「思い通りに行かないですもんね」から見えてきたこと。

 90日コーチングのオリエンでした。また海外に住んでいらっしゃる日本人の方で、世界中のモノから選べる世界になっていることをますます感じます。
 
 子育てをするようになって、自分の発言や受け取り方が否定的であるように感じるようになったようです。もしかしたら、自分自身があまり褒められた記憶がないところも関係しているんじゃないかとおっしゃっていました。
 ポジティブに受け取った方がいいと思いながらも、今はその現象を悪くとってしまいがちで、例えば子供が「幼稚園が楽しくなかった」と感想を述べると、とても心配になってしまうそうです。去年、他の国にいたときは、そうじゃなかったのにと。自分がネガティブな発言が多いから、子供がそうなってしまったのかな? と、自分自身の責任も感じる様でした。

 私はその出来事を聴いて、「もしかしたら3歳から4歳になって色々気づきだしているのかもしれないですよね。周りも見られるようになって成長したのかもしれません。それに、『楽しくなかった』とお母さんに言えるというのは、何でも言い合える関係性が築けているという見方もできますよね」と、クライアントさんの気づいていない真実をフィードバックしました。
 するとクライアントさんは、「そうかもしれません。夫の方には、『楽しくなかった』と発言しないですね」と、ちょっとホッとしたご様子でおっしゃいました。このようにニュートラルに物事を見られると、感じ方が変化するのです。


 どちらかというと、たくさん話すクライアントさんに比べると、話しが少ない方にお見受けしました。実際はどうかと聞いてみると、聞き役が多く、でもそれは深く考えずに、うわべで返しているのかもしれないと感じているようです。「相手がそう言っているんだから、そうでしょ」と、それ以上深く考えないところがあるようです。私も以前はそうだったので、その感じとてもわかるなと思いながら聴いていました。

 クライアントさんが学生のころは、海外へひとり旅も行っていたし、はっきりものを言うタイプだと、みんなからも言われていたようです。また、班長、学級委員など、誰もやらないのならやろうかなという感じで、よく引き受けていたとか。

 これもやはり私と一緒でした。実際、私も「仕切れる私」だけでは、生きていけなかったのです。
 現状を突破するには、自分が仕切るのではなく、相手の個性を引き出すリーダーシップが必要なのではないかと思います。私にとっては、まさにそこが次のステージへの境界線でした。それから、コーチングを勉強する必要性を感じたのです。

 「子供は思い通りに行かないですもんね」とクライアントさんがおっしゃいました。
 それは、コントロールをしがちな傾向を感じさせる言葉でした。自分が仕切るタイプの弱みとしては、「コントロールできないとイライラする」ということです。私が「コントロールを手放す」ことに気づけたのは、たった4年前のことでした。今では、相手にコントロールされるにはどうしたらいいか? について考えます。

 例えば、姪(5)と遊ぶときの私のゴールは、「相手が好き勝手してくれること」なのです。私に「嫌だ」とか、「こうしたい」とか、意思表示を自由にできる環境を与えることに重きを置きます。「嫌だ」という言葉は、ネガティブではなく、ただの意思表示と捉えます。一方、「『嫌だ』というというより、『苦手』と言った方がきつくならないよ」と教えることもあります。別の日に「苦手」という言葉に変わっていたときには、ちゃんと伝わっていたのだなと思いました。こちらが、すぐに「それはいけない」と決めつけないほうが、相手の学習欲を引き出すのです。


 また、自分が仕切り側になるタイプは、逆に受け取りが苦手なところがあります。相手のやってくれることを受け取る視点に欠けるのです。人から何かを貰ったら、すぐに返すことを考えたり、自分がやらなくてよかったのかしら? と思ったりするのです。クライアントさんにそう話すと、まさにそうだと言うことでした。


 だんだんとクライアントさんがこれから学んでいくべきところがわかっていきました。人はバランスが大事だと思います。与えることもできるし、受け取ることもできるし、能動的にも受動的になったりもできる。これはネガティブな発言だとすぐに決めつけず、どうしてそう言ったのかな? と相手の思いになって考えてみるということも新たに学ぶべきところだと思います。

 「自分自身があまり褒められた記憶がないところも関係しているんじゃないか」と最初はおっしゃっていましたが、それはそれであり、人間としての成長過程において、「相手を受け入れること」という課題に取り組み始めたということなんだと思います。

 「どのようなまなざしで、相手を見るのか?」やはり愛の習得には、鍛錬が必要なのでしょう。

 今日はこちらの質問はいかがでしょうか?

相手のことを引き出すにはどうしたらいいですか?