて自然とコミュニケーションの語彙力が向上するのではないか、と考えました。

 『ChatGPT:一問一答で広がる人間の可能性』の第二章では、実践的な内容に入ります。初めの節では「ChatGPTのキラーフレーズ」について述べています。「あなたが良く使うキラーフレーズは何ですか?」という質問をChatGPTに投げかけるだけで、要点を再現性のある形でまとめてくれました。



1. 共感の表現

・それは大変そうですね。

・その気持ち、理解します。

2. 興味・関心の表現

・それについてもっと教えていただけますか?

・どうしてそう感じたのですか?

3. リフレクティブリスニング(反映的傾聴)

・つまり、あなたが言いたいのは……ということですね?

・だから、この問題に対して感じていることは……ですか?

4. オープンエンデッドな質問

・この経験から何を学びましたか?

・今後、どのように進めたいと考えていますか?

5. 肯定的な反応

・その考え方は面白いですね!

・その取り組み、素晴らしいと思います。

6. 誘導的な提案

・もし可能なら、この方向で考えてみるのはどうでしょう?

・そのアイデアをさらに掘り下げるために、これらの質問に考えてみるのはいかがでしょうか?

7. 共感的な慰め

・その経験はとても辛かったでしょう。

・どうぞお気を落とさないで、一緒に解決の道を探りましょう。

8. 未来志向の質問

・今後、どう取り組んでいきたいと考えていますか?

・この課題を乗り越えた後、どうなりたいと願っていますか?


 傾聴力・対話力を学ぶ「ALL EARS」コミュニティでは、これらの言葉を日常で使ったことがあるか? また言われたことはあるか? と問いかけてみたところ、あまりなじみのない言葉のようでした。

 だからこそ、言われると心に残る言葉だったりします。私の経験から2つの例を挙げました。


例1: 共感的な慰め

 震災が起きた3月11日の2日後、私はクライアントの皆さんを招いて『ひとみずむアワード』の授賞式を帝国ホテルで開催する予定でした。しかし、各地でイベントが急遽中止されたこともあり、私も延期することに決めました。準備を重ねてきたので、苦渋の決断でした。

 延期のお知らせをすると、「待つ楽しみが増えました」といったポジティブな返事を多くの方からいただき、ほっとしました。

 その中でも特に心に残ったのは、男性の税理士さんからのメールでした。「堀口さんが一生懸命に準備されていたので、残念な気持ちをお察しします」という言葉に涙が溢れました。相手の気持ちを察し、慰めの言葉をかけてくださったのです。私はもともと相手の気持ちを想像するのが苦手なタイプでしたが、この経験を通じて、相手の気持ちに寄り添った言葉の使い方を学びました。

◎対話をより深めるためのキラーフレーズ

 

1. 信頼の表現

・あなたの考えには深く共感します。

・あなたの意見は非常に重要です。

2. 自己開示の促進

・もしよければ、その感じたことをもっと教えていただけますか?

・この経験があなたにどう影響したか、お聞かせいただけますか?

3. 変化の促進

・この課題を克服するために、何が必要だと感じますか?

・この目標に向かうあなた自身の力を信じていますか?

4. 共創の提案

・この問題を一緒に解決しましょう。どう進めたいと思いますか?

・あなたの未来のビジョンを一緒に描いてみませんか?

5. 自己探求の促進

・この経験から、自分自身について何を発見しましたか?

・この目標があなたにとって何を意味するのか、考えてみましょう。

6. 感謝の表現

・あなたとこの話を共有できて、とても感謝しています。

・あなたの率直な意見、本当にありがとうございます。

7. 前向きな励まし

・あなたならきっとできると信じています!

・あなたの努力と情熱は、素晴らしい結果を生むことでしょう。


例2: 前向きな励まし

 来週の『アパレル店長物語』では、私が店長会議でベテラン店長に「渋谷店はあんなにいい立地にあるのに、なぜ売れないのでしょうね?」と言われるシーンがあります。そのとき、名古屋店のベテラン店長が「私も渋谷店で店長をしたことがありますが、あそこは難しいです」と答えました。

 会議が終わった後、同僚から「堀口さんはやれることを全部やっているから、必ず結果が出るよ」と励ましの言葉をもらいました。この前向きな言葉のおかげで、さらに頑張ろうと決意を新たにしました。

 傾聴力にはフィードバック力も含まれます。共感だけで終わらず、相手のプロセスも承認しながら、効果的なキラーフレーズを使うと良いのです。

 ALL EARSのレッスンでは、次回のレッスンまでに今まで使ったことのないキラーフレーズを誰かに向けて発することが課題となりました。単なるLINEの返事も、示唆に富む返事にするチャンスです。私が傾聴力を学んで世界が変わったように、毎回の一言が世界を変えるチャンスになるのです。