失敗が多い人ほど、相手に使う言葉も選べる優しさが備わる。

 「相手の人がどう思っているか、相手の立場に立つことが苦手で、相手に届く言葉を伝えられていないような気がする。どうやって伝えたらいいのか?」と、昨日のクライアントさんと同じような悩みがテーマになりました。そういえばお二人とも30代半ばで、自分が伝えなくてはいけないポジションになったばかりの初心者マークですね。


 どうしたら伝わりやすくなるのか?

 「専門用語は使わない」というのは、まずありますよね。つぎに、伝えることが苦手な人がやっていないこととして、「比喩表現を使う」「キャッチーな言葉をつくる」です。

 昨日記事にした『ひとみの部屋』を視聴されたユニタスさんたちのコメントに、私が発した比喩表現とキャッチーな言葉について、何人かの方が、同じ言葉を取り上げて感想が書かれていました。私の発した言葉が、相手の耳や映像に残る言葉になっていたということです。

 例えば、「豆知識として」と、忠告を伝える枕詞に用いたことです。そんな話をクライアントさんにすると、「豆知識として、という言葉を、ネガティブフィードバックをこれから言うという時に使うとは、逆の発想ですね」と感想が返ってきました。確かにそうです。しかし、ネガティブフィードバックも捉えようによっては、未来が成功するための布石にもなりますから、「豆知識」なのです。つまり、伝える人がそもそも問題にフォーカスしているのでなく、可能性にフォーカスする人のほうが、相手に入りやすい言葉で伝えられるのだと思います。 

 そして、相手の気持ちに立つことももちろん大事です。私はストレートにものを言うことしかできない人間でしたが、自分がプロになっていくに従って、ネガティブフィードバックをいっぱい言われ、成長してきました。迷惑をかけた皆さんには、その都度謝ってきました。傷つきながら立ち上がってきたからこそ、相手にものを言うときにとても慎重になれたのです。失敗が多い人ほど、相手に使う言葉を選べる優しさが備わるのかもしれませんね。それも必要なこと。「伝わる」には、テクニックだけでなく、いろいろな隠し味があるものです。