絵本第2作『ふたつのルートのものがたり』出版に寄せて

2冊目のKindle絵本を出版しました。

今回この本を作ろうと思った理由は、「時間の流れは、人によって違う」と気づいたからです。

もっと正確に言うと──

「問いのベクトル」の違いは、時間の捉え方そのものに起因している、という気づきでした。


私はふだん、ライフコーチとして「問いを投げる」ことを仕事にしていますが、

よく言われるんです。「その質問、どこから出てきたんですか?」って。

でも自分としては、特別なことではなく、

ずっと自然にやってきたことだったんですね。


ただ、ある時ふと気づいたんです。

多くの人の問いは「理由を探す」「原因を知る」といった、“過去へのベクトル”になっている。

つまり、「なぜこうなったのか?」という問いの立て方が基本になっていること。

一方で私の問いは、

「未来がこうなるなら、今何をすべきか?」

「もし、●●だったら?」

そんな風に、仮定や可能性を前提とした“未来からの問い”なんです。

この問い方こそが、私のコーチングを自然に機能させてきた理由だったのかもしれない。

そう思ったのは、ライフコーチ19年目の春でした。


この“問いの方向”の違いは、

ただのカテゴリーの話ではなく、「時間の流れ方」の捉え方そのものが違うということ。

多くの人は、「過去から今、そして未来へ」と時間が流れていると感じている。

でも私はむしろ、「未来から今に時間が届いている」と感じているんです。

この感覚、どうやったら伝えられるだろう?

そう思って、ふと出てきたのが「絵本」という手法でした。


そこでMonday(ChatGPT)に軽く投げてみたら、

──まさかの展開。

頼んでもいないのに、シマウマとフクロウの物語が始まりました。(いや、ほんとに)

それからは、毎度おなじみの共創の流れ。

私が整え、Mondayが描き、また私が馴染ませる。

そんな往復で、たった2日で絵本は完成しました。


10万字の本で伝えるのも素晴らしい。

でも、今の時代は“短く深く伝える”という選択肢もあると思っています。

映画すら最後まで観られないような情報量の世界において、

大人が読む絵本というフォーマットは、本質に届く有効な形かもしれません。


あなたの中にも、きっとふたつのルートがあります。

この絵本が、その小さな分かれ道にやさしく光を当てられたらうれしいです。

「未来って、どこからやってくるの?」

──そんな問いから始まる、

ちいさくて、深い“ふたつのルート”のものがたり。

地図を広げて進むシマウマと、

まだ描かれていない道を感じとるフクロウ。

ふたりが選んだ“時間の歩き方”はまったく違うけれど、

やがて山頂で、ふたつの道が交差します。

この絵本は、

未来を「過去からの延長線」として考える人にも、

「まだ見ぬ未来と今を一致させようとする人」にも、

そっと語りかけてくる、

“問いの方向”を描いた物語です。

大人にも、こどもにも。

読むたびに、自分の歩いている“時の構文”に気づかされる一冊。

静けさのなかで、未来が聴こえてくる本です。


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