何も決まらないことが怖いから、何かを決めようとすることは、本心とは違う。

 4ヵ月前の初めてのセッションのとき、事前に書いて頂く質問集の中の「やってみたいけど、やっていないことリスト」に「本場のJAZZを聴きに行く」と書いたクライアントさんがいらっしゃいました。それを見た私が「NYならすぐ行けそうですね」と言ったら、「そうか、行けばいいのか!」と思えたようで、このお正月、ご両親も連れて家族でNYへ行ってきたそうです。

 旅行明けのセッションで、「どうだった?」と聞いてみました。
すると、「夢のようなことが起きてしまって、今でもふわふわしています」とのことでした。
 たまたま、自分が一番憧れている91歳の人に会える日だったようなのです。しかも、飛び入りゲストも入ってのJAZZ演奏だったとか。

 20人くらい入れる狭い場所だったので、91歳の憧れの人に話もできたようでした。雲の上の人すぎて、英語を噛んでしまいながらも伝わり、その返事として「熱意があればできるよ!」と励ましの言葉を頂いて、今でも胸に響いているそうです。
 「日本語じゃなくて、英語でなんて言われたの?」と聞いてみると、「夢のような体験で、日本語に訳した状態で記憶してしまいました」と言いました。それには爆笑でしたが。(笑)

 とにかく、タイミングが良かったことに、おめでとうですね。あのとき、「NYならすぐに行けそうですね」と言われて、「あ、行けばいいのか」となり、翌月には、旅行を予約し、夢のようなことになりました。「やりたい」と思ったときがタイミング。いい流れに乗ることができるのでしょう。

 一方、クライアントさんにとっては、音楽以外に集中してやっていることもあり、それは、ある試験の勉強です。しかし、NYから帰ってきて、思ったよりもひどい時差ボケと、ご両親の英語の手助けもあって、疲れてしまったのもあり、勉強のモチベーションが上がらないので、モチベーションを上げたい、喝を入れたいというテーマで、話したいとのことでした。

 JAZZのことを話すと本当に楽しそうです。これからも極めていきたいという気持ちになったのだそうです。憧れの人と話したことを思い出すだけで、頑張るぞという気持ちが湧いてくると言っていました。
 きっと、憧れの人に言われた言葉は、心の中に生き続けて、いつかカプセルがパコっとあくように、実りへとつながる事でしょう。
 そんなに、いい味わいならば、ご遠慮なくNYで体験した気持ちを味わって、その後、自然と心がやる気になるのを待つのもありですが…。

 「その勉強についてどう思っていますか?」と聞いてみました。
「自分の課題なので、少しずつでもやっていこうと思っています。まずは、少しずつでもいいかなと…」とお答えになりました。話しながら、モチベーションがちょこっと上がったのを感じたようでした。

 しかし、ちょっと歯切れが悪そうなので、クライアントさんが考えうる2つのパターンを想像してみることにしました。
①勉強をやめてしまったらどうなるか?
②勉強を続けていったらどうなるか? と。

すると、①の場合は、「その勉強以外で、何か新しいことをただ見つけるだろう」
②「今とあまり変わらない」とお答えになりました。

 となると、結局は①でも②でも、どちらの決断も受け入れる感じです。
ただ、①の場合、「新しいことを見つけて、また始めた方がいいのではないか・・・」というような、気配も感じました。

 では、もうひとつ③のパターンを考えました。
「その勉強をやめて、新しいことを見つけようとしない」というバージョンです。
 クライアントさんは、少し戸惑っていました。それは、全く新しいアプローチだからです。

 また、「その勉強について、これからどうするのか? ゆっくりと決めてみたら?」と自分に質問を投げたことがありますか?」と聞いてみたら、「ないですね…。何も決まらないことが怖いから、何かを決めようとしますね」と言いました。

 何かを見つけようとすることは、何も見つからないことが怖いからです。つまり、恐怖から何かを選択しようとしているようにも感じました。
 例えば、辞めたあと何をするか決まらないのが怖いから、辞められないとか。新しい業種に行ってはみたいけど、自分はやったことのない分野だから、行くのが怖いとか…。そうなると、本当にしたいことは、できないままです。

 もっと、心の声に従ってみてはどうでしょうか。それには、何かを見つけようとしないで、自然と流れがそう運んでくれるのを待ってみることです。

 私自身を振り返ってみると、異業種転職するときも恐怖でいっぱいでしたし、独立するときも恐怖でいっぱいでした。しかし、自分が本当にやりたいことは、その怖い方だったから、やはりそちらに進むことでした。怖いながらも、いいタイミングがやってきて運ばれたように感じています。今でも、怖さゆえの安定を考えようとしたとき、次に進むサインくらいに思っています。進むことで、自分の成長に必要なものを与えてもらえる気がします。弱くなっているときこそ、神様が助けてくれるのです。

 「その勉強は本当にしたいのか?」NYの旅行の余韻も味わいつつ、勉強のことはゆっくりと決めてみればいいですね。無理にモチベーションを上げたり、新しい何かを探したり、自分で運ばないこと。JAZZのタイミングが絶妙だったように、そのうちきっかけがくるのかなという3番目のルートに乗ってみることになりました。

 今日はこちらの質問はいかがでしょうか?

本当にやりたいことは何ですか?

┏━┓
┃☆┃SEMINAR 
┗━╋...──────────────────────────────
2013年1月19日(土) 冬コミコレクション 
テーマ「バランス」 講師:堀口ひとみ/播磨弘晃
コミュニケーションにおいての相手と自分との「バランス」について考えていきます。

2013年1月26日(土)「聴くことは幸せにつながる」セミナー講師:堀口ひとみ
7年間の「聴く仕事」を通して学んだ「傾聴」のあり方を学べる講座です。
(こちらのセミナーは、今回で終了となります)

2013年2月17日(日)第1回 コミラボ
講師:堀口ひとみ/播磨弘晃
コーチングを専門としているふたりによる傾聴のエッセンスやメソッドが学べる講座です。

2013年3月23日(土)春コミコレクション
テーマ「思考を芽吹かせる」講師:堀口ひとみ/播磨弘晃
仮説、着想、ひらめきなど、自分自身の見つける力を磨いていきます。

これから開催予定のまとめページはこちら