行動できない理由は、申し訳なさから経験しないことを選んでいた。

 クライアントさんは、モヤモヤを解決してからでないと、人に言わない傾向にあることを自覚されているようです。また、自分が抱え込みすぎて、人に「大丈夫?」と聞かれても、うまく人に助けを求めることができずに、そのままどんどん無口になってしまったことも、過去にあったようでした。

 最近、ある幹事をしたようで、今回は「自分だけで抱え込まない」ことを意識したそうです。
 自分のできないところや、キャパシティーを伝えたりして、相手の自主性を信頼することもできたし、相手に助けを求めることもできたようです。自分だけでなく、他の人にも助けを借りるということが、ようやくわかった体験になったようでした。

 ところが、その仲間の一人に「何かを言わないで隠していることがある」と言われたことに、モヤモヤしているようでした。できたのに何故、そういうことを言われたのか? と。
 モヤモヤの理由もモヤモヤしている状態でセッションを受けるというのも、クライアントさんにとって、人にモヤモヤを見せるという、挑戦の時間だったようです。

 クライアントさんの立場になって、私がその人の発言の裏を想像してみました。きっと、ひとりで抱え込んで大変なときを知っているし、クライアントさんの中では、初めて人に指示を出すことを経験したから、スムーズにはその人には見えていなかったのかもしれません。クライアントさんにとっては、助けてもらう、振るというのは、初めてのこと。あたふたしているように見えたのかもしれません。結果は、参加した人が涙を流して感動するほどに喜んでもらえた会になったようですし、オーライです。

 そうクライアントさんに、フィードバックすると、「意図を汲み取ってもらえなかったのかも」とお答えになり、その瞬間、腑に落ちたようでした。相手の感じ方について、直接相手に聞かなくても、想像の世界で自分が納得できてしまうこともあるものです。

 話は先へ進みました。対話で振り返ります。(クライアントさんから)

「そもそも、人に指示することが苦手なのかもしれません。慣れているひとは、リスト化をしてポイポイ人に渡す感じなんですかね…」

「できる人は慣れているからですよ。これはスキルなので、できるようになるものなんです。例えば、初めてのプレゼンよりも、35回目のプレゼンのほうが、断然うまくできますよね。昨年秋に、8周年イベントをしたとき、2回目の会は、片づけが一瞬で終わって、本当に驚いたほどでした。私、指示なしですよ。(笑)もし、今回の会の2回目をやるとしたらどうでしょうか?」

「2回目をやることを考えると、できそうですね!確かに、慣れとかスキルの問題かもしれません」

「幹事を経験すると、全体を見る力、想像する力がどんどんついてくるので、感性がどんどん磨かれていくんですよ。経験を積んでいけば、できるようになることですから」


 「できない」から「経験を積めばできる」に上書きされたことで、クライアントさんの中でのモヤモヤの下層が、また見えてきたようです。

「やめた仕事の話を思い出しました。そのときに関わっていたイベントの仕事と、今回の自分の企画と、何が一体違うのだろうか…。今回はとても楽しめたのに。この感覚が、また仕事にも生かされるといいのですが…」

「自分の仕事を持ったら、生かされると思いますよ」

「そうか!想いの差ですね。場を作ろう、縁をつなごう!という5人の想いがあったからです。自分が大事にしたいことだから。じゃあ、これからまた仕事に復帰したときに、仕事に想い入れを持てるのか?あれ?そもそも自分の想いを持っていいんですかね?」

クライアントさんの中で、何か誤解のようなものがあるようです。

「自分の想いというよりも、願いとかサポートとか、私の中では、そんなスタンスで仕事をしていますよ」

「自分で始めるにしても、他人主体を想像して仕事を作ろうとしていたようです。それがしんどい感じを生みだしていたのかも…」

「なるほど!」

「それに、やったことないから、できないのは当たり前なのに、『できていないと、見せてはいけない』って、自分のなかで、ずっとなっていたようです。できないと、わかった上でやることでよいんですね」

「そうですよ。すぐに自転車には乗れないですもんね。隠れて練習して、人前に出るなんて子供はいないですし。私は英語の勉強をしているけれど、日本人なんだから、英語できなくて当たり前。『あなた、先生なんだから、直してよ!』っていつも思いながら、話していますよ(笑)」

「そうですね。そう考えると、行動のハードルが下がりますね。私は自分のこととなるとすごいスピードがでるんです。仕事、他の人の前だと、『働かないといけない』と、よくわからない誰かに言われていたようで。(笑)経験を積むことをないがしろにしていただけだったんですね。やったらレベルアップするということがやっとわかりました! 初心者。ぎこちない自分は格好悪い。ぎこちないところを見せたくない…ってなっていました」

「それはできない自分を責めている感じですか?」

「というよりも、申し訳ないからって感じですね。もっと勉強しないといけないのかな。これで仕事をしていると言えるの?って、なかなか表だって行動に出られなかったようです」

「なるほど」

「経験に踏み出せないのは、申し訳ないという気持ちがあったから。カウンセリングを受けていたときは、社会に対しての拒否反応という解釈になっていたのですが、今回のセッションで、からくりがよくわかりました」

「申し訳なさから経験しないことを選んでいたわけですか。そこが解除されて、『経験を積めば、レベルアップできる!』に書き換えられましたね。年末年始の家族との時間や、イベントを企画した出来事がきっかけになったようですね!」

「それも経験したからわかったことですね。これで今年は、もう大丈夫そうだ!やりたいことも出てくると思います!」

 自分自身の行動を止めている扉が、ガラっと開いたようです。「これで今年はもう大丈夫そう!」とおっしゃったクライアントさんの言葉に、とても勢いがありました。
 「感性は経験することでしか磨かれない」私のメンターの金井さんがおっしゃっていた言葉を思い出しました。


 今日はこちらの質問はいかがでしょうか?

最近、新しい経験はなにをしましたか?



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