日本語版を出版した翌日から、Kindleで出した本の英語版を少しずつ作り始めている。
まず、ChatGPTに英訳してもらったものを、フィリピン人の英会話の先生と一緒に読んでみた。今回は「はじめに」と第1章。
単に英語を確認する時間ではなく、内容についてかなりディスカッションができた。読み終わったあと、先生は "Very good. Nice one."と言ってくれた。
英語としてどうこう、ではなく、ちゃんと読んで、何かを受け取ってくれた感じがあったようだ。
第1章には、「まず受け取る」という話が出てくる。
心のケアの講座で学んだこと——「死にたい」と言う人に対して、まず「死にたいと思っているんですね」と返す、という話だ。
これを読んで、先生は言った。
「でも普通は、*なんでそんなこと思うの?* って聞きたくなるよね」
「そんなふうに考えなくても大丈夫だよ、って言いたくなるよね」
そうだと思う。多くの人は、そこで何とかしたくなる。理由を聞きたくなる。止めたくなる。励ましたくなる。
でも私は、そのとき最初に大事なのは、問題を解決することではないと思っている。その人が今そこにいること、その苦しさを、まず受け取ること。それが先にある。
「そのあと、どう質問するの?」と先生は聞いてきた。
私は、「そのまま黙っていることもあります」と答えた。
人は、空白があると、その空白を埋めるように言葉が出てくることがある。もちろん、出てこないこともある。でも、それはそれでいい。
大事なのは、私が急いで埋めないこと。その人が自分の中にあるものに触れて、自分の言葉で出てくるのを待つ。私はたぶん、その時間をかなり大事にしている。
「傾聴が苦痛じゃなくなるまで、どれくらいかかったの?」
先生からそう聞かれたとき、確かにそんな質問にもなるなと思った。
ただ「受け取る」と言われても、最初は難しい。何か言いたくなるし、助けたくなるし、黙っているのも落ち着かない。私も最初から自然にできたわけではない。
実際の場面を通っていく中で、少しずつわかってきたことがある。質問して動かすことより、まず受け取ることが必要な場面がある。そして、その人が自分の言葉にたどり着くのを待つことが、実はかなり大事だということ。
「コーチングとカウンセリングって何が違うの?」という質問も出た。
私は、質問のベクトルが違う、という話をした。
コーチングは比較的、未来や行動の方向へ向かいやすい。一方で、カウンセリングや心のケアでは、まず今ここにある気持ちや状態を受け取ることが先になる。カウンセリングは、理由を知りたいのもあるかもしれない。現実にはそんなにきっぱり分かれるものでもないけれど、どこへ向かう質問なのか——そのベクトルが違う。
今回面白かったのは、英語版を読んでいるはずなのに、単なる翻訳確認ではなく、本の中身そのものについて、かなり自然に会話が広がったことだった。
しかも、英語にすると少し引き締まって見える感じがある。
タイトルの *Why That Question Didn't Land* も、ChatGPTが翻訳してくれたが、腑に落ちる。Landというところが、相手の土に触れる感じがしたからだ。
日本語で書いた本だけれど、英語で読むとまた別の角度から見えてくるものがある。英語の方が鋭く伝わる表現も多く誕生すると思う。
英語版がどこにLandするのかも楽しみである。
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