★Grit & Glamor Epi.28 独立という暗がりの中で、私を照らすのは、ただ一つの灯火、名言たちだけ

自分軸を探す旅は不安定から始まる。揺れ動く中にこそ、バランスは見つかるのだから。

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自身の人生を変える決意を固めた主人公。会社を辞める覚悟を決めた瞬間から、彼女の前には未知の可能性が広がり始める。尊敬する取締役とのカフェでの出会いは、彼女に「生き方の提案」をテーマとした新たなビジネスの可能性を示唆。さらに、メンターである金井氏との面接では、RITZでの仕事を拒まれたものの、ホワイトボードに描かれた未来が彼女を独立の道へと導く。金井氏から贈られた「1億円の重さ」を再現した札束は、彼女の潜在意識を刺激し、新たな成功のビジョンを形作る。自らの軸を信じ、複数の収入源を持つ自由な未来を描く彼女は、大きな転機を迎え、新たな一歩を踏み出していく。


10.3 変わることへの許可

独立を決意した後も、私はメンターとの毎日のメールを欠かさず続けていました。副業で徐々に安定した収入を得られるようになってはいましたが、サラリーマン時代のような保証はありません。自分で稼ぎ続けなければならないというプレッシャーは常に心の片隅にありましたが、不安を抱えながらも、一歩ずつ前に進むしかありませんでした。

アパレルの現場でも、コーチングのセッションでも、「人を変化させるにはどうしたらいいのか?」という問いが常に頭を巡っていました。

そんなある日、「オシャレが苦手なんです」とおっしゃるお客様が来店されました。コーディネートを提案し、トレンドの服も試着していただきましたが、「着たことのないデザインだから…」と結局購入されずに帰られたのです。その夜、私はメンターに「変わりたいけれど、変われない人が多い」とメールを書きました。

翌日、金井さんからの返信には、意外な言葉が綴られていました。

「誰でも変わりたいと思っています。でも、基本的に人は変わりたくないんです。臆病だからです」

そして、美容師としての経験談を教えてくれました。おしゃれに自信のないお客様には、まず軽い変化を提案し、信頼関係を築いてから「次回はもっと大胆に変えてみましょう」と暗示をかけるのだそうです。このプロセスを通じて、お客様は「変わってもいい」という許可を自分自身に与えられるのだと。

その話を聞いた私は深く感銘を受けました。説得ではなく、相手が自ら変わる許可を見つけられるようにそっと寄り添う。その優しさと知恵に目から鱗が落ちる思いでした。

振り返ると、私自身もメンターとのメールを通じて、少しずつ気づきを得てきたのだと感じます。特に「あなたも成功することを許可してきましたね」という言葉は、今でも心に深く刻まれています。

変化には「自分への許可」が必要なのです。そして私たちができるのは、その許可を見つけられるよう寄り添い、待つことだけ。まるで北風と太陽の寓話のように、変化は押し付けられるものではなく、自ら発見する「許可の言葉」によって自然に訪れるものなのだと気づきました。

10.4 揺れる中で見つけた自分軸

もう一つの課題。それは初めての単独セミナーの準備でした。これまでの2回はメンターたちのサポートがありましたが、今回はすべてを自分でマネジメントする初めての挑戦です。

3時間という長丁場のセミナーで、パワーポイントの作成やノベルティとしてお渡しするアクセサリーの準備など、やるべきことが山積みでした。独りで準備を進める中、不安はどんどん膨らんでいきます。「これで大丈夫だろうか」「参加者に価値を提供できるだろうか」。孤独感に押しつぶされそうになる瞬間もありました。

そんなとき、私はふと思いました。

「とにかく、人の役に立てればいい」

このシンプルな思いが、不安を和らげ、私の心を支えてくれました。そして、毎日届く金井さんからのメールもまた、私を前に進ませる大きな力となったのです。

ある日、金井さんからこんな問いかけが届きました。

「堀口さんは、なにをやりたいですか?」

その言葉に、私はハッとしました。「私は周りの期待に流されすぎていたのではないか?」と。そして、自分自身に問いを投げかけました。「本当の自分は、何をしたいのだろう?」

その翌日、金井さんからのフォローメールにはこう書かれていました。

「流されることは悪いことではありません。自分のやりたいことが見つかれば、波に乗りながらそれを加速させることができます。だから、流れることを恐れないでください」

その言葉に私は深く納得しました。重要なのは、その「流れ」が自分の望む方向に向かっているかどうか。そして、自分の意図を持ってその流れに乗ることです。

振り返ると、これまでのすべての経験が意味のあるものでした。揺れることを恐れる必要はない。その揺れの中でこそ、自分の軸が見つかるのだと気づきました。不安という感情さえも、私を成長させるための大切なプロセスなのだと学んだのです。


10.5 自分らしさを形にしていく

3月27日、3回目のセミナーが終わった瞬間、私は達成感に包まれました。「3時間があっという間でした!」「前回よりさらに進化していました!」という感想が次々に寄せられ、懇親会では初めてサインを求められるという人生初の経験もありました。まるで夢の中にいるようなひとときでした。

その日は母も観覧席に来てくれていました。セミナー後、「あなた、ちゃんとメモ取ったわよ!」と笑顔で声をかけてくれた母の言葉に、私は思わず笑みがこぼれました。独立への手応えを親に示せたような気がして、胸の奥にじんわりと温かいものが広がったのを覚えています。

今回は「特別な体験を作りたい」という思いを込めて準備をしました。アクセサリーやおしゃれなドリンク、音楽など細部まで工夫を凝らし、これまで参加してきた「セミナー」のイメージを覆すような空間を目指しました。その結果、参加者たちは熱心にメモを取り、笑顔で感想を伝えてくれる。そんな姿を目にするたび、「もっと良いものを作りたい!」という意欲が自然と湧いてきました。次の挑戦への準備は、すでに始まっていたのです。

この頃、私を支えてくれたのは、やはりメンター金井さんの言葉でした。「自分が一番やりやすい状態をつくりなさい」。その一言に私は何度も救われました。しかし現実は簡単ではありません。会社員として10時間、副業に5時間を費やし、睡眠時間はわずか4〜6時間。それでも「やりたいことだけに集中する」という金井さんの言葉を胸に、自分の時間の使い方を一つひとつ工夫してきました。

徐々に「やりたいこと」を明確にしていくことで、その大切さを実感しました。目標を曖昧にせず、具体化し、それを形にする。金井さんが言う「最初の仕事はすべて自分の作品になる」という言葉を胸に、どんな小さな挑戦も丁寧に仕上げていこうと心がけました。その積み重ねが、未来への扉を少しずつ広げていったのです。

振り返ると、迷いが生じるたびに金井さんがかけてくれる一言や、進むべき道を示してくれる言葉が、私をどれだけ支えてくれたかは計り知れません。その伴走がなければ、私はきっと途中で立ち止まってしまっていたでしょう。

「人は本当に自分のやりたいことがわかっているときにこそ、行動を起こせる」。金井さんのこの言葉は、今でも私の心に深く刻まれています。自分の軸が揺らぎそうなときでも、そばに寄り添い、ともに歩んでくれる人がいる。その存在が、私に自分らしい未来を形にする力を与えてくれたのです。


■編集後記

今回の内容について、二人の英会話の先生から似たようなフィードバックを頂きました。

British Teacher:

This week's memoir was very deep and contained some hard-hitting quotes that guided you through the darkness of independence. A kind of Elsa Cinderella story !

Filipino Teacher:

Thank you for sharing such deep and though-provoking sentences today! I needed to hear them today too. I lack motivation myself these days .

皆さんはどう感じましたか?

📚英語版

人生の揺らぎや迷いは、成長のための大切なプロセスです。ヨガでグラグラの中心を見つけるように。