コーチングは、Q&Aではない。

 コーチングを学んでいるクライアントさんのセッションがありました。初のクライアントさんを持つことになったそうで、どのようにセッションをしていくか? セッションの前にプランを立てたいとのことでした。

 私は、セッションの前にプランを立てることはないのです。聴いてみないと、わからないからです。なので、クライアントさんが、プランを立てたいとおっしゃった意図が何かあるのではないかと思って、聞いていきました。

 クライアントさんはおっしゃいました。「初クライアントさんは、ワークショップに参加してくれた方なのですが、『自由に考えてみてください』という風にこちらが言っても『でも、出来ないだろうな』という発言が多かったので、枠が多い人なのかなと思いました。なので、セッションでは、理想の状態をイメージしたり、セルフイメージを上げるようなことに取り組んでいったらいいのかなと…」と。

 私も、コーチになりはじめのころを思い出しました。クライアントさんは、こんなタイプなのではないかな? と、コーチのこちら側も枠を作ってしまいがちであったことを。

 コーチングの主旨は、「本人に気づかせる」わけですから、とにかく相手に話してもらえるような関わり方をすることが大切なことなのです。その辺りについて、どう思っていらっしゃるのか? クライアントさんに再び聞いてみたところ、「確かに、1回しか会っていないわけだから、まだ他にもあるかもしれないですね」とおっしゃいました。

 「あなたは、○○なところがあるので、○○のワークを取り入れてみましょう」というのは、傾聴とは、また違った種類のものでしょう。「ワークをする」ことは置いておいて、1回目のセッションですし、相手にとにかく話してもらうことを考えていくことに焦点を当てました。ワークを取り入れたい場合も、ヒアリングの後ならば、きっとピンポイントに機能しそうです。

 段々とクライアントさんは、相手に聞きたい質問を自分から色々と列挙されました。
 1回目のセッションを現状把握の場にすれば、2回目以降のセッションのテーマが自然と決まるだろう、という風に、全体の流れが見えてきました。クライアントさんは、始め漠然としていましたが、対話を重ねることでイメージが出来たようで、安心されていました。


 私は、セッション回数4000回近くなってきました。今、思うこととしては、私がセッションで取り組むことは、「相手が話しやすいようにつないでいく」ということです。とてもシンプルになった気がします。
 というのも、セッションの準備用紙に書いてあるテーマや問題点に対して話していくうちに、違うところが問題点になっていくからです。

 話を聴き続けることによって、私もクライアントさんが見えていなかった視点がようやく見つかって、質問やフィードバックを投げかけます。相手の中に答えがあるわけですから、先にクライアントさんが気づいていきます。そして、その気づいたことをアウトプットしてもらって初めて、クライアントさんの見えている世界を、私も見ることが出来るのです。

 つまり、コーチングは、Q&Aではないのです。
 いつもこのブログを書くときに困ってしまうのは、タイトルです。クライアントさんが、セッションの最初に言っていた問題点を記事のタイトルにもってくることが多いですが、もしかしたら、セッションの中盤辺りに出てきた問題点をタイトルにしたほうがいいのかな? とか、散々迷い、タイトルを後から変えることも少なくありません。
 タイトルだけで、読むか読まないか決める人が多いと思います。しかし、このブログに関しては、タイトルと中身が一致していない可能性もあるので、毎日読んで頂いた方がいいかと思います。(笑)


 今日はこちらの質問はいかがでしょうか?

対話を体験したことはありますか?