★習慣のシンフォニー Epi.18 | 英語YouTuberとの奇跡的な出会い

英語を学び続けたら、出会いの舞台まで変わっていた。——あの夜の音頭が、その扉を開けてくれた。

提灯の灯りの中で

提灯の灯りが揺れる2016年の夏の夜、私はただの盆踊りに出かけるつもりでした。けれど、その何気ない一歩が、これからの人生の扉を開くことになるとは、その時は思いもよりませんでした。

実家近くの小学校で開催される盆踊り大会があるけど行く? と母から誘いがありましたが、正直なところ気乗りはしませんでした。でも、幼なじみからも声をかけられ、ちょうど姪の誕生日の前日だったこともあり、プレゼントを渡すついでに出かけてみようという気持ちになったのです。

会場に足を踏み入れると、昔と変わらない音頭が流れ、子どもたちの笑顔が提灯の明かりに照らされて揺れていました。どこか懐かしく、心がほどけるような空気がそこにはありました。姪たちが大太鼓のある特設台でひとしきり踊ったあと、「かき氷、行こう!」と声をかけて、私は姪たちを連れて列に向かいました。


英語YouTuber・Julianとの偶然の遭遇

そして、ふと視線を前に向けたその瞬間。そこにいたのは、見覚えのある男性でした。何度も動画で見ていた英語系YouTuber、Julianさんご本人だったのです。日本に住んでいることは知っていましたが、まさかこんな地元の盆踊り会場でお会いするなんて、信じられませんでした。

「Are you Julian?」

気がついたら、思わず英語で声をかけていました。彼は穏やかに微笑み、一緒に写真を撮らせてくださいました。撮影は妹がしてくれたのですが、夢中というより、いつものくせで何度もシャッターを切っていたんです(笑)。その様子を見ていたJulianさんが、「写真、送ってね!」と気さくに声をかけてくれました。


運命を感じたメールの夜

実は2年前、ロンドンへの2週間の語学留学で自信をなくして帰国して以来、英語学習法をいろいろと探していました。その時、「シャドーイング」という学習法を調べて出会ったのが、Julianさんの動画でした。彼の動画は質が高く、私にとって理想的な教材でした。そのJulianさんに、こんな偶然で出会えるなんて……。とんでもない引き寄せ。いや、どこかで会える気がしていたのかもしれません。

その夜、私は朝の4時までかけて、緊張と興奮の中で英語のメールを書きました。ChatGPTもDeepLもない時代でしたから。そして、私のWEBSITEのURLと写真を添えて送信すると、翌日にはお返事がやってきて、「来週、ランチミーティングをしませんか?」というお誘いが添えられていました。


カレー屋で始まったコーチングセッション

正直なところ、「今の英語力では無理かもしれない……」という不安もあり、少し時間をおきたい気持ちもありました。けれど、チャンスは今しかない。そう思い直し、私はその誘いをすぐに受けることにしました。

ランチミーティングは、実家近くのナンが美味しいカレー屋さんをJulianさんは指定してきました。私がライフコーチとして活動していること、彼が日本で英語セミナーを開きたいと考えていること。お互いの経験やビジョンが、不思議なほど自然に交わりました。むしろ、彼のほうが、ライフコーチを引き寄せたのかもしれません。

Julianさんは、日本人を対象にセミナーを開催したいという思いをずっと持っていたものの、なかなか一歩が踏み出せなかったそうです。でも、私はこれまでセミナーを何度も開催してきました。ですから、日本人相手にどう伝えればいいのか、どんな構成が効果的か、アドバイスできることはいくつもありました。

まるで私が英語の相談をするつもりでいたのに、気がつけば彼のほうが、日本での活動について私にアドバイスを求めていたのです。必死に英語で応じましたが、正直、緊張しすぎてランチがほとんど喉を通りませんでした。


英語で初スピーチへの挑戦

ところが、そのランチの1時間後、Julianさんは私のセミナーに申し込んでくださったのです。私たちは英語でしか話したことがなかったため、「日本語は大丈夫かしら……」という不安がよぎりました。でも、その心配はまったくの杞憂でした。

彼はセミナー後、流暢な日本語で、感想や気づきを熱心に語ってくださいました。

「カレー屋で日本語を話してくれれば、もっとリラックスできたのに!」と思わず笑ってしまいました。

私のクライアントの中には英語学習に興味を持つ方も多かったため、Julianさんをご紹介したところ、実際に彼のコンテンツに申し込む方も現れました。それをきっかけに、私たちのコラボレーションは本格的に始まりました。起業セミナーの共同開催、教材の販売アシストなど、様々な形で協力が広がっていったのです。

そんな中、Julianさんから、彼の初めての日本での英語セミナーで「メンタースピーチ」をお願いできないか、と依頼されました。

「ひとみさんには、メンターとして、セミナーで少しお話をしていただきたいんです。」その言葉を受けたとき、私は思いました。この機会を逃してはいけない、と。どうせ話すなら、英語で挑戦してみよう。そう決意したのです。

英国出身の英会話の先生に原稿を添削してもらい、発音や話し方の練習も何度も繰り返しました。

英語でスピーチをするのは、これが人生で初めてのことでした。不安もありましたが、それ以上に「今までの努力を言葉に乗せたい」という気持ちが、私の背中を押してくれたのです。


シャドーイングから始まる新たな学び

彼はその後、ご家族とともにアイルランドへ移住されましたが、私の中には今もあの夏の夜の音頭のリズムが残っています。

さらに私は、この出会いをきっかけに、本格的にオンライン英会話を始めることになりました。私が選んだのは、シャドーイングの学習スタイルがそのまま活かせる「カランレッスン」です。

「カランメソッド」とは、講師がテンポよく質問を投げかけ、生徒が即座にフルセンテンスで答えるという、独自の反復練習法です。通常の4倍のスピードで英語を習得できるとも言われており、瞬発力やリスニング力、さらには英語を英語のまま処理する反射的な思考力を鍛えるのにぴったりの方法でした。


深夜レッスンが脳を目覚めさせた夜

そんな私にとって、オンライン英会話を始めて50日ほど経ったころの出来事は、今でも忘れられません。

それは、予約ミスで、夜中の0時半にカランレッスンを受けることになってしまった日のこと。最初はかなり眠くて、正直「無理かも…」と思いながら画面を開いたのですが、不思議なことに、レッスンを終える頃には頭が冴え渡っていたのです。

翌朝、さらに驚きがありました。前日に読んでいた本の内容が、目覚めた瞬間から自分の中で見事に整理されていたのです。

そのとき、はっきりと感じました。カランメソッドは、英語力だけでなく、脳の処理能力そのものに働きかけてくる。まさに“脳トレ”でもあるのだと。


英語で思考する瞬間

それ以来、私は「英語脳をつくる」という目標に加えて、「脳を活性化する時間」としての手応えまで感じるようになりました。

そしてある日、ふと気づきました。

「あれ? 今、英語で考えてる……?」

その感覚に気づいたときの、驚きと喜びは忘れられません。レッスンのリズムに身を委ねる。その状態が、言葉が自然に流れ出す鍵だったのだと思います。


タフだけど確かな成長

それにしても、カランレッスンは本当にタフな訓練です。気がつけば、Stage 8に到達するまでに2年が経過していました。今思うと、このスクールはかなりのスパルタであり、他のスクールでしたら、2年も毎日レッスンを受ければ、Stage 12まで終わるはずです!


不調とパンデミック、そして再出発

さて、しかし、ある日アレルギー性鼻炎を発症し、咳がなかなか止まらず、レッスンを受けることが難しくなってしまいました。そして何となく再開する気にならず、さらに追い打ちをかけるように、世界はパンデミックへと突入します。

オフラインの英会話もしばらくお休みが続きましたし、パンデミックで暇になり、口の筋肉を鍛えるためにも、2021年2月。私は再び別のオンライン英会話スクールで学び直すことを決意したのです!

もちろん、選んだのはまた「カランレッスン」です。(笑)

——続く。

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