自分の中のプロ意識を育てるには?

 ある教室の先生をされているクライアントさんが、自身の指導論について言語化中で、私は考えを引き出すことと、文章にまとめるお手伝いをしています。

 「どう教えるのか?」について考えていたのですが、クライアントさんが「教えたくないのかも…凄いことに気づいてしまいました」と言いました。そして、「自分の中に先生を持つことが大事だと思っている」という見解にたどり着き、私は感覚的には理解できました。

 「それってどういうことか? わからない人のほうが多いと思うので、もっと詳しく掘り下げていきましょう」と対話をしていきました。そう言えば、私のボイトレの先生の教え方が、まさに「自分の中に先生を持つこと」へと導いてくれていることに気づきました。

 レッスンを始めた当初は、「こうしてみて、ああしてみて」に必死で、自分がどうやっているのか? と振り返るところまで意識を向けることができませんでした。先生が「今どうやった?」と、出来たときを確認する質問をそう言えばよく投げかけてくるなとは、思っていたのです。

 やがて、先生が「今の感じで歌えばいい」とフィードバックをしてくれたとき、「今、目を瞑ったら音に集中できた」とか、「ここをめがけて歌ったら、声が出やすくなった」と、自分で言語化できるようになってきたのです。

 そうなれるには何度も、何度も、何度も…しつこいくらい再現させられて気づくのです。ボイトレを習うことで、私自身のチェック機能がかなりアップし、このブログを書くときも、自分で自分のことをある意味厳しくチェックして、精度を上げることができていきました。ボイトレの先生のプロ意識のおかげで、私のプロ意識が育ったと感じています。自分がコーチする立場であるからこそ、自分が生徒である時間をたくさん持つべきだと、私は考えています。

 それが、「自分の中に先生を持つことですよね」と、そのクライアントさんに伝えたら、「そうそう、そういうことです。それができると、なんでも上達が早くなりますよね」とおっしゃいました。そのクライアントさんは、5か国語しゃべれてしまうので、そっちのほうがびっくりですが!

 「自分の中に先生を持つ」ことができると、他人の評価を渇望する必要もなくなっていきます。モチベーションの自家発電と、人が見えない細部まで、自身を高みに持っていく、その作業が楽しくなってくるでしょう。それが、プロになる道ですね。