スタッフに辞めてもらいたいことを伝えるとき。

 経営者の方のセッションでした。スタッフとのコミュニケーションがテーマで、1年が経過しました。色々と変化はあっても、一番重要なコトが、なぜかずっと置き去りのままでした。

 たまたま、クライアントさんが前日に同業のベテランの方に会ったそうです。そのとき、「スタッフを辞めさせるとき、どう伝えているか?」意見が聞けたとおっしゃっていました。

 問題のある部下がいて、どうかかわれば、パフォーマンスが改善されるかを、ずっとセッションで話していたのです。しかし、クライアントさんもとうとう「辞めさせる」に心がぐっと動いたのでしょうか。
 となると、心の中では、辞めさせたいモードに入っている気がしたので、「で、どうするんですか?」と質問しました。クライアントさんは、「リスタートしたい気分」とお答えになりました。

 「辞めさせたいスタッフが辞めたら、自分はどうなりますか?」と質問すると、「明るくなります」とお答えになりました。相手に変わってもらうために、いろいろと考えてきましたが、ここで自分に焦点を当ててみました。自分が変わることが必要なのかもしれません。きっと、クライアントさんもわかってはいらっしゃるのです。

 これまでも、辞めさせることについて、話は出ていました。「仕事なんだから、言うだけでしょ」と励ましたこともありました。しかし、伝えることに恐怖心を持っているときには、とても難しいわけです。告白するのに1年かかったりとか・・・。

 しかし、言えないということは、言わないでいることに何かメリットを感じているからです。
 「言わないでいることのメリットは?」と聞いてみました。

 すると、「言っても意味がないから、言わないことを選んでいるというのが、一番近い感じです」とおっしゃいました。
 以前、そのスタッフに「挨拶をしてください」と注意をしたら、2,3日で終わり、従業員から要望などを書いてもらう機会に、「挨拶なんて必要ない」と書かれたことがあったそうなのです。

 さすがにそうくると、これはクライアントさんも辛いですね。私なら、それが発覚したら、すぐに現行犯逮捕ですが。(笑)

 ここから、「辞めさせるとき」について焦点を当てることになりました。

 実際、店舗を運営していくなかで、「辞めて欲しい人」がでてしまうことは、少なくありません。私も辞めさせたことがあります。
 上司から「辞めさせて欲しい人」として挙げられていました。実際に、私もその人の働きを見ないと、なんとも言えないと思ったので、数か月様子を見ていました。私が異動して、やる気をみせていたら、その人も引っ張られるようにやる気になって、周りのスタッフたちも驚いたのです。「あれ? 思ったより大丈夫じゃない?」と思いました。しかし、それは長く続きませんでした。次の査定で給与を下げても関係ないようでした。

 お店に怠ける人がひとりでもいると、周りの皆にも影響が出てしまうことも明白でした。日本人気質でしょうか? 周りと合わせようとするところがあって、その人のなあなあぶりに、付き合ってあげているスタッフもいました。
 あるとき、頼りにしていたスタッフから、そのスタッフが、「接客が嫌いって言いました」という発言の事実を聞きました。

 私は「怒らない、厳しくしない」で店舗運営することを目指していたので、どうすれば強く言わないで、辞めてもらいたいことを伝えるか、 色々考えました。

 そして考えた末、「接客が好きじゃない人と同じゴールを目指すのは難しいです。そもそも、服よりも○○のほうが、詳しいよね。きっと、好きなことと関われる仕事ができるといいですね」と伝えました。すると、「そうですね」と言ったので、「いつ辞めますか?」と聞きました。そして、「来月に辞めます」と決まったのです。

 「解決策は相手に言わせる」ことです。また、ガツンというよりも、「事実を述べる+どうだろう?」と質問で投げかけるのです。
 踊る大捜査線で、和久さんが「なんてな」と最後につけていた、あれです。重要なことを言うときに限って、「なんてな」となっていたではありませんか。

 その後、そのスタッフは、気軽にお店にもやってきました。私もそういう態度を示してくれたことに、ホッとしました。なんと、気まずくならなかったのです。また、他のスタッフにも変化が現れました。実は、そこから巻き返しが始まったのです。

 クライアントさんの場合、「挨拶なんて必要ないと書かれていましたけど、僕は、気持ちよく挨拶ができる店にしたいと思っているんだ」と自分の感じていることを、ただ伝えてみたらどうでしょうか。楽しく働けることが何よりですね。

 アドバイスをしてくれた先輩は、「僕のところじゃ、あわないでしょ? 大変でしょ?」という言い方をされるそうなのです。このセリフは、年期入っていないと難しそうです。(笑)

 セッションの最後に「スタッフに伝えることについて、決断はそれでいいか?」と確認をしてみました。すると、「今月中に伝えます!」と、60分前と比べると、別人になっていました。

 「断定するのではなく、質問にしてみる」ことで、相手に考える余白を与えます。
 クライアントさんが踏みきれないでいた理由には、そのアイデアが思いつかなかったというのもありました。
 子供のころを思い返してみると、ガツンと言われた経験が多く、だから自分もガツン派になっていたのかと、ルーツも確認できたことも、心の後押しになったようです。

 
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