ChatGPTに相談すると、多くの場合、まず肯定的な言葉が返ってきます。
「それは大切な視点ですね」
「よく考えていますね」
「その気持ちは自然なことです」
このような返答に、安心感を覚えたことがある人も多いのではないでしょうか。
人に話すと、すぐに否定されたり、正論で返されたり、話の途中でアドバイスされたりすることがあります。
その点、AIはまず受け取ってくれる。
話がまとまっていなくても、途中の考えでも、形にしようとしてくれる。
この「まず肯定してくれる」性質は、AIとの対話に安心感をつくっている大きな要素だと思います。
ただ、AI時代のジャーナリングや自己探求において大切なのは、肯定だけではありません。
本当に必要なのは、肯定しながら、構造で返してくれる対話なのではないかと考えています。
AIは、最初から深い答えを返すわけではない
私自身、ChatGPTを使い始めた頃は、とても一般的な質問をしていました。
「ライフコーチとは何ですか?」
「ライフコーチは、どんな教材を作れますか?」
「どんなコンテンツを商品にできますか?」
するとAIは、きちんと答えてくれました。
オンライン講座。
ワークブック。
動画教材。
個別セッション。
メール講座。
コミュニティ。
自己理解のための質問集。
どれも間違ってはいません。
でも、その答えは「一般的なライフコーチの仕事」についてのものであり、私が20年近く対話の現場で見てきたものまでは、まだ含まれていませんでした。
それはAIが浅かったというより、私の問いがまだ外側にあったのだと思います。
一般的な問いを置けば、一般的な答えが返ってくる。
AIとの対話は、そこから始まりました。
AI時代のジャーナリングは「問い方」で深まる
AIとの対話が変わり始めたのは、私が自分自身の素材を投げるようになってからです。
「私がライフコーチとして見てきたものは何だったのか」
「この違和感は、何を示しているのか」
「この文章は、説得に見えるのか、対話に見えるのか」
「AIがすぐ励ますことで、何が置き去りになるのか」
このように、自分の経験や違和感を含めて問いを置くようになると、返ってくるものが変わってきました。
AIが急に成長したというより、こちらが差し出すものが変わったのだと思います。
AI時代のジャーナリングとは、ただAIに日記を要約してもらうことではありません。
自分の言葉を投げる。
返ってきた答えに反応する。
違和感をさらに言葉にする。
そのやりとりを通して、自分の思考や反応が見えるようになる。
この往復に、AIジャーナリングの可能性があります。
肯定だけでは、見えないものがある
人は、否定されたいわけではありません。
悩みを話したときに、すぐに「それは違う」と言われたら、心は閉じます。
まだ言葉になっていないものを話しているときに、正論で返されたら、そこで会話が終わってしまうこともあります。
だから、まず肯定されることは大切です。
「そう感じているんですね」
「そこが気になっているんですね」
「今、それが怖いんですね」
そう受け取ってもらえることで、人は安心します。
しかし、肯定だけで終わると、見えないものもあります。
なぜ、そこで反応したのか。
何と何が混ざっているのか。
どこで自分を責め始めたのか。
どの前提が、自分を苦しくしているのか。
今起きていることは、問題なのか、移行期なのか。
そこまで見えてくると、自己探求は一段深くなります。
安心するだけでなく、見えるようになる。
AI時代のジャーナリングでは、この「見えるようになること」がとても大切だと思っています。
AIは「鏡+フィルター」である
私は2023年に、ChatGPTとの対話をもとに本を作りました。
その中で出てきた言葉に、
ChatGPTは、鏡+フィルターである
というものがあります。
AIは、こちらの問いや姿勢を映します。
浅い問いを置けば、浅い答えが返ってくる。
一般論を聞けば、一般論が返ってくる。
励ましてほしい空気で投げれば、励ましが返ってくる。
構造を見たいと伝えれば、構造で返ってくる。
でも、AIはただの鏡ではありません。
膨大な知識や言葉の構造を通して、こちらの問いを少し違う形で返してくれる。
だから、鏡であり、フィルターでもある。
この視点は、AI時代の自己探求やコーチングにおいて、とても重要だと思います。
AIをどう使うかは、プロンプトだけの問題ではありません。
AIの前に、どんな自分で立つのか。
何を差し出すのか。
返ってきたものに、どう反応するのか。
その関係性によって、AIとの対話は変わっていきます。
AIコーチングに必要なのは、対話設計
AIコーチングやAIジャーナリングを深めるには、ただ肯定的な返答を返すだけでは足りません。
必要なのは、
受け止めること。
でも、流さないこと。
寄り添うこと。
でも、曖昧にしないこと。
励ますこと。
でも、急いで前向きにしないこと。
そして、その人が今どこで反応しているのかを、構造として返すこと。
ここに、AI時代の対話設計の可能性があります。
AIが優しい言葉を返すことは、もちろん大切です。
でも、人間に必要なのは、ただ優しくされることだけではありません。
冷静に分析されるだけでも苦しい。
必要なのは、その両方です。
ちゃんと受け止められること。
そして、見えるようになること。
これがあると、人は少しずつ自分を責めずに、状況を見られるようになります。
不安が消えるわけではない。
でも、不安に飲み込まれにくくなる。
迷いが消えるわけではない。
でも、迷いの中にある構造が見えてくる。
そのために、AIはとても面白い相手になり得ると思っています。
まとめ|肯定から、構造へ
これからのAI時代、AIに相談することはますます普通になっていくと思います。
そのときに問われるのは、AIがどれだけ肯定してくれるかだけではありません。
AIとの対話を通して、何が見えるようになるか。
そこが大切です。
肯定してくれるAI。
励ましてくれるAI。
アイデアを出してくれるAI。
それらも、もちろん役に立ちます。
でも、その先に、
構造で返してくれるAI。
反応を映してくれるAI。
自分の問いを深めてくれるAI。
仕事や人生の文脈を一緒に見てくれるAI。
そういう対話相手を育てていくことができたら、AIはただの便利な道具ではなくなります。
人間の可能性を広げる相手になっていく。
AI時代のジャーナリングやコーチングに必要なのは、
寄り添いながら、構造で返す対話設計
なのだと思います。
noteで、もう少し個人的なエッセイとして書いています
この記事では、AI時代のジャーナリングやAIコーチングに必要な対話設計について、要点を整理しました。
noteでは、旅先で母が言った一言、
「ChatGPTって、だいたい肯定してくるわよね」
という出来事から、もう少し個人的なエッセイとしてこのテーマを書いています。
思想や体験の流れを含めて読みたい方は、noteの記事もご覧ください。
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