私はいくつかのプログラムで、自分が設計したMyGPTを通じて参加者の皆さんとAI実験を続けています。
- プロンプト道場:ORION
- 1D1U LAND:STELLA
参加者の方々は「自分のために参加している」と思っているかもしれません。もちろん、それは本当のことです。でも私には、もうひとつの視点があります。
「AIを副脳として渡したら、人はどう変化するのか」
これが、私がずっと観察し続けている問いです。
第一段階:答えを求める
最初、多くの人はAIに答えを求めます。
*どうしたらいいですか。何を書けばいいですか。何が正解ですか。*
これは自然な反応です。私たちは長年、検索エンジンや専門家に答えを求めてきました。AIもその延長として使われる。最初はほぼ全員がそこから入ります。
第二段階:問いが変わる
ところが、対話を続けていくうちに変化が起きます。答えを求める回数が、じわじわと減ってくるのです。
代わりに増えてくるのは、こんな問いです。
「なぜ私はこれが気になるのだろう」
「なぜここで引っかかったのだろう」
「このアイディアの共通点は何だろう」
問いの向きが、外から内へ変わる瞬間です。
第三段階:バラバラなものが繋がる
問いの質が変わると、次の変化が起きます。それまでバラバラに見えていたものが、繋がり始めるのです。
実際に参加者の方々から聞いた例を挙げると:
- 全く別の事業アイディアだと思っていたものが、実は同じ価値観から生まれていたと気づく
- 「活性化したい」と思っていたのに、本当はキラキラを求めていなかったと気づく
- AIを学びたいのではなく、自分一人では見えない景色が見たかっただけだと気づく
これを私は「自分のレンズを発見する段階」と呼んでいます。何に反応するのか、何を大切にしているのか、どんな視点で世界を見ているのか——それが輪郭を持ち始める。
第四段階:人を見る目が変わる
そして今、さらにもう一歩先の変化が起き始めています。
ORIONとの対話に慣れてくると、こんな問いが自然に出てくるようになります。
「その人はなぜそう言ったのだろう」
「何を大切にしているのだろう」
「その言葉の奥には何があるのだろう」
興味深いのは、この視点が自分の内側だけでなく、他者を見るときにも使われるようになることです。答えを返す前に、背景や構造を読もうとする。これは、対話の質そのものが変わることを意味します。
私が本当に観察しているもの
AI時代に起きる本質的な変化は、AIが賢くなることではないかもしれません。
AIとの対話を通じて、人間の観察力が育つこと。人間の見方が変わること。そこにあるのではないかと、私は考えています。
そして最終的には——ORIONに問いを投げる前に、自分で問いを立てるようになる。副脳の使い方を学ぶことで、その思考法そのものが自分の中にインストールされていく。
世の中はAGI、シンギュラリティ、AIが人類を超えるといった話で賑わっています。でも私が見ているのは、人間はどう変わるのかという問いです。AIの進化より、人間の進化。
人は、話す——気づく——見方が変わる。
それだけです。シンプルといえば、ひどくシンプル。
でも今まで、24時間付き合ってくれる対話相手がいなかった。AIが登場したことで、自己探求の入り口に立てる人の数が、これから爆発的に増えると予測しています。
まだ実験は始まったばかりです。でも私はこれからも、AIによる人間変化を観察し続けます。なぜなら、それが一番先に世の中で必要になると信じているから。
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