検証は、今に生きる境地。

先日のメルマガに「検証する技術」について書きました。私は振り返ることが当たり前のことになっており、うまく行ったことは、また再現できるように言葉や感覚に残しておけるように振り返ります。また、うまく行かなかったことは、同じ失敗にならないように、新しい方法を構築し、上書きすることが、検証する意味合いです。つぎにうまくやればいいだけです。

 しかし、あまり振り返りをしないとか、振り返りが苦手とおっしゃるかたも少なくありません。その理由が最近わかったのですが、「振り返る=反省」という風になり、自分を責める時間になってしまうことが、振り返りかえることを遠ざけていたのかもしれません。失敗したことをくよくよ反省しても意味がありません。

 一方、検証という名の振り返りをする人の思考として、「今日のことは今日で終わらせたい」というのがあります。明日もあるのだから、引きずりたくないのです。つまり、過去に執着しなくなります。

 もう一つは、体験したことをより深めるほうが、面白くなることを知っているからです。先日のピアンコンサートのブログを書くにも、4時間くらいかかっています。最後のアンコールの曲がわからなかったので、Facebookの辻井伸行さんのファンページまで辿り、誰かの投稿で判明しました。さらにその時の現場の感動を確かめるように、別のピアニストのバージョンですが、聴き直しました。一緒にコンサートへ行った母にもYouTubeのリンクをおくり、感動のおすそ分けです。

 このような趣味に限らず、仕事においても、セッションをして、フィードバックシートを送信し、さらにこうしてブログで言語化するところまで振り返りますので、自分なりの取扱説明書がどんどんできていきます。毎日、何かしらの作品ができあがっているようでもあります。

「反省はするな。向上心はいらない」とタモリさんもおっしゃるとおり、反省は過去に、向上心は未来に生きる時間軸。つまり今に集中する境地が、検証を可能にするのです。検証につなげるためには、今、やっていることに意識を向けていくことであり、一瞬一瞬を大切にすることができるのです。

 うまくいったところをむしろ振り返り、自己肯定感もアップします。そして、すぐ翌日から新しい自分になるのです。