仮のもので満たしているつもりになり、本当の望みに気づけていない。

 「やりたいことは色々あるが、やらなきゃいけない、に押し流されている感じ。本当に望んでいることは何だろう?」というセッションでした。90日コーチング2回目のセッションです。

 最近は、近郊に旅行をしたり、新しい美容院へ行ったりと、色々とやりたい行動はしていらっしゃるようです。しかし、自分が向き合わなくてはいけないと感じていることは、後回しの雰囲気。つまり、すぐにできる新しい行動はするけれど、肝心なところは未完了のまま、ずっと気になっているという状態のようでした。
 ずっと気になっているやりたいことは、どちらかというと、やらなくてはいけないことになって、気分的に重いようです。それは、「今の自分の居場所を気持ちよくしたい。片づけること」ということでした。

「理想の状態に近づけるために具体的に何をしたらいいのか? というイメージが湧きにくいところがあるんです。何をしたらいいか? よくわからないでいます。そこで、片付けについてのノウハウ本など、いろいろとやり方を集めてみたけれど、当てはまらないんです。書いてある方法を試すというのは、やらされている感になって、モチベーションも続きませんし」

「自分のやり方は考えてみたことありますか?」

「あ、それは考えたことがないです…」

「人のノウハウだから、きっとやろうと思っても楽しくないですよね」

「そうか。自分のやり方を考える前に、外から仕入れていたんですね」

「そうみたいですね。自分の片付けはどうやるのか? 自分がどんなふうだったら、気持ちよくできるか? 理想の状態って何ですか?」

「見やすくて、いろいろなものがすぐに手に取れる状態に片づけられていることですね。今は、やらなきゃいけない、出さなきゃいけない、見終わったあともごちゃ混ぜになっています。新聞の切り抜きをしたいと思って、とりあえずとっておくのですが、切りぬこうとすると、何を切りぬけばいんだろうって、面倒になって、また置きっぱなしになって、やがて面倒だから捨てるか、って考えだすと、今度は、捨てるタイミング? と迷って、その場で決断できないんです」

「捨てようと思うのに、タイミングを考えてまた捨てられず、ダブルむなしさを感じているのですね」

「ダブルむなしさ、感じていたんですね…」

「どうすれば、ダブルむなしさは改善されるんでしょうか?」

「保留が多いですよね。それが油断になって。スムーズに割り切れたらいいのかもしれないです。でも、溜めておきたい気持ちがあるんですよね。だけど、溜めてみても満たされていないってことに、最近気づき始めて、もういいや、ってなってきています」

「なるほど、何かを溜めたいとは思っているけれど、量を溜めることでは、心は満たされなかったということですね。質が大事なんでしょうね」

「そうですね。欲しいのは、チラシではなく、新聞の中の1つの記事のことだったりすると思うんです。自分が欲しい情報だったり、友達に教えたいものがあるから、とっておく。あとからピックアップしようとして、溜める。やがて、忘れていく繰り返しですね」

「なるほど。私の場合、その場でいいなと思ったら、もうブログに書いてしまうし、友達に教えるし、溜める必要がないから、溜らないんです。昨日、国勢調査の封筒が来たので、さっきスマホで済ませて、もう、封筒捨ててしまいましたよ」

「え! 私は、締め切りの最後はいつだろう?って確認して、保留にしてありました(笑)。となると、いるものといらないものを分けることから、まずは必要なんでしょうかね?」

「分ける? 分ける必要もそもそもないんです。すぐに実行して、捨てますよ」

「そうか、分けようとしていたから、保留が出るんですね。(笑)」

「となると、いつ保留をやめるんですか? ってところですよね」

「そうですね…。いつ? ですよね。これ以上は無理、というところまで溜ったと思うんです。でも満たされなかったってことは、今はいらないもので溜っている状態ですね。この山ちっとも嬉しくない。見晴らしが悪いです」

「だんだんと、イメージも出来てきましたね」

「はい。秩序を作りたいですね」

「他人のやり方は通用しなかったわけですから。これからは、自分のやり方を見つけることですね。自分で本を書くことです。きっと、本を読んでも出来なかった人の助けになれますよ!」

「(笑)本当に自分が満たされるものは何か? 知りたいですね。まずは、溜めても満たされなかったものを片すところから始めたいです」

 要訳して簡単に綴りましたが、濃厚なセッションでした。
 片づけが苦手なクライアントさんに、片付ける方法を教えるセッションにしてしまっては、本末転倒ですので、クライアントさんが自分を客観視し、自分のやり方を見つけられるように、答えを引き出していくことに意識を向けました。

 他人のやり方だから、なかなか気が乗らなかったこと。「満たしたい」という欲求に対して、自分が本当に欲しいものとは違うもので満たしていたことに気付いたことが、このセッションのポイントだったと思います。

 仮のもので満たしているつもりになり、本当の望みに気づいていない人は、少なくないのかもしれないと思いました。

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