★Grit &Glamor Epi.29 扉が閉まる前に飛び込めるなら、きっと間に合うでしょう。


時には未来の自分がサインを送ってくれることがあります。遅すぎるということは決してありません。未来の自分は、あなたがその行動を起こしたことをきっと喜んでくれるでしょう。

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主人公は、独立を目指しながらも、メンターである金井さんとの毎日のメールを通じて成長を続けていきます。不安やプレッシャーを抱えつつ、副業での収入を徐々に安定させていく中で、「変わること」について深く考えるようになります。ある日、変化を恐れる顧客とのやりとりを通じて、金井さんの「変化には自分への許可が必要」という教えに感銘を受け、人の成長に寄り添う姿勢を学びます。同時に、初めての単独セミナーに挑む中で、孤独や不安を感じながらも、「人の役に立ちたい」というシンプルな思いに立ち返ります。そして、金井さんの助言を受け、自分の軸を見つけるために迷いながらも進むことの大切さを実感します。セミナー成功の達成感とともに「自分らしさ」を形にする喜びを感じた主人公は、小さな挑戦を積み重ね、やりたいことを具体化して未来を切り拓いていくのです。


10.6 時空が導く新たな道

「5月末での退職が正式に決まりました。独立がスムーズに進みますように。」

2006年3月29日、新月の夜。私はその静かな時間に、胸の奥で高まる決意を感じながら手帳を開き、丁寧に綴りました。

新月は「新しい始まり」を象徴する瞬間。この夜、私の意識のどこかで、未来に向かって宇宙へそっと願いを放ったのかもしれません。けれど、いざ「新しい道を歩もう」と決めたからといって、すべてが順調に進むわけではありませんでした。

その直後、渋谷店の“看板娘”として、ブログではクールなポージングでお店の魅力を発信してくれていた彼女が、突然退職を申し出てきたのです。

その知らせを受けた瞬間、私の頭の中はぐるぐると不安でいっぱいになりました。彼女の抜けた穴をどう埋めればいいのだろう。店の負担が増えるのは明らかです。さらに、私自身も退職を目前に控えている中で、それまでに新しい人を採用できるだろうか? そして何より、ふと心によぎったのは、私自身への疑問でした。

「私のコーチングが、彼女の“やりたいこと”を明確にしすぎてしまったのではないか?」

自分の言葉が彼女を動かし、彼女の決意を後押ししてしまったのではないかという想いが、心の奥にじわりと広がっていきました。その想いが責任感を伴いながら、不安とともにどんどん大きくなっていくのを感じました。

そんな私に、メンターがぽつりと一言、言葉をくれました。

「その人は、今の店から違うところに行くだけで、何も変わらないですよ。」

一見冷たいようにも感じられる言葉でしたが、私は妙にその言葉が胸にすとんと落ちるのを感じました。未来という視点で考えてみると、彼女の退職は彼女自身の成長のプロセス。そして、私にとっても「手放す」ことで新しい可能性を迎える準備が整った、というサインだったのかもしれません。

また翌日、メンターからメールが届きました。

「早朝から突然、大掃除を始めました。押し入れから6袋も不要品を処分しました。さらには、予定していたNYの知人との約束までキャンセルしました。なんとなくズレを感じたので。」

この言葉に、不思議な感覚が胸の奥をよぎりました。予定をキャンセルしてでも大掃除を始めるという“ズレの調整”。これはいったい何を意味していたのでしょうか? そして、翌日。その感覚が私自身にも降りてくる出来事が起こったのです。

その朝、私は目を覚ますと、時計の針が「7時38分」を指しているのを見つめました。予定していた新幹線の発車時刻は7時58分。普通なら「間に合わない」と諦めてしまうところですが、その時の私は、なぜだか根拠のない確信を抱いていました。

「間に合う」と。

理屈も理由もありません。ただ何か大きな力に背中を押されているような、不思議な感覚でした。

急いで服を着て顔を洗い、化粧道具をバッグに詰め込むと、私は全力で駅へ向かいました。自宅から最寄り駅までは徒歩3分、そこから新幹線の駅までは電車で3分。この短い距離を走り抜けるたび、心臓がドキドキと高鳴り、「絶対に間に合う」という思いだけが私を動かしていました。そして奇跡的にも、新幹線の扉が閉まる寸前に滑り込むことができたのです。

新幹線の車内に乗り込むと、すぐに洗面台で化粧を整え、座席に戻りました。ほっと息をついたそのとき、隣には店を支えていく頼もしい部下が、にこやかに笑顔を浮かべて座っていました。

「間に合ってよかったですね!」

彼女がそう明るく声をかけてくれた瞬間、私の胸に温かさが広がり、それまでの緊張感がふっと解けていくのを感じました。

新幹線の窓の外に流れる景色をぼんやりと眺めながら、私はすべてをメンターにメールで報告しました。するとすぐに返信が届きました。

「潜在意識が新しい方向に向かい始めていますね。すべてが時空のタイミングで動いているのでしょう。」

新幹線の中、遠ざかる街並みを見ながら、私は静かに心の中で呟きました。

「この流れに身を任せて、新しい世界へと進んでいこう。」


10.7 1500分の1という挑戦

ある朝、いつものようにメンターから届いたメールを開いた瞬間、思わず顔が青ざめました。

「独立は自分の枠を超える行為なので、どきどきしますね。すべては自分次第です。収入が上がるも下がるも、あなた次第。起業はとても楽しいことです。ただ、経験のないまま飛び込む人が多いのも現実です。1500分の1になりましょう。1500人が起業して成功するのはたった1人。簡単なことですよ。心地よい謙虚さと心地よい自信を持つこと。それが鍵です。頑張ってください。」

目に飛び込んできた「1500分の1」という数字。その冷たさが胸に突き刺さり、手が震えました。「たった1人」という現実。自分がその1人になれるのかという不安が心を覆い尽くしたのです。「独立を勧めたのはあのメンターだったのに…」というわずかな迷いも頭をよぎりました。けれど、気づいたのです。「独立しよう」と決めたのは紛れもなく自分自身だと。

「私に、本当にできるのだろうか?」

そんな疑問が心の片隅に残る一方で、私の中には小さな希望の光も確かに輝いていました。「人気ブログランキング:ファッション部門」で1位を獲得したあの経験です。そう、私はすでに“1500人に1人”になれた自分を知っている。この経験があるからこそ、次の挑戦にもきっと踏み出せる――そう思えたのです。


10.8 私の六本木ヒルズデビューの日

2006年の元旦、私はお気に入りのペンを手に取り、手帳の1ページにそっと夢を書き記しました。「六本木ヒルズに進出する。」

そのときは、それがどんな形で実現するのか、全く見当もつきませんでした。ただ、その言葉に未来への意図を込め、そっと心の中で願ったのです。

そして、そのわずか4カ月後。その願いが現実のものとなりました。インターネットラジオの主催者であるSさんがご縁を繋げてくださり、私は六本木ヒルズアカデミーの49階でコラボセミナーを開催する機会をいただいたのです!

当日の会場は、窓の外に東京の街並みを一望できる特別な空間でした。どこか場違いな気がして、まだ緊張が拭えませんでしたが、私はお店の新作であるグレーの薄手のジャケットをまとい、場にふさわしい装いでセミナーに臨みました。

コラボ相手は、「夢が叶う手帳」で有名なSさん。これ以上ないほど華やかなステージに立てることが、まるで嘘のように感じられました。

セミナーは自然な対談形式で進みました。Sさんの手帳メソッドを聞くうちに、私はどこか懐かしい感覚に包まれました。「成功者との写真を手帳に入れる」「夢を書き留める」「手帳を開くたびにワクワクする体験にする」――それはまさに、私自身がこれまでやってきたことと驚くほど似ていたからです。

ただ一つ違ったのは、Sさんの手帳の厚みでした。テーブルに置くとズシリと音がしそうなほど分厚く、まるで広辞苑のよう。さらにページを開くと、有名な講演家との握手写真まで挟み込まれていました。ところが、その写真について聞いてみると、なんと合成だったのです!その場は笑いに包まれましたが、私はSさんの「形から入る成功術」の徹底ぶりに感服しました。

そのセミナーの日、私の心にふと2004年のある出来事が浮かびました。知人のNさんが、私の写真をパウチ加工してこう言ったのです。「ここに『ついてる!』って書いて!」 まるで成功者になりきったフリをさせてもらったようなその体験。あのとき、私はまだ本物の成功者ではなかったけれど、確かに「そうなれる自分」を信じるきっかけをもらった瞬間でした。

そして、それからたった2年。私は本当に六本木ヒルズという場所に立ち、夢の舞台にいる自分を目の当たりにしていたのです。

こんなときにもちゃっかりとオリジナルバッグを2つ持参していた私は、セミナーの中でそれを紹介させていただきました。すると、なんとその場で完売してしまったのです。

2年前、何をやってもうまくいかず、悩んでいた自分がいました。それが今では、まるで流れに乗っているかのように、どんなこともスムーズに進んでいく――。

手帳に書いた夢が、確かに叶っている――そのことに気づいた私は、夢が叶う手帳のSさんとのコラボセミナーの中で、その奇跡を一つひとつ振り返っているような気持ちになりました。


■編集後記

ChatGPTにプロンプトを30回くらい出して、さらに合成して仕上げた今日の挿し絵です。★制作秘話

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