先日ご紹介した『喜ばれる人になりなさい』では、4回泣いてしまいました。最初に涙したところは、「45 母の教えてくれた一番大切なこと」です。作った夕食のスープを飲みながら聴いていたのですが、グっときて、スープが変なところに入って、咳き込んでしまうほどでした。皆様もながら読書にお気を付けください。(笑)
セリフの要点だけ拾っています。
母「今どんな人の本を書いているの?」
著者「一言で言えば、頂点を目指す人かな・・・ぐずぐず言い訳している人より、そんな人の方が、早いし」母「あのさ、あんた変わったね。・・・あんたはどこへ行くつもりなの? 誰に向かって本を書いているの? 誰を元気にしようと思っているの?」
著者「頂点を目指す人だよ。その人たちに向かって書いて、100万部を目指す」
母「もうすでに元気な人にあんたの本は必要なの? あんたはよく頑張ってる。・・・でもね、何か大切なものを忘れていない? あんたは、本を書く役割を勘違いしてる。あのね、社長とか、著者とか、有名人とかなんでもいいけど、そういう人って地位とか、勲章とか、影響力とかを持っているよね。今のあんたは、全部そういうのを持っているかもしれない。でもね、その力って、決して、あんたをいい気分にさせるものだったり、威張らせるものじゃないんだよ。その力を使って、周りの人に『喜ばれる人になりなさい』って、神様がくれたものなんだよ。ちょっとうまくいって、威張り始めたり、人を見下したりすると、神様は遠慮なく、その人から、地位も勲章もとりあげるんだよ。これは私の最期の言葉と思って覚えておきなさい」
母「上に上るのはいいことだよ。でもね、普通の人は私みたいに愚痴も言うし、不安もあるし、なかなか変われない。そんなところで、ぐるぐるしてるんだよ、悩んでるんだよ。あなたは、本を書き始めた最初のころ、、自分の経験をとおして、悩んでいる人の心を少しでも明るくしたいって言っていたよね。悩んでいる人のことはもういいの? あなたは、気づかないうちに、多くの読者の気持ちがわからなくなってるよ」
自分は何のために本を書いているのか? 誰に向かって、何を伝えようとしているのか? 今の力を使って、どう喜ばれる人になるのか? 出た結論は明白だった。ここからは、悩んでいる人のために、本を書き続ける。僕は、これから向かおうとしていた、リーダー向けの出版計画をすべて白紙に戻した。
それでふと思い出したことがありました。2008年、『かないずむ』に感動してくれた知人が、有名な編集者を紹介してくださり、『かないずむ』をプレゼンする機会をいただきました。私は、『かないずむ』が本になったら素敵だなと思っていたのですが、編集者の方に「応援される人、というコンセプトで書いてみませんか?」と言われたのです。そのころの私にとっては、受け入れがたい提案でした。
それ以外にも、接客の本、店長の本も企画を考えていましたが、私が書きたいことと、編集者が求めていることにずれがあり、いったん白紙にすることにしたのです。いろいろなことが、まだわからなかったんですよね。今思えば、編集者の求めるもの=社会の求めるものに応えて、一度本を出すという経験をしてみてもよかったのではないかと思います。とはいえ、それはそれで、ずっと接客セミナーの講演依頼が増えてしまったかもしれません。そうすると、傾聴スキルを学ぶ時間や、文章力を磨く時間が少なくなったり、自我を消す修行にも気づかなかったかもしれません。結局は自分の真心に従ってよかったのでしょう。
『書く人の教科書』の本のガイダンスでも、「ライターと編集者の違い」について述べられており、腑に落ちました。連続して読んだ2冊の本が、たまたま同じようなテーマであったのも、私にとってのシンクロニシティーとなり、これからの未来へ向けて、明確な問いかけをいただきました。
「自分は何のために本を書いているのか? 誰に向かって、何を伝えようとしているのか? 今の力を使って、どう喜ばれる人になるのか?」問い続けたいです。
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