パフォーマンスが改善されない従業員に辞めてもらうこと。
クライアントさんは、1年前から、どうしようかと悩まれていました。セッションでは、相手との関わり方を変えることについて、毎回、テーマとなりました。なので、クライアントさんのコミュニケーションスキルも、成長をしてこられました。
しかし、とうとう辞めて欲しいことが、ピークに達し、というか、ずっと前からピークに達していたように、私は感じていたのですが、クライアントさんにとっては、言うタイミングを考えてしまうことが多いようでした。
なぜなら、過去にはっきり伝えてしまい、相手が泣いてしまったり、仕事途中で帰ってしまったり…なども繰り返しているのもあって、相当苦手なことになっていたのです。それが、ズルズルと決断を引き延ばしてしまう要因でした。
前回のセッションで、私が店長だったとき、辞めて欲しいスタッフがいた経験談をシェアしました。
相手の幸せを願って、相手にあう仕事についての話し合いを経て、相手が自分で「辞めます」と言うような流れになったことがありました。その後も、辞めたスタッフは店に顔を出してくれていたので、こちらもホッとしたことがあります。
「相手の幸せを願うこと」で、伝えることが出来、相手も受け取ることができました。私の経験談をとおして、クライアントさんも、伝えてみようとようやく決心がついたようでした。
そして、このセッションの前日に、「スタッフに辞めてもらいました」とメールが来ました。しかし、慣れていないことをしたことによって、気持ちが落ち着かないまま、セッションの当日を迎えたようでした。
「辞めて頂いたんですね。潔いじゃないですか!」と振ると、「いやいや、専門家の方に同席頂き、私は隣にいただけなんです。(笑)」とおっしゃっていました。
なぜか、申し訳ない気持ちが先行しているとのこと。詳しく聞くと、悪いことをしたとか、致命的でないことで辞めてもらったからそんな気持ちになると、おっしゃっていました。
話しは、再び数か月前に戻りました。「発言のタイミングがつかめないことについて」がテーマです。なぜ、言いきれないのか? 思いつくだけ、色々と考えていくことにしました。
自分が傷つくから? 相手が傷つくから? 嫌われるのがダメだから? 八方美人?苦手な人は、うわべで過ごし、結局、疲れる…。しかし、自分のお客様を相手とすると、「何としてでも、よくしてあげよう」という気持ちがある。
普段は、人に合わせることに慣れていて、言うタイミングがつかめず、ドキドキしてしまって言えないから、差しさわりのないところでやりくりする。
「嫌われるのが嫌だし、波風立てたくないし…」最後に、ぽろっと本音のような言葉が出てきました。
つまり、結局のところ、自分が傷つくことを恐れていたわけで、ずっと言えなかったということが事実であると、クライアントさんも明らかに気付いたのです。
「では、言える人ってどんな人?」ということを考えてみることにしました。
以前、あるクライアントさんで、怒りがたくさん溜っていらしたので、とにかく話したいことがあったら、私にメールをしてもいいです、とメールのやり取りをしていたことがありました。私は、愚痴を吐き出せば、いつか止まるだろうと思っていたのです。
しかし、1年経っても、止まることはありませんでした。どうしたらいいのだろう? と、同じく聴く仕事をしている知人に相談してみると、「愚痴を止めることもできるけど、いつ止めるのか、相手に決定を促しましたか?」と、私は問われました。実際、そのように相手に訊いてみたことはありませんでした。そんな風に言ってしまったら、相手を否定してしまって、悪いかな…と、思っていたのです。
一か八か、助言を信じて、クライアントさんにそのように伝えてみたところ、「○○が終わったら、止めるつもりでいます」と返答がありました。
そのとき初めて、相手は自分で止めようと決めていたことを知ったのです。やがて、そのメールのやり取りを境に愚痴が自然と止まり、周りのいい面をみられるようになって、よくなっていきました。
私は、根本的に相手を信じていなかったのか…ということに気付きました。「相手は自分で決断ができる」と信じる気持ちがあれば、「どうしますか?」と、伝えることが出来たのです。相手の幸せを願いながら、相手は、きっと自分で良い方向にいけるだろうと信じて、伝えることも大切だと、気づくことができました。
「言える人」、「伝えられる人」は、相手のことを信じているのです。
「どうせ、ダメでしょ~」。そんな風に思っていては、きっと伝えられません。「今は、まだ相手はしっくりこないかもしれないけれど、伝えてみよう」。そんな気持ちから、はじめてみればいいのです。
仕事を振ることに苦手意識を持っている場合も、「相手はそこまで出来ないだろう」という風に、根底では相手を信じる気持ちが薄いのかもしれません。
今思えば、私が外食産業からアパレルへ異業種転職したとき、採用されたというのは、決して「出来ないだろう」とは、相手は思わなかったということ。 「きっとできるだろう」と思って下さったから採用に至ったのでしょう。
私は、信じる力に支えられ、いろいろなことができるようになってきたように感じています。
クライアントさんにとって、その従業員の存在があったからこそ、「相手を信じること」を学べたのかもしれませんね。お互いに、言い合いながら、(笑)成長していけばいいのです。
今日はこちらの質問はいかがでしょうか?
相手のことをどう思っていますか?
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