自分の気持ちにフォーカスしないことが普通になってしまったのかもしれない。

 子育てをとおして、コミュニケーションの改善と自分と向き合うことが必要と感じられ、90日コーチング中の方の4回目のセッションでした。

 これまでのセッションでは、コミュニケーションで、あまりうまくいっていないと感じている場面での癖が、幾つか見つかりました。例えば、「何でダメなんだろう?」という質問を自問自答することが多く、「どうしたら出来るだろう?」という質問に変えることが課題になったセッションもありました。お子さんにかける質問も意識をして変えてみたりしているそうです。視点や言動が変わることで、セッションを始めた頃よりもイライラは激減されているようです。

 今回のセッションの事前準備用紙には、「①既に輪ができているグループにどうかかわっていくか?②すごい顔をしているよと旦那さんに言われたことについて。③自分がやりたいことについて」と書いてありました。また、最近の様子を書く欄があるのですが、私がふと気になったことがあったのです。

>.変わりたいと思うより変わらないといけないと思っているかもしれない。
>堀口さんとのセッションまでに~しておかないと、と思っている。
の箇所です。

 まずは、テーマ①の様子をお聞きしました。保護者会があったようですが、クライアントさんは最後の月からの関わりのため、輪に入れるかどうかが不安で、参加をどうしよう…と迷っていたら、体調を崩して結局行けなくなったようです。そして「これからの付き合いのためにも行っておけばよかったかな…。せっかく準備してくれた人にも悪いかな…」とあとからモヤモヤしてしまったとのことでした。

 それを聞いたあと、私が気になった箇所のことを尋ねてみたのです。

「>堀口さんとのセッションまでに~しておかないと、と思っているの箇所なのですが、ネガティブにとると、『セッションのせいで、しなくちゃいけなくなっているのよ』と自分が被害者になっているような表現でもありますよね。きっとそうは思っていらっしゃらないかもしれませんが。つまり、何を基準にして、自分の選択をしているか? というところが、自分がどうしたいか? よりも他人軸になっているように感じましたが、どうでしょうか?」

「確かにそうですね…。行っておいた方がいいかな? 知り合いを増やしておいた方がいいかな?・・・さんが行くなら行こうかなって、なる傾向がありますね。自分がどうしたいのか? というよりも。結局、体調が悪くなったわけですが、準備をしてくれた人に申し訳ないかなとか、そこでも自分よりも他人のことですね…」

「自分の気持ちを優先させてもいいんですよ。自分の気持ちに正直になることですね。いつから、自分の気持ちでない選択をするようになったんでしょう…」

「そうですね…昔からですね。子供の頃、弟と歳がかなり離れていたので、親に『一緒に遊びなさい』と言われ、連れて行きたくないのに、友達の家に連れて行っていました。本当は嫌だったけど、言えなかったんですよね。親も若くして子供を産んだのもあって余裕もなかったんでしょうね」

「大人になったら、親の状況も理解できますが、子供目線で考えたら、そこまで配慮できないですから、どこかのタイミングで自分の本当の気持ちを言うことを諦めちゃったんですかね」

「ああ、もしかしたら、自分の子供があれしたい、これしたいと一気に言うとイライラしてしまうのは、子供だから仕方ないとは思うけど、自分が言えなかったからかも…」

「なるほど確かに。インナーチャイルドが怒っているのかもしれませんね」

 それから、親とのかかわりについて、クライアントさんが覚えている、ひっかかりの部分の話が幾つか出てきました。大人だから、親の状況を理解できていることが今は多いですが、きっとインナーチャイルドは、まだ怒っていそうです。

 親に自分の気持ちを聴いてもらえなかったことが、自分でも自分の気持ちにフォーカスしなくなってしまうことが普通になってしまったのかもしれません。

 おそらく、旦那さんに「すごい顔しているよ」と言われたとき、子供が親に気持ちを聴いてもらえなくて、拗ねているような顔になっていたのかもしれません。ときどき、自分のインナーチャイルドが、チラチラと出てきていたんでしょう。そしてセッションで気付いてもらえるという流れになりました。

 インナーチャイルドはどうして欲しかったのか? 耳を傾けてみると、何か聞こえてくるでしょう。きっと、何か欲しいものがあったのかもしれません。インナーチャイルドに耳を傾けることで、自分が本当に何をしたいのか? も段々と近くなって、わかるようになってくるでしょう。自分のインナーチャイルドを癒していくことも必要なことです。

 クライアントさんは、人とのコミュニケーションのことが悩みの種でしたが、セッション4回目(4ヶ月目)にして、自分自身とのコミュニケーションにフォーカスされたのです。こんな風につながりがあったとは、クライアントさんは、とてもびっくりされていました。

 まずは自分の気持ちにも耳を傾けましょう。また、自分がどうありたいのか? ということが明確であれば、犠牲的な気持ちに陥らないように思います。

 そして、伝え方です。自分の気持ちを大切にするからといって、「行けません」とスパット断ることは、大人気ないですので、相手との関係を円滑にし続ける伝え方というのは、大人として一生懸命に考えることです。

 人とのかかわり方のことを学んでいくことも大事ですが、基本になることは、自分自身との関わり方です。自分のことを丁寧に扱っている人は、他人にもきっと丁寧です。

 自分の気持ちを自分で聴くことを意識するようになったら、他人の気持ちも想像してみようとするでしょう。言葉は表面的なもので、言葉の裏にある気持ちにも気付くべきです。それができるようになったとき、コミュニケーション力も結果的によくなっているのだと思います。


 今日はこちらの質問はいかがでしょうか?

自分の気持ちを大切に扱っていますか?