他人に認めて欲しい自分VSやりたいことをする自分が、綱引きしていることについて。

 「褒められたい、認められたい、間違えないようにしたい」ですることと、「こうしてみたらどうだろう、こうしてみたい、こんな風になりたい、やりたい」ですることがある。これらの自分の行動の違いが、どんな精神状態や考えを表しているのか? 考察してみたいとのことでした。
 自分の中で、綱引きをしている状態とでもいうのでしょうか。他人に認めて欲しい自分 VS やりたいことをする自分。クライアントさんとしては、囚われず、いつでも気持ちが解放できている状態を目指したいとのことでした。

 気になるところから話していただくことになりました。

 自分が教えている中学生の生徒さんを見ていて、「人からの評価を気にしてしまって、分かっているけれど言わないのかな?」と思ったのだそうです。
 しかし、昔の自分も先生に「分かっているけれど、言わないわよね」と言われたことがあるなぁと、自分を見ているように感じたようでした。

 問いに対して、間違えないように意識したり、そんなことも知らないの? を気にして言わないこともあったりして、それは、実は自分で自分を苦しくしてしまうことにつながってしまうそうです。

 高校生時代の自分は、校則にも反発することなく、決まりを守りたくて、守っていたし、学校だから勉強しようという風に思っていたようですが、周りからは、「優等生」として見られ、周りから思われるイメージを崩せなかったそうです。ちゃんと正解を言いたいし、崩れた自分を見られるのが嫌というのもあって。 しかし、数人の友達は分かってくれていたから、そこでは普通にしていられたのだそうです。今のご主人は、今の自分のイメージのままで接してくれるから、とても楽という事でした。

 そこでふと、クライアントさんが、つい最近思いだした子供の頃の出来事を、少し話してみたいとおっしゃいました。

 小4まで弟たちの喧嘩に加わっていたけれど、ある日母親から、「家だと怒ると怖いよね」と言われて、「お母さんの方が、もっとそうで、私の方がこんなに気を使っているのに、なんてことを言うの?!」と思い、ショックを受けたようでした。その後から、家の中でも自分を作るようになって、辛いことがあると、お風呂で泣いたりするようになったのだそうです。

 「優等生であってほしいと、周りのみんなは望んでいたんでしょうか?」と私が訊くと、「そんなことはないですよね」とクライアントさんは、笑ってお答えになりました。

 ここでひとつ、「自分らしくいることを禁じる自分を許します」と、過去のことを手放すゆるしの言葉が見つかりました。

 周りから、レッテルを貼られると、自分はそうしたくないのに、そうせざるを得なくなってしまうことってあるのではないでしょうか。

 高校生という時期は、自分でアルバイトを始めたりして、自分のお金が自由に使える人もいれば、学校や家がアルバイトをすることを禁止するから、それを守ってアルバイトをしないことで、自由に自分の好きなものを買えなかったり、自分らしく振る舞えるかどうかにも、差が出てきやすい時期なのかもしれません。

 クライアントさんは、「うちは門限もあるし、テレビもあまり見ない」という環境だったようなのです。なので、お稽古ごとのため、1時間かけて遠出するようになったときには、今までの自分と違う感じがした覚えがあるとおっしゃっていました。

 そんな、過去の「優等生」な自分は、環境が作り出したこともあるのかもしれないし、なんだそうだったのか~と分かることで、クライアントさんは、気持ちが楽になったとおっしゃっていました。
 
 「もう少し開ければ入ってくるのだけれど、かたまっている感じ」がしていたそうなので、その感覚になる理由が、言語化されてきました。

 まるで、子供の頃のセルフイメージと今のセルフイメージが綱引きしている状態なのかもしれません。

 昔の自分のイメージで固まったままだと、こんなことがあります。
 先日、友人の靴を選ぶのを手伝っていたら、「私、幅が3Lだから」と言うのです。
「靴によってサイズは違うし、そんなことはないと思うので、とりあえず、履いてみて」と私が言うと、その辺りにあった靴は、全てすんなり入っていました。
 昔、誰かに言われたままの記憶で、自分のセルフイメージがアップデートされていないことって、こんなときに見えるのか、と思いました。

 私も最近そんな発見をしました。「オシャレですね」と言われると、数年前までは、そんなことはない、と心の中で思っていました。言って下さった方の言葉を否定するのは違うと思うので、「そう見えますか」と返すのが精いっぱいでした。(笑)
 そんなことは、いっぱいありまして、褒められているのに「自分はそんなはずじゃないのになぁ」というのがいつも付きまとうのです。

 今は、「努力することでできるようになった自分」として、自分を認められるようにはなって、「そんな自分じゃない」は、うっすらと消えかけてきました。しかしそれは、「過去と今の自分は違う」という分け方になっているだけで、つながった感じがなかったことに、最近、知人に指摘されて気付いたのです。

 つまり、昔のセルフイメージが、願いを叶えることの足かせになっているのではないかと。「もう少し開ければ入ってくるのだけれど、かたまっている感じ」と表現されたクライアントさんの言葉とのつながりを感じました。

 「昔の自分は、コレと言うものが無かったけれど」というのは、私の昔のイメージでした。しかし、それで固まっているだけで、実はよくよく見てみると、今の自分になる「種」は、持っていた気がすると、見方が変わりました。

 それにしても、潜在意識ってとてつもなく(笑)影響があるようですね。


 今日はこちらの質問はいかがでしょうか?

自分ってどんな自分ですか?