相手の魅力を発見する目を持てればイライラしなくなる。

 大学で研究をしていらっしゃる方のセッションの1コマです。

「補助員の方が、上司に対しての不満を私に言ってくるのです。わたしはその気持ちもわかるから聞いてあげるのですが、それ以上にどう対処していいのか分からなくて」


 補助員の方は、クライアントさんや周りの方からみると、「言ったことしかやらない人」「工夫がない人」という印象のようです。そして、不満をぶつけてくると。この前は、ある新しい行事について、旦那様に反対されたから、出席しないことになった、と言っていたみたいで。そんなところからも、自分の考えがあまりないタイプで、自信がないようにもみえるようです。

 クライアントさんは、アドバイスとして「1つだけでも自分に自信を持てることを持つといいよ」と言ってあげたいと。


 皆さんは、ここで補助員の方になんて言ったら、自信をつけてもらえると思いますか?


 私は、「もし、補助員の方がそう言われたら、どんな気持ちになるでしょう?」と聞きました。負けず嫌いの方や、自分でガンガン進みたいタイプだったら、「そうだ、自信を持つことを何か見つけよう」と前向きにその発言をとって、進んでいけるかもしれませんが、不満をおっしゃっている段階のときに、その言葉を伝えたら、もっと自信がなくなっていくでしょう。


 それから、補助員の方を別の見方からみていきました。
「補助員の方をありのままに見るとどうか? 」

・協調性がある。
・他人の意見を尊重する。
・言われたことを忠実にきちんとやる。
・何かをやりたいと思っている人のサポートができる。


 どうでしょうか? この方がいるから、自分の意見が尊重され、行動していけるのではないかと思います。


 しかし、世の中的に、自分の意見をしっかり持っているとか、リーダーシップがあるとか、結果を残した、という人が優れている、と思われがちなので、こういったサポートタイプの方は、評価されにくいのかもしれません。


 もし、みんなが「オレオレ」な人たちだったら、どうなってしまうでしょうか?
自己主張の強いタイプは、自分のようになってもらわないと困る、と相手のことを見てしまって、自分のようにできていないところがあると、「もっと意見を言わないとダメなのだ」「もっと自分なりの工夫をしなくてはいけないのだ」と相手に求めてしまいがちの方も少なくありません。相手のことを「ありのままにみる」成長のチャンスがやってきていることにも気づいていないかもしれないですね。怒ってばかりでは、なかなかサポートできる人のよさが見えてこないです。


 クライアントさんが、補助員の方のおうちにお邪魔したときに、家の中がすごく整理されていて、びっくりしたそうです。となると、もう、すでに補助員さんが貢献できているところは、たくさんあるのではないでしょうか?きっと、不満を口にしていると言うことは、承認を欲しているのかもしれません。すでにできているところを気づかせてあげるように接していけば、より創意工夫をして相手のために動くようになるかもしれません。そして、セッションのなかで、すでにいてくれて助かっているところや、強みがいくつかみつかりました。


 クライアントさんにとっては、補助員さんのようなタイプの魅力を見つける目をもてるようになったら、他にもいろいろなひとのよさを見つけてあげる才能が育っていくと思います。ちなみに、補助員がさんが、不満に思っている上司は、「赤レンジャー」タイプのようでした。赤レンジャーの方も、イライラしていないで、補助員さんをありのままに見られると、楽になるでしょう。


 この場合、不満の正体は、自分は頑張っているつもりなのに周りの人の対応で、自分が頑張っているのかよくわからなくなっている、承認不足の不満です。まずは、見える人が伝えて、気づいてもらいましょう。そうすると、自己満足へとつながり、不満を言わなくなるかもしれません。

 
 そして、自分の強みがわかると、自信がついてきて、やがて自分に足りないと思っているところも、向上心を持って、取り組み始めるのではないでしょうか?



 「ありのままをみる」について、こんなエピソードがあります。
たくさん話す上司が、部下に「もっと自分の意見を言えるようになるといいよな」と、言っていました。私は部下の方に「聞くのがうまいから、上司の人の話しが止まらないのですよ」と伝えました。すると、部下の方は「そんな風に思ったことがなかったです」と。上司の方は、「そう言えば、君の場合は、僕はいつもしゃべっているなぁ(笑)」と言いました。そして、部下の人は笑顔を見せながら、「もっと、意見も言えるようにもなりたいです」と自分からおっしゃっていました。その後、部下の方が積極的になったと、上司の方からメールを頂いたことがあります。


 部下の方は、自分が「聞くのがうまい」って気づいていなかったのですね。もう、もとから持っている素質です。そこに気づかせてあげるのは、周りの人の役目なのだと思います。


 相手のことを「いいところがない」「できていない」と思ってしまうのは、自分が片目でしか、相手のことがみえていないからです。自分ができることは、相手のことを色々な方向から見る目を鍛えるしかないのです。

 
 今日はこちらの質問はいかがでしょうか?

自分が苦手な人を、別の角度から考えてみよう。