頑張っているのに変わらない。その「前提」を疑ってみる。

最近、2つのセッションにおいて、共通するテーマが見えてきました。

それは、人は自分が持っている「前提」の中で、一生懸命に頑張っているということです。


私たちは何かを変えたいとき、まず行動を変えようとします。

もっと勉強しよう。もっと努力しよう。もっと効率よく進めよう。

でも、どれだけ頑張っても、同じところをぐるぐる回っているように感じることがあります。

そんなとき、見直す必要があるのは、行動そのものではなく、その行動を選んでいる「前提」なのかもしれません。

「使う場所ができたら、自分の力を使う」

一人目の方は、趣味や語学を学ぶことを続けていました。

好きなことも、積み重ねてきた経験もある。

けれども、それを実際に使う場所がないと感じていたのです。

話を聞いているうちに、ある前提が見えてきました。


「自分の力を使える場所ができたら、使い始められる」

この前提に立っていると、機会が訪れるまで、準備を続けることになります。

でも、順番を逆にしたらどうでしょう。

「自分から使い始めることで、使う場所をつくっていく」

例えば、自分の作品について英語で話してみる。興味のある分野の人と交流してみる。

すでに持っている力を使い始めることで、新しいつながりが生まれるかもしれません。


セッション後、その方から「その道のプロとガッツリ話したいという思いにも気づきました」という感想が届きました。

もっと学ばなければ、という方向から、自分が関わりたい世界へ入っていく方向に、意識が動き始めたように感じました。


「成果を出すまでは、楽しんではいけない」

もう一人の方は、仕事や日々の時間の使い方について話していました。


セッションで気づいたのは、

「成果のためには、苦労するのが当たり前」

「結果が出るまでは、楽しんではいけない」

という前提です。


仕事は定時で帰ることもできるし、終わらなければ引き継ぐこともできる。

好きなことも、ちゃんとわかっている。

それなのに、必要以上に頑張ろうとしたり、楽しむことを自分に許さなかったりしていたそうです。

本来、目指していたのは「成果」のはずです。

ところが、いつの間にか「苦労すること」が、成果を得るための条件になっていた。


もし、苦労しなくても成果を目指していいとしたら?

楽しみながら進んでもいいとしたら?


セッション後、その方は、AIや仕組み化を活用して、もっと楽しく効率よく進めたいと、感想に書いてありました。

休むときは休み、好きなことも我慢しない。

努力をやめるのではなく、努力の仕方を自分で選び直すという変化です。


前提が変わると、選択肢が変わる

この二人に共通していたのは、努力が足りなかったわけではない、ということです。

一人は、すでに学び続けていた。

もう一人は、すでに十分頑張っていた。

それでも、今までとは違う未来へ進もうとすると、どこかでブレーキがかかっていた。

そのブレーキになっていたのが、自分では当たり前だと思っていた前提だったのです。


「まだ準備が足りない」

「苦労しなければ価値がない」

こうした考えは、長く持ち続けていると、もはや考え方ではなく、現実そのもののように感じられます。

だから、その世界から抜け出そうとして、さらに頑張る。


けれども、前提が変わらなければ、選ぶ行動も同じ方向に向かいやすいのです。

もちろん、現実には環境や体調など、自分の考え方だけでは変えられない制約もあります。

ただ、現実の制約と、自分が無意識に設けている条件は違うのです。

そこを区別できると、これまで見えていなかった選択肢が現れることがあります。


行動を変える前に、前提を見る

私がコーチングで大切にしているのは、すぐに解決策を探すことではありません。

その人が、どんな前提で自分や世界を見ているのか。

そこを一緒に見ていくことです。


「どうすれば、もっと頑張れるだろう?」

ではなく、

「そもそも、なぜそこまで頑張らなければいけないと思っているのだろう?」

問いが変わると、見える世界が変わります。


今回の二人も、セッション後には、ご自身の言葉で次の行動を語ってくださいました。

私が答えを渡したのではなく、前提を見直したことで、ご本人の中から新しい答えが生まれたのだと思います。


人は、自分の前提の中で頑張っている。だからこそ、頑張っても変わらないときには、その前提を見てみる。

今、あなたが一生懸命に頑張っていることには、どんな前提があるでしょうか。

もし、その前提が絶対のものではないとしたら。

今日、どんな選択ができるでしょうか。