「決めつけ」から脱するために。

 「パートナーの両親と話しているときに、怒りを感じるときがある。今までは流して聞いていたのだが、何とかしたい」というテーマでした。
 
 4回目のセッションで、前回に「捉え方がネガティブな傾向がある」というのが見えたので、バイロン・ケイティの『ザ・ワーク』という本を読んでみてくださいとおすすめしました。
 本は、理解できていないところはあるけれど、「決めつけないようにするのが大事」なのはわかったようです。その後、5週間空いてのセッションでしたので、クライアントさんも、日常生活で決めつけている自分をいろいろな場面で客観視されたようでした。

 例えば、同じ人の顔を見て、自分は「あの人は怒っていた」ように見えていたのに、パートナーは、「いい顔していた」と解釈したのだそうです。なぜ、自分がそう推測してしまうのか? を考えたときに、自分が我慢をしているから、相手のこともそう見えるかもしれないという理由が考えられると思ったようでした。

 しかし、これは我慢しているからというよりも、物の見方を変え、言動を変えていくほうが、ダイナミックに変わっていくのです。
 「なぜ、そう解釈してしまうのか?」という質問を自分にするよりも、「どうすれば、楽観的に捉えられるんだろう?」を考えた方が可能性が広がると言うことです。

 本の中で言っているのは、「4つの質問をして問いただしていくこと」ということです。決めつけずに、他にも真実はないか? と考え続けることが、ホッとする考え方に辿りつける方法です。私も3年前にその本を読み、細かすぎてすぐには理解できず、考え続けることの浅さに気づいてしまいました。

 そこで、今回のセッションでは、決めつけた1つのものの見方以外に、何が見えてくるのか? 実際に考えてみることにしたのです。

★1つ目は、パートナーのお父さんとのこと。
怒りっぽいところがあり、言葉のキャッチボールができない。一方通行。興味がないことを話されて、「ああ、そうなんですか。」としか返せない。心が通じ合えてないようで悲しい。私は我慢をしているところがある。

「お父さんが怒っている」と解釈をしたクライアントさんは、聴いてあげなくちゃ。「そうなんですね。そーですよね」と言うしかなく、我慢しているという現状です。

そのほかに考えられる3つの解釈を考えてもらったところ、
①何回も怒るのはわかってほしいから。
②一生懸命に取り組んでいるから。
③そう言う人なんだ。

 と、3つ出てきました。どの考え方をする人もいそうですね。クライアントさんは、もう既にここで、自分の思い込みだった「怒っている」から脱することができました。
 そこから、実際の場面でどんな言葉をお父さんにかけてみたいか? を考えます。この場合、②の「一生懸命に取り組んでいらっしゃるのですね」ということになりました。
 最初の「そうなんですね。そーですよね」と比べると、お父さんから笑顔を引き出せるのかもしれませんね。


★2つ目は、パートナーのお母さんとのこと。
仕事の話でネガティブなことを言われるとイライラする。

①仕事のことを心配しているんだろうな…と思いながら聴く。
というのが最初に出てきました。また、実際に言ってみた言葉として、「どうしたらよくなりますか?」 というのがあったようですが、そうするとお母さんは、黙ってしまったようです。気まずいですね…。

 そして、クライアントさんが、ご自身で気づかれました。
 「『一緒に考えていきましょうか?』と、これからは言えばいいですね。『どうしたらよくなりますか?』では、あなたがやってよ、という感じになるけれど、私ももう駄目だ、と思っていることがあったとき、友達に『一緒にやろうよ』と声をかけてもらうことで、もうダメだと思ったことが、もう一度考えようと思えました」と。

 私もその言葉を聴いて、なんだかほっとした気持ちになりました。問いただしていくと、欲しかった答えが、自分の内側から発見されるのです。1つで決めつけずに、常に3択ができるくらい、考えるのです。

 姪っ子とのやり取りで、「何で?」と訊かれたら、私はよく3択で答えを見つけてもらうようにしています。やがて、姪っ子にもその習慣が移ったようで、「何ででしょうか? いちばん○○・・・にばん○○…」と私のまねをします。(笑)

 1つの解釈だけではないはずです。思考をしなやかにして、心の目を磨いていきたいものです。


 今日はこちらの質問はいかがでしょうか?

考えていますか?