先延ばし癖が、自分の今やりたいことを見えなくしていた。

 90日コーチング1回目のセッションで、事前にしていただく質問集の回答より、感じたことなどを始めに話していました。

 「あなたの使命は何ですか?」という質問があり、そのクライアントさんは世の中がこうなったらいいな、みたいなビジョンをお書きになっていました。この質問に関しては、「まだわかりません」とか、「考えたことがありません」と書かれる方の方が多いので、考えたことがある方なんだなとわかりました。

 しかしながら、「これからなにをして行ったらいいかわからない」ということで、セッションのご依頼をいただいたので、大きく目指すところは見えているのに、その手前が見えていないのはなぜだろうと思いました。クライアントさんに疑問を投げかけてみると、「目標はあるのに、理想と現実が違うところがある。行けない気がする。安全なところを選びたい。自信がないから。目標はあっても具体的なアクションはわからない。怖いところがある…」とお答えになったので、行動を選択するところですでにハードルがあるご様子でした。

 最後の「先延ばしリスト10項目」を書く設問へと進みました。ここからは対話で書いていきます。

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「へぇ。沖縄行きたいんですね。離島とか?」

「竹富島へ行きたいんです」

「いいですね~。泳げるシーズンになったら計画立てていけるといいですね」

「行きたいけどいく気になれない感じ。行きたいけど今じゃない感覚がするんですよ」

「へぇ?なのに、こちらのリストに書いたってことですか。もし、あと1カ月で地球が終わる・・・となったら、行きたいですか?」

「でも行かないでしょうね。それよりもその下に書いたピカソのゲルニカを観に行くほうがしたいことですね。あと地球が1ヵ月だったら、こちらは行きたいです」

「そうなんですか!実際はいつになるんでしょうかね」

「なんだか衝撃が凄すぎる感じがして、心の傷をおって立ち直れそうもないから、行けない気がする…。岡本太郎を観たときもそうでした」

「へぇ!心の傷ですか。でも死にやしないですけどね。笑」

「そうですね。いやぁ、以前に10年間、読みたい漫画を読まないようにしておいたり、わざと寝かしていたことがあったんですよ」

「なるほど。ずいぶん我慢を…イクラを後に食べるタイプの傾向だ」

「わはは。そうですね…。最近は休養をしていますが、観たかった映画は観たんですよね。でも、だけど、何か忘れている気がする」

「ぽっかり空いている?かんじですよね。先ほどおっしゃっていた、目標とアクションプランの間も空いているとか、本当にやりたいことではないことを、リストにしてしまったりする傾向がみられますね」

「他人行儀なリストになっていますね。小さい時から隠していたのかもしれません。最近、山に無償に登りたいときがあり、泣きながら登りに行ったんです。衝撃的でしたね。とても満足できましたし」

「そうか、それは、きっと本当にしたいことができたんですね」

「そうですね」

「自分の本当にやりたいことを諦めちゃったとか」

「はい。大学選びで芸術系に行きたかったんですけど、就職が難しいからとか辞めた方がいいと、周りの意見で諦めたってことは覚えていますね。子供のころは、親よりもおばあちゃんと一緒にいたというのはありますけど、でもそこでなにがあったかとかは覚えていないですし」

「そうですよね。記憶にないですよね。最近、姪っ子たちを見ていて、子供がはっきりしないと、大人が『こうでしょ』と言ってしまい、違うかもしれないのに頷いてしまとか、そういう光景を見ることがあるんですよ。だから私も気をつけて、意志をしっかりと汲み取ってあげたいと思いますね」

「母が孫に言う台詞をみていると、そう言っちゃうんだ、そうじゃないでしょ。と思うこともあったりして、自分もそうやって言われていたのかな、と気づくことがあります」

「なるほど。そうやってわからなくなっているところも、大人の自分から見たら、何かに気づけるかもしれませんね」

「あ、手助けの仕事を辞めたのは、自分を優先させていないからだったんだと、今気づきました」

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 クライアントさんは、カウンセリングを受けたりしていたこともあったようですが、そのときは、自分の選択の傾向までは気づけなかったようなので、今回喋りながら、『自分を優先させていない』自分に気づき、驚かれていました。

 ぽっかり穴が空いている感じ。その穴に手を突っ込んでみたら、本当にやりたいことがきっと入っていそうです。本音を後回しにする癖が、やりたいことリストにも、やりたいと思っていないことまで書いてしまっていたのです。

「イクラ(好きな物)を先に食べる」。そういった普段の小さな行動にも、自分の潜在意識が反映されているのです。好きなものを後回しにしたりする癖が重なると、どんどんわからなくなっていくのかもしれません。

 何か隠している。何かあるなと思いながら、好きなことを問いかけていくことを、普段から意識してみることを課題にしました。「あと1カ月で地球が終わるとしたら…。」ちょっと極端かもしれませんが、今のクライアントさんには、緊急性のある問いかけは、トリガーになるのではないかと思います。

 今日はこちらの質問はいかがでしょうか?

やりたいと思っていて、先延ばしにしていることは何ですか?